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第三章 BL小説の存在、世に知られる
091 公爵令嬢が語る「異世界の祭り」
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「弟さん?」
「ええ。もしわたくしの魔術の本に手を出すとしたら、兄よりも弟の可能性が高いのでは、と思いました」
例によって寮の部屋に戻ってからの会話である。
このところ小説の執筆がなくなってからというもの、夜は入浴だの美容のメンテナンスくらいしかすることがなくなり、暇をもてあましていた二人だったが、今日は式神作りで『内職』をしているところだった。
「お兄様ではない、という根拠は?」
チョキチョキ
「兄は黙っていても領地と爵位が転がり込んできます。下手に両親を怒らせて、それらをフイにする危険は冒さないでしょう」
チョキチョキ
「なるほど、なるほど」
チョキチョキ
「それに、弟の方がプライドが高く、内心兄より自分の方が優れている、と思っている節がありました。それなのに生まれた順番で爵位を継げないのは、理不尽だと考えていることでしょう」
チョキチョキ
「あり得ない話じゃないわね」
チョキチョキ
「ま、わたくしに言わせればどっちもどっちというか、どんぐりの背比べというか」
チョキチョキ
「あ、こっちでも『どんぐりの背比べ』って言うのね。しかし、頭脳はシルヴィアが兄弟の分も全部吸い取っちゃったみたいね」
チョキチョキ
「おかげでよくいじめられました。……そうだ、わたくしをいじめるときだけは、兄弟仲がよかったですよ」
チョキチョキ
おもむろにハサミをテーブルに置くと、シルヴィアは伸びをした。
「とりあえず、百枚出来ました」
「さすが、早いわね」
メリーローズの方はまだやっと二十枚ほどである。
ただの紙の人型とはいえ、慣れていないとなかなか上手く出来ない。
シルヴィアからコツを教わりながら生徒会室で作っていたときも、皆結構てこずっていた。
「半分に折って、人の形に切っていくだけなんですけどね」
「簡単に言うけど、それが難しいのよう」
紙を十センチ四方にカットし、それを半分に折って、頭、腕、胴、足の形にカットし、広げると人の形になるようにするだけなのだが、最初のうちはシルヴィアの見本とはほど遠いものばかりが出来上がる。
見本に比べて太っている、とか細すぎる、などは序の口で、頭がハート形になったり雫型になったりして、不格好なものが出来上がるたびに生徒会室が笑いに包まれた。
土曜までに五百枚を間に合わせる為に、部屋や家に帰ってからも、各自で進めることにしている。
きっと今頃、自分たちと同じように、ミュリエルやヘザー、もしかしたら隣室からエルシーも来て一緒に紙人形を切っているだろうし、アルフレッドとフェリクスもこんな風にたわいない話をしながら紙を切っているかも知れない。
「司教様たちは、どんな仕掛けをしてくるかしらね」
「そうですね。わたくしは今までほとんど聖堂に行ったことがないので、その方面はさっぱりです」
「前に、『大精霊教』のトップの大司教様も、大して力は持ってないって言ってたじゃない?」
「持っていないかどうかは、会ってみないとわかりません。ただ、持っていなくても大司教にはなれると思います。魔力の有無より政治力で出世するようなので」
メリーローズは「ははは……」と乾いた笑いをあげた。
「辛辣ねえ、シルヴィア」
「彼らにとって『魔法』は身分の低い者に発現するものという認識ですので、その考え方なら、むしろ大司教になるような方は魔力を持っていないのではないかと思いす」
「それもそっか」
「ええ。もしわたくしの魔術の本に手を出すとしたら、兄よりも弟の可能性が高いのでは、と思いました」
例によって寮の部屋に戻ってからの会話である。
このところ小説の執筆がなくなってからというもの、夜は入浴だの美容のメンテナンスくらいしかすることがなくなり、暇をもてあましていた二人だったが、今日は式神作りで『内職』をしているところだった。
「お兄様ではない、という根拠は?」
チョキチョキ
「兄は黙っていても領地と爵位が転がり込んできます。下手に両親を怒らせて、それらをフイにする危険は冒さないでしょう」
チョキチョキ
「なるほど、なるほど」
チョキチョキ
「それに、弟の方がプライドが高く、内心兄より自分の方が優れている、と思っている節がありました。それなのに生まれた順番で爵位を継げないのは、理不尽だと考えていることでしょう」
チョキチョキ
「あり得ない話じゃないわね」
チョキチョキ
「ま、わたくしに言わせればどっちもどっちというか、どんぐりの背比べというか」
チョキチョキ
「あ、こっちでも『どんぐりの背比べ』って言うのね。しかし、頭脳はシルヴィアが兄弟の分も全部吸い取っちゃったみたいね」
チョキチョキ
「おかげでよくいじめられました。……そうだ、わたくしをいじめるときだけは、兄弟仲がよかったですよ」
チョキチョキ
おもむろにハサミをテーブルに置くと、シルヴィアは伸びをした。
「とりあえず、百枚出来ました」
「さすが、早いわね」
メリーローズの方はまだやっと二十枚ほどである。
ただの紙の人型とはいえ、慣れていないとなかなか上手く出来ない。
シルヴィアからコツを教わりながら生徒会室で作っていたときも、皆結構てこずっていた。
「半分に折って、人の形に切っていくだけなんですけどね」
「簡単に言うけど、それが難しいのよう」
紙を十センチ四方にカットし、それを半分に折って、頭、腕、胴、足の形にカットし、広げると人の形になるようにするだけなのだが、最初のうちはシルヴィアの見本とはほど遠いものばかりが出来上がる。
見本に比べて太っている、とか細すぎる、などは序の口で、頭がハート形になったり雫型になったりして、不格好なものが出来上がるたびに生徒会室が笑いに包まれた。
土曜までに五百枚を間に合わせる為に、部屋や家に帰ってからも、各自で進めることにしている。
きっと今頃、自分たちと同じように、ミュリエルやヘザー、もしかしたら隣室からエルシーも来て一緒に紙人形を切っているだろうし、アルフレッドとフェリクスもこんな風にたわいない話をしながら紙を切っているかも知れない。
「司教様たちは、どんな仕掛けをしてくるかしらね」
「そうですね。わたくしは今までほとんど聖堂に行ったことがないので、その方面はさっぱりです」
「前に、『大精霊教』のトップの大司教様も、大して力は持ってないって言ってたじゃない?」
「持っていないかどうかは、会ってみないとわかりません。ただ、持っていなくても大司教にはなれると思います。魔力の有無より政治力で出世するようなので」
メリーローズは「ははは……」と乾いた笑いをあげた。
「辛辣ねえ、シルヴィア」
「彼らにとって『魔法』は身分の低い者に発現するものという認識ですので、その考え方なら、むしろ大司教になるような方は魔力を持っていないのではないかと思いす」
「それもそっか」
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