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第二章 シルフェリアとの別れとイリスの覚悟

74話 「魔道榴弾砲の発射」その2

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シルフィーナが極大魔法「アーク・トルネードブラスト」を砲弾の1発に仕込んでいたので試験発射は15分後にまで伸びていた。

《エリカ?お待たせしましたわ。
わたくしが「アーク・トルネードブラスト」を仕込んでまして、申し訳ありませんわ。
では、発射致します》

《ふえ?!アーク?・・・・シルフィーナちゃん?何て言ったの?》

《発射まで10秒・・・・8・・・7・・・6・・・》
カウントダウンを始めるシルフィーナ。

《え?え?え?アーク??って何?!シルフィーナちゃん????》
まさかシルフィーナが思い付きだけでそんな事をしていたと思って無かったエリカは大混乱に陥って中止指示を出す事は出来なかった・・・

《3・・・2・・・1・・・発射致します》

シルフィーナの「発射致します」の言葉にハァ?!と我に帰ったエリカが、
《総員!!高度5000mまで急速上昇!!!》と龍騎士達に指示を出して大きく羽を広げる!

「ええ?!」いきなりの急上昇指示に驚く龍騎士達だが日頃の厳しい訓練の賜物で全員が反応してエリカに続いて急上昇を始める!

龍騎士隊イリスが高度4000m付近まで上昇した時・・・

ゴゴゴゴゴゴゴオオオオオオオンンンンンンンンン!!!!!!

遥か下に見える地表に蒼い閃光が走り直径2kmは有る火の玉が発生した!!

「えええええええええーーーーーー?!なにアレーーーーー??!!!」

《!!!!!!総員!!!対物理障壁展開!!!》
エリカが風の物理障壁を展開すると、それに反応した竜達が各々の障壁を展開する!

物理障壁が展開された瞬間に魔道榴弾砲の爆発の衝撃波が龍騎士隊イリスを襲った!

ズドン!!!ズゴオオオオオオオオオオオオ!!!!

「きゃああああああ?!何コレーーーーーー?!」
バリバリ!!!バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!!
衝撃波と障壁がぶつかり音を立てて障壁が猛烈に振動する!!

すると真っ赤な火の玉の中に再度、蒼い閃光が走ると・・・
ズゴゴゴオオオオオオオンンンンン!!!
火の玉が放つ余りにも高熱のエネルギーに物理限界を超えた大気が水素爆発・・・ つまり「核爆発」が発生したのだ!

《うっひゃああああ?!核ーーー?!障壁出力全開ーーーーーーー!!!!》

「キュエエエエエンンン?!」「クエエエエエエエエーーー??!!」
竜達も持てる魔力全てを障壁へと注ぎこむ!!

「ひゃあああああああ??!!!」
イリスも全魔力を使っての「絶対魔法障壁」を龍騎士隊イリスの前面に張り出す。

ビリビリビリリリリリリリリ!!!
イリスの「絶対魔法障壁」が核爆発の衝撃波を吸収するが。
爆心地から15kmは離れているのに関わらずに物凄い振動を絶対魔法障壁に感じる。

「いやああああーーーーーーーーーーーーーーー?!」

《イリスーーー?!頑張ってえええええ!!!》

ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ・・・・・

ベレンガレア平野に巨大なキノコ雲が立ち昇ったのだった。






ズゴゴゴコゴゴゴゴゴゴ・・・・・

「うわ?!地震だーーーーーー!!!」
地表を伝わり核爆発が起こした地震がベレンガレア要塞を襲う!

一つの山脈超えで榴弾砲を撃ったので核爆発は前方の山脈にぶつかり拡散されてベレンガレア要塞は無傷だったが震度5弱の地震は到達したのだ。

日本人と違い地震をほとんど体験した事の無いベレンガレア要塞の兵士達は大混乱に陥ってしまう。

爆風は来ないが空気を伝わる衝撃波がシルフィーナを襲い、空中でクルクルと回り出すシルフィーナ。

ドスン!!!

シルフィーナに乗っていた勇者ガストンは案の定、落下して無言のまま真下の地面にめり込んだ。

それでも擦り傷程度なのは、さすがの勇者様だ!と言うかシルフィーナからの落下にはメッチャ慣れているので受け身は万全なのだ。

お前、普段からどんだけ自分の旦那様を落としてんだよ?

《なななななな何の衝撃なのですか?!エリカーーーー?!》クルクルクル
いやエリカじゃなくってお前のせいだーーーーーー!!!

しかし頑丈な軍事拠点なので多少城壁が崩れただけでベレンガレア要塞の被害は軽微なモノだった。

家具等などもしっかりと壁に固定されているので家具転倒事故なども起こらず、焦って自分から転倒した15名が膝などをぶつけた程度の軽症を負った。

《本当になんなんですのーーーー?!》クルクルクル
お前の方が「なんなんですのーーーー?!」だよ!!!






《・・・・・・・ゾンビ共が一匹残らずに消滅しおった・・・》
まさかの「核攻撃」に唖然呆然の魔王バルドル。

元大日本帝国軍人にして元日本国海上自衛隊員のバルドルでも実際の核爆発を初めて目撃して放心状態だ・・・・

「・・・・・・・・・・ふにゅう・・・・」
全力で極大魔法の「絶対魔法障壁」を展開してまた魔力欠乏症に罹ったイリスはエリカの背中の上で気絶する。

爆心地に居たゾンビ軍団は猛毒の液体ごと完全消滅・・・
ネクロマンサーは・・・核攻撃の前には当然何も出来ずに消滅したのだった。

ゾンビ軍団との戦闘には勝利??した龍騎士隊イリス。
しかし当たり前だがこんな異常事態を龍種達が見逃す訳が無い。




「ええええーーーー?!わたくしーーー?!」

「「わたくしーーー?!じゃないわよ?!何してんのアンタ!!
とりあえず「逮捕」連行します!!」」
怒髪天の天舞龍リールに逮捕された諸悪の根源の風竜シルフィーナ。

何故か巻き添えで逮捕される勇者ガストン。
「行こう?シルフィーナ」妻だけ逮捕されるのは忍びないと、旦那様のガストンは無実の罪だが、大人しく一緒に連行されて行った。

愛されてるねぇ。



「クライルスハイム様が「とにかく一回出頭しろ!」だってさ」

天舞龍リールと同じく怒髪天の地龍王クライルスハイムの命令で龍騎士隊イリスの責任者のイリスと作戦を立案したエリカを逮捕しに来た滅茶苦茶呆れた表情の地龍のブリックリン。

「はい・・・」これはしょうがないと諦めるイリス。

「べっ弁護士を!弁護士をお願いします!」往生際の悪い安定のエリカ。

こうしてイリスとエリカは仲間のブリックリンに逮捕連行された。
お前らマジで何回逮捕されれば気が済むんだ??



本国に帰還したロイから要塞砲を使った核攻撃の詳細とイリス、エリカ、シルフィーナ、ガストンが龍種に逮捕されたと報告を受けた女王クレアは失神した・・・

要領の良い魔王バルドルは自分から海龍王アメリアの元へ出頭した。
三龍王で1番、人に対して甘い海龍王アメリアを狙う辺りはさすがの一言だ。


ゴルド王国による南の大陸への侵攻の最後は「核攻撃」と言うまさかの形で終結したのだった。
書いてて楽しかったです、後悔はしていませんです。

☆次回より帳尻合わ・・・ゲフンゲフン。
閑話を数話投稿して新章へと物語は突入して行きます^^)/
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