67 / 101
第67話:呪い調査の旅
しおりを挟む
リンドブルム王国との国境がにわかに緊張感を増していく中、ガルディナ帝国は一つの大きな発表を行った。
『皇帝レオンハルト陛下、地方の長期視察へ』
表向きは近年続く不作や病に苦しむ地方の民を慰撫し、帝国内の結束を固めるための視察。しかし、その真の目的を知る者はごく一握りだった。
帝国の未来を賭けた、呪いの根源を探る旅。
そしてその旅に私が同行することも公式に発表された。もちろん『未来の皇后候補』としてではなく、『食の聖女として陛下の食事の管理と民への食糧支援を行う』という、もっともらしい名目で。
出発の日の朝。王城の前には旅のための質素だが頑丈な馬車と、護衛を務めるギルバート様率いる選りすぐりの騎士たちが集結していた。
「姫! このギルバート、命に代えてもあなた様をお守りいたしますぞ!」
「ギルバート様、あまり大声を出さないでください。これはお忍びの旅なのですから」
いつも通りのやり取りに、私の緊張も少しだけほぐれる。
旅のメンバーは最小限に絞られていた。私とレオン様。護衛のギルバート様と十数名の騎士。そして、宰相代理として帝都に残るエリオット様から密命を受けたという、数名の調査官だけ。
「アリア殿。くれぐれも陛下のことをよろしく頼む」
「姫様、どうかご武運を!」
エリオット様やマルタたちに見送られ、私たちの乗った馬車は夜明け前の薄闇の中、静かに帝都アスガルドを出発した。
馬車に揺られながら、私は窓の外を流れる景色を眺めていた。帝都を離れるのはこの国に来て以来、初めてのことだ。
「これから我々が向かうのは、北東部の辺境地域だ」
向かいの席に座るレオン様が地図を広げながら説明してくれた。
「オルドゥスの調査によれば、その一帯が最も呪いの影響が色濃く残っている地域らしい。二百七十年前の『大いなる嘆きの時代』に、最も大きな被害が出た場所でもある」
その声は皇帝としての厳しい響きを持っていた。しかし、時折私に向ける視線はどこまでも優しかった。
旅は決して楽なものではなかった。道は険しく、夜は野営することもあった。しかし、私にとってそれは苦痛ではなかった。
毎日の食事は私が担当した。携帯食料と道中で手に入れた現地の食材を使い、限られた調理器具で工夫を凝らした料理を作る。
騎士たちのために保存性の高い干し肉と豆を煮込んだ熱々のシチューを。
冷えた夜には体を温める生姜をたっぷり効かせたスープを。
彼らは私が作る温かい食事を、涙を流さんばかりに喜んでくれた。
「姫様の料理を食べると、どんな疲れも吹っ飛びますな!」
「これで明日も戦える!」
彼らの飾り気のない素直な言葉が、私の心を温めてくれた。
そして夜。焚き火を囲みながらレオン様と二人きりで静かにお茶を飲む時間。それが私にとって何よりも幸せなひとときだった。
「今日のシチューも美味かった」
「ふふ。ありがとうございます。明日はもっと美味しいものを作りますね」
そんな何気ない会話を交わす。皇帝と聖女としてではない。ただのレオンとアリアとして。
旅を始めて一週間が過ぎた頃。
馬車が向かう先の風景が明らかにその様相を変え始めた。
豊かな緑は姿を消し、代わりに灰色がかった痩せた土地が広がっている。木々は枯れ、川は淀み、空気そのものが重く澱んでいるように感じられた。
「……ここが」
「ああ。呪いが最も強いとされる辺境の村、グレイヘムだ」
レオン様の低い声が響いた。
村に足を踏み入れた瞬間、私たちは言葉を失った。
そこは、まるで生ける屍のような村だった。
家々は朽ちかけ、畑は枯れ果てている。道端には虚ろな目をした村人たちが力なく座り込んでいるだけ。子供たちの笑い声も人々の活気も、そこにはなかった。
村全体が深い絶望という名の灰色の霧に包まれているかのようだった。
村長だという老人が、やつれた顔で私たちを迎えてくれた。
「よ、ようこそ、旅の方々。見ての通り、こんな何もお構いできんような村ですが…」
彼は私たちが帝都からの視察団であることには、まだ気づいていないようだった。
「一体、何があったのですか」
レオン様の問いに、老人は力なく首を振った。
「もう何年もこの調子です。作物は育たず、育っても味がしない。家畜は次々と病で死んでいく。村の若い者たちは皆、街へ出て行ってしもうた。残っておるのは、わしらのような老人と病気の者ばかり…」
その言葉は、あまりにも痛切だった。
私は村を歩き回った。畑の土をそっと手に取ってみる。ぱさぱさに乾いていて、生命の匂いが全くしない。
村の井戸を覗き込む。水は濁っていて、よどんでいた。
これが、呪い。
二百七十年もの間、この土地とここに住む人々を静かに、しかし確実に蝕み続けてきた邪悪な力。
私は村の子供たちの姿を見て、胸が締め付けられるのを感じた。皆、栄養が足りていないのか痩せていて、顔色も悪い。その瞳には子供らしい輝きがどこにもなかった。
「……ひどい」
私の唇から震える声が漏れた。
「こんなこと、あってはいけない」
私はレオン様の方を振り返った。
「レオン様。私にやらせてください」
私の瞳に宿る強い意志の光を、彼は静かに見つめ返した。
「……分かった。好きにしろ」
彼の短い許可。それは私への絶対的な信頼の証だった。
私はギル-バート様に力強く言った。
「ギルバート様! 騎士の方々にも手伝っていただきたいことがあります! この村の広場に大きなかまどを作ってください! そして、ありったけの鍋と水を用意してください!」
「はっ! お任せを!」
騎士たちは戸惑いながらも、私の指示にきびきびと従い始めた。
村人たちは私たちが一体何を始めようとしているのか、遠巻きに訝しげな顔で見つめている。
私は馬車から持ってきた全ての食材を広場に運び出した。
穀物、豆、干し肉、そして帝都から持ってきた色とりどりの野菜。
私がこれから始めるのは、ただの食事作りではない。
この絶望に沈んだ村に再び生命の灯火をともすための、聖女としての最初の戦いだった。
「見ていてください、皆さん」
私はかまどに燃え盛る炎を見つめながら固く誓った。
「私の料理で、この村を必ず救ってみせます」
私の【生命賛-歌】の力が今、試されようとしていた。
『皇帝レオンハルト陛下、地方の長期視察へ』
表向きは近年続く不作や病に苦しむ地方の民を慰撫し、帝国内の結束を固めるための視察。しかし、その真の目的を知る者はごく一握りだった。
帝国の未来を賭けた、呪いの根源を探る旅。
そしてその旅に私が同行することも公式に発表された。もちろん『未来の皇后候補』としてではなく、『食の聖女として陛下の食事の管理と民への食糧支援を行う』という、もっともらしい名目で。
出発の日の朝。王城の前には旅のための質素だが頑丈な馬車と、護衛を務めるギルバート様率いる選りすぐりの騎士たちが集結していた。
「姫! このギルバート、命に代えてもあなた様をお守りいたしますぞ!」
「ギルバート様、あまり大声を出さないでください。これはお忍びの旅なのですから」
いつも通りのやり取りに、私の緊張も少しだけほぐれる。
旅のメンバーは最小限に絞られていた。私とレオン様。護衛のギルバート様と十数名の騎士。そして、宰相代理として帝都に残るエリオット様から密命を受けたという、数名の調査官だけ。
「アリア殿。くれぐれも陛下のことをよろしく頼む」
「姫様、どうかご武運を!」
エリオット様やマルタたちに見送られ、私たちの乗った馬車は夜明け前の薄闇の中、静かに帝都アスガルドを出発した。
馬車に揺られながら、私は窓の外を流れる景色を眺めていた。帝都を離れるのはこの国に来て以来、初めてのことだ。
「これから我々が向かうのは、北東部の辺境地域だ」
向かいの席に座るレオン様が地図を広げながら説明してくれた。
「オルドゥスの調査によれば、その一帯が最も呪いの影響が色濃く残っている地域らしい。二百七十年前の『大いなる嘆きの時代』に、最も大きな被害が出た場所でもある」
その声は皇帝としての厳しい響きを持っていた。しかし、時折私に向ける視線はどこまでも優しかった。
旅は決して楽なものではなかった。道は険しく、夜は野営することもあった。しかし、私にとってそれは苦痛ではなかった。
毎日の食事は私が担当した。携帯食料と道中で手に入れた現地の食材を使い、限られた調理器具で工夫を凝らした料理を作る。
騎士たちのために保存性の高い干し肉と豆を煮込んだ熱々のシチューを。
冷えた夜には体を温める生姜をたっぷり効かせたスープを。
彼らは私が作る温かい食事を、涙を流さんばかりに喜んでくれた。
「姫様の料理を食べると、どんな疲れも吹っ飛びますな!」
「これで明日も戦える!」
彼らの飾り気のない素直な言葉が、私の心を温めてくれた。
そして夜。焚き火を囲みながらレオン様と二人きりで静かにお茶を飲む時間。それが私にとって何よりも幸せなひとときだった。
「今日のシチューも美味かった」
「ふふ。ありがとうございます。明日はもっと美味しいものを作りますね」
そんな何気ない会話を交わす。皇帝と聖女としてではない。ただのレオンとアリアとして。
旅を始めて一週間が過ぎた頃。
馬車が向かう先の風景が明らかにその様相を変え始めた。
豊かな緑は姿を消し、代わりに灰色がかった痩せた土地が広がっている。木々は枯れ、川は淀み、空気そのものが重く澱んでいるように感じられた。
「……ここが」
「ああ。呪いが最も強いとされる辺境の村、グレイヘムだ」
レオン様の低い声が響いた。
村に足を踏み入れた瞬間、私たちは言葉を失った。
そこは、まるで生ける屍のような村だった。
家々は朽ちかけ、畑は枯れ果てている。道端には虚ろな目をした村人たちが力なく座り込んでいるだけ。子供たちの笑い声も人々の活気も、そこにはなかった。
村全体が深い絶望という名の灰色の霧に包まれているかのようだった。
村長だという老人が、やつれた顔で私たちを迎えてくれた。
「よ、ようこそ、旅の方々。見ての通り、こんな何もお構いできんような村ですが…」
彼は私たちが帝都からの視察団であることには、まだ気づいていないようだった。
「一体、何があったのですか」
レオン様の問いに、老人は力なく首を振った。
「もう何年もこの調子です。作物は育たず、育っても味がしない。家畜は次々と病で死んでいく。村の若い者たちは皆、街へ出て行ってしもうた。残っておるのは、わしらのような老人と病気の者ばかり…」
その言葉は、あまりにも痛切だった。
私は村を歩き回った。畑の土をそっと手に取ってみる。ぱさぱさに乾いていて、生命の匂いが全くしない。
村の井戸を覗き込む。水は濁っていて、よどんでいた。
これが、呪い。
二百七十年もの間、この土地とここに住む人々を静かに、しかし確実に蝕み続けてきた邪悪な力。
私は村の子供たちの姿を見て、胸が締め付けられるのを感じた。皆、栄養が足りていないのか痩せていて、顔色も悪い。その瞳には子供らしい輝きがどこにもなかった。
「……ひどい」
私の唇から震える声が漏れた。
「こんなこと、あってはいけない」
私はレオン様の方を振り返った。
「レオン様。私にやらせてください」
私の瞳に宿る強い意志の光を、彼は静かに見つめ返した。
「……分かった。好きにしろ」
彼の短い許可。それは私への絶対的な信頼の証だった。
私はギル-バート様に力強く言った。
「ギルバート様! 騎士の方々にも手伝っていただきたいことがあります! この村の広場に大きなかまどを作ってください! そして、ありったけの鍋と水を用意してください!」
「はっ! お任せを!」
騎士たちは戸惑いながらも、私の指示にきびきびと従い始めた。
村人たちは私たちが一体何を始めようとしているのか、遠巻きに訝しげな顔で見つめている。
私は馬車から持ってきた全ての食材を広場に運び出した。
穀物、豆、干し肉、そして帝都から持ってきた色とりどりの野菜。
私がこれから始めるのは、ただの食事作りではない。
この絶望に沈んだ村に再び生命の灯火をともすための、聖女としての最初の戦いだった。
「見ていてください、皆さん」
私はかまどに燃え盛る炎を見つめながら固く誓った。
「私の料理で、この村を必ず救ってみせます」
私の【生命賛-歌】の力が今、試されようとしていた。
538
あなたにおすすめの小説
【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
罰として醜い辺境伯との婚約を命じられましたが、むしろ望むところです! ~私が聖女と同じ力があるからと復縁を迫っても、もう遅い~
上下左右
恋愛
「貴様のような疫病神との婚約は破棄させてもらう!」
触れた魔道具を壊す体質のせいで、三度の婚約破棄を経験した公爵令嬢エリス。家族からも見限られ、罰として鬼将軍クラウス辺境伯への嫁入りを命じられてしまう。
しかしエリスは周囲の評価など意にも介さない。
「顔なんて目と鼻と口がついていれば十分」だと縁談を受け入れる。
だが実際に嫁いでみると、鬼将軍の顔は認識阻害の魔術によって醜くなっていただけで、魔術無力化の特性を持つエリスは、彼が本当は美しい青年だと見抜いていた。
一方、エリスの特異な体質に、元婚約者の伯爵が気づく。それは伝説の聖女と同じ力で、領地の繁栄を約束するものだった。
伯爵は自分から婚約を破棄したにも関わらず、その決定を覆すために復縁するための画策を始めるのだが・・・後悔してももう遅いと、ざまぁな展開に発展していくのだった
本作は不遇だった令嬢が、最恐将軍に溺愛されて、幸せになるまでのハッピーエンドの物語である
※※小説家になろうでも連載中※※
魔物が棲む森に捨てられた私を拾ったのは、私を捨てた王子がいる国の騎士様だった件について。
imu
ファンタジー
病院の帰り道、歩くのもやっとな状態の私、花宮 凛羽 21歳。
今にも倒れそうな体に鞭を打ち、家まで15分の道を歩いていた。
あぁ、タクシーにすればよかったと、後悔し始めた時。
「—っ⁉︎」
私の体は、眩い光に包まれた。
次に目覚めた時、そこは、
「どこ…、ここ……。」
何故かずぶ濡れな私と、きらびやかな人達がいる世界でした。
公爵夫人の気ままな家出冒険記〜「自由」を真に受けた妻を、夫は今日も追いかける〜
平山和人
恋愛
王国宰相の地位を持つ公爵ルカと結婚して五年。元子爵令嬢のフィリアは、多忙な夫の言葉「君は自由に生きていい」を真に受け、家事に専々と引きこもる生活を卒業し、突如として身一つで冒険者になることを決意する。
レベル1の治癒士として街のギルドに登録し、初めての冒険に胸を躍らせるフィリアだったが、その背後では、妻の「自由」が離婚と誤解したルカが激怒。「私から逃げられると思うな!」と誤解と執着にまみれた激情を露わにし、国政を放り出し、精鋭を率いて妻を連れ戻すための追跡を開始する。
冒険者として順調に(時に波乱万丈に)依頼をこなすフィリアと、彼女が起こした騒動の後始末をしつつ、鬼のような形相で迫るルカ。これは、「自由」を巡る夫婦のすれ違いを描いた、異世界溺愛追跡ファンタジーである。
ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされ
古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
第二回ドリコムメディア大賞一次選考通過作品。
ドジな公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間、前世の記憶を取り戻したのだ。
そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。
「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。
冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強騎士の恋愛物語になるはずです。でも、その騎士も訳アリで…。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。
皆様のお陰でHOTランキング第4位になりました。有難うございます。
小説家になろう、カクヨムでも連載中です。
『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』
ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています
この物語は完結しました。
前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。
「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」
そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。
そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?
前世で孵した竜の卵~幼竜が竜王になって迎えに来ました~
高遠すばる
恋愛
エリナには前世の記憶がある。
先代竜王の「仮の伴侶」であり、人間貴族であった「エリスティナ」の記憶。
先代竜王に真の番が現れてからは虐げられる日々、その末に追放され、非業の死を遂げたエリスティナ。
普通の平民に生まれ変わったエリスティナ、改めエリナは強く心に決めている。
「もう二度と、竜種とかかわらないで生きていこう!」
たったひとつ、心残りは前世で捨てられていた卵から孵ったはちみつ色の髪をした竜種の雛のこと。クリスと名付け、かわいがっていたその少年のことだけが忘れられない。
そんなある日、エリナのもとへ、今代竜王の遣いがやってくる。
はちみつ色の髪をした竜王曰く。
「あなたが、僕の運命の番だからです。エリナ。愛しいひと」
番なんてもうこりごり、そんなエリナとエリナを一身に愛する竜王のラブロマンス・ファンタジー!
異世界に行った、そのあとで。
神宮寺 あおい
恋愛
新海なつめ三十五歳。
ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。
当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。
おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。
いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。
『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』
そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。
そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる