悪役令嬢はBL作家「処刑覚悟で萌えますわ!」~婚約者の王子様ごめんなさい、あなたをネタに小説書いてます~

すえつむ はな

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第三章 BL小説の存在、世に知られる

090 公爵令嬢と仲間たちの式神作成作戦

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「確かに、現実的な手だ……と言いたいところだが、その仕掛けをどうやって探し出す?」

 ランドルフに問われ、シルヴィアはやれやれと言う風に持っていたペンケースから紙の式神を何枚か取り出した。

 本当はこれ以上人に見せたいものではないが、この期に及んでそんなことを言ってはいられない。

 その式神に小声で呪文を唱え、最後に「急急如律令!」と唱えると、その式神がふわふわと飛んで、教室の窓から出て行った。

「とりあえず、今手持ちのものが五枚だけなので、二年生が主に使う教室と職員室、学生寮の玄関、ミュリエル嬢の部屋……あ、今の式神を送り込んだだけでは、中の様子は覗けませんよ。一応断っておきます。それから『魔法学』の教室が入っている旧校舎に行くよう、指示しました」

「……すごいな。これはなんだったか……。式神? これを使う術があることは知っていたが、目の前で見たのは初めてだ」

「あら、ソーントン先生。『魔法学』の授業では、シルヴィアはこの術をしたことがございませんの?」

 メリーローズの問いに、ランドルフが頷く。

「ああ。『自分にはあまり魔力がありませんから』とか言って、殆ど術を使って見せたことはなかった。とんだ食わせ者だな、マコーリー君は」

「手の内は、あまり人に見せない方がよろしいでしょう?」

「式神は、今の五枚で足りるの?」

 この広い学院にあれだけで大丈夫なのか、メリーローズは疑問だった。

「いえ、学院内のどこを視察しに来るかわかりませんし、そのどこに仕掛けを作るかわかりませんから、学院中に式神を仕込んでおきたいところですね」

「今の式神って、紙で出来ているのでしょう? シルヴィアさんが作ったものじゃないと、ダメなんですかー?」

 アデレイドの素朴な疑問に、シルヴィアが丁寧に答える。

「いいえ。紙を人型に切ってあれば大丈夫です。最後に術を掛けるのがわたくしであれば」

「何枚くらいあったらいいんですかー?」

「そうですね、きめ細かく監視するならば、五百枚くらいは必要でしょうか」

「では、皆で手分けして作りましょう。その方が効率的です」

 ヘザーの提案に、皆も頷いた。

「そうだな。視察の予定は月曜日……何か仕込むとすれば、学院内で学生が一番少なくなる日曜日だろう。そして今日は風曜日。金曜と土曜に皆で作れば、大丈夫だ」

 メルヴィンの言葉に、シルヴィアが訂正を入れる。

「その枚数に術をかけるのは時間が掛かります。出来れば土曜の午前中までに作っていただけませんか?」

「よし! 頑張るぞ!」

 最後にフィルバートが気合を入れた。
 彼は大事なミュリエルを奪われたくないので、力の入り具合が違う。

「今の生徒会は、意外と仲がいいな」

 ランドルフが苦笑する。

「はい! わたくしたち、仲良しですよね?」

 アデレイドの言葉に、フェリクスが頷いた。
 フェリクスが仲間といる姿に感無量という表情のランドルフだったが、シルヴィアも感慨深い思いである。

(わたくしも故郷では曾祖母亡き後、誰も味方なんかいなかった。危険なものでなくとも、人前で術を使うなんて、考えられなかった……)

 自分自身に起きた変化を好ましく感じながら、再び故郷の兄弟のことを思い出した。

 兄は男爵家の爵位と領地を継ぐことになっている。
 両親はその兄が魔術に手を染めることを、よしとしないだろう。

 その点、弟はこのままでは何も手に入らない。
 せめて高等学院に入れるほどの頭があれば、娘しかいないどこかの貴族か金持ちの婿におさまる、という手もあるが、それも期待出来ない。

 となると何か一発逆転を狙って、家では禁忌とされている『魔法』に手を出すことを考えたりしないだろうか……

「シルヴィア?」

 メリーローズに声を掛けられ、我に返る。

「あ、失礼しました」

 意識を目の前のことに集中させて、立ち上がった。

「では、土曜日の午前中までに、紙人形の作成をお願い致します」
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