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第二章
1 春の嵐
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春になり、私は大学に戻り、雅冬さんは宮ノ入グループの副社長になった。
八木沢さんは社長秘書だけは譲りたくないらしく、常務と兼任しているとか。
聖子さんは貴子様に言われたせいか、海外赴任について行き、『撫子の宮会』は滅多に開かれることがなくなり、平和が訪れた。
テレビの桜の開花予想を眺めつつ、朝食の目玉焼きを皿にのせ、レタスとトマトを添えた。
パンをトーストし、カフェオレを置いて、ガラスの器にはイチゴを盛った。
「よし!できた!」
「菜々子。大学、楽しそうだな」
「ええ、まあ」
「せっかく、落ちついたのに」
残念そうに雅冬さんが言った。
前のように一緒に働けなくなったのが、寂しいようだった。
「一年間だけですから」
「ああ」
副社長になった雅冬さんは社長に代わり、取材を受けることが多い。
私としては複雑な気持ちだった。
「また雑誌に写真が載ってますよ」
なにが
『華麗なる一族。宮ノ入グループのイケメン副社長』
とか
『スーツが似合う男』
『今、一番モテるできる男』
なんかが、写真の横に書いてあるけど、雑誌やら、テレビに出るせいで、以前よりモテていた。
私は声を大にして言いたい!
雅冬さんは結婚してますからっ!と。
「心配しなくても大丈夫だ。結婚指輪も見えるように撮ってもらってあるだろ?」
ちゃんと気を遣ってくれているのはわかるけど。
「仕事って、わかってますけど」
くしゃ、と髪ごと顔を両手で包み込まれた。
優しい顔で雅冬さんは微笑んだ。
「あのな、俺はお前は妻である前に恩人だと思っているんだ」
「え?そんなすごいことしてないですよ!?」
恩?そんな恩を売れるようなこと、した覚えがない。
なにをしたというのだろう。
「初めて会った日、両親からは瑞生や直真のいいように使われて馬鹿じゃないかっとか、出来の悪い息子が帰ってきたと、散々文句を言われた後だった。けど、菜々子が話しかけてくれた時、辛かった気持ちが軽くなったんだ」
最初に見た雅冬さんは悲しそうだったのを覚えている。
「両親の期待に応えられなかったからな」
暗い表情で目を伏せたけれど、私も雅冬さんの顔を両手で包み込んで微笑んだ。
「あんまり優秀になったら、余計にモテモテになりますよ」
「妬いてるのか」
「当たり前です!」
「俺の気持ちを軽くできるのは、菜々子だけだ」
そう言って、雅冬さんは抱きしめると、唇を重ねた。
「特別なんだ」
真剣なまなざしに胸が熱くなった。
「二度目のプロポーズみたいですね」
首に腕を回し、自分からキスをした。
「菜々子こそ、大学で浮気するなよ」
真面目な顔をして言われた。
「するわけないでしょ!!」
まったく、独占欲が強いんだから。
ぺちっと額を叩いた。
「遅刻しますよ!」
「そうだな」
慌てて、朝食を食べ、二人で部屋から出た。
「今日のご飯は何がいいですか?」
「和食かな」
エントランスに出ると、警備員とコンシェルジュが一礼し、挨拶をした。
「何限目からなんだ?」」
「今日は二限目からなんですけど。図書館で少し勉強してから、二限にでるつもりなんです」
「偉いな。菜々子は」
ぐしゃぐしゃと頭を撫でられた。
「子ども扱いはやめてください」
「キスの方がいいのか」
「今は駄目です。誰かに見られたら、恥ずかしいですから!」
外国じゃあるまいし。
マンション内で何を言われるやら。
エレベーターを降りると。エントランスでサラサラの長い黒髪に瞳、ぱりっとしたスーツを着た綺麗な大人の女性とすれ違った。
「菜々子、待て。途中まで一緒に行こう―――」
「雅冬っ!」
振り返ると、その綺麗な女の人が雅冬さんに抱きついていた。
「綾香!どうしてここに?」
誰?
その人は。
そう言いたかったけれど、言葉が出てこなかった。
あまりにも二人がお似合いすぎて―――
八木沢さんは社長秘書だけは譲りたくないらしく、常務と兼任しているとか。
聖子さんは貴子様に言われたせいか、海外赴任について行き、『撫子の宮会』は滅多に開かれることがなくなり、平和が訪れた。
テレビの桜の開花予想を眺めつつ、朝食の目玉焼きを皿にのせ、レタスとトマトを添えた。
パンをトーストし、カフェオレを置いて、ガラスの器にはイチゴを盛った。
「よし!できた!」
「菜々子。大学、楽しそうだな」
「ええ、まあ」
「せっかく、落ちついたのに」
残念そうに雅冬さんが言った。
前のように一緒に働けなくなったのが、寂しいようだった。
「一年間だけですから」
「ああ」
副社長になった雅冬さんは社長に代わり、取材を受けることが多い。
私としては複雑な気持ちだった。
「また雑誌に写真が載ってますよ」
なにが
『華麗なる一族。宮ノ入グループのイケメン副社長』
とか
『スーツが似合う男』
『今、一番モテるできる男』
なんかが、写真の横に書いてあるけど、雑誌やら、テレビに出るせいで、以前よりモテていた。
私は声を大にして言いたい!
雅冬さんは結婚してますからっ!と。
「心配しなくても大丈夫だ。結婚指輪も見えるように撮ってもらってあるだろ?」
ちゃんと気を遣ってくれているのはわかるけど。
「仕事って、わかってますけど」
くしゃ、と髪ごと顔を両手で包み込まれた。
優しい顔で雅冬さんは微笑んだ。
「あのな、俺はお前は妻である前に恩人だと思っているんだ」
「え?そんなすごいことしてないですよ!?」
恩?そんな恩を売れるようなこと、した覚えがない。
なにをしたというのだろう。
「初めて会った日、両親からは瑞生や直真のいいように使われて馬鹿じゃないかっとか、出来の悪い息子が帰ってきたと、散々文句を言われた後だった。けど、菜々子が話しかけてくれた時、辛かった気持ちが軽くなったんだ」
最初に見た雅冬さんは悲しそうだったのを覚えている。
「両親の期待に応えられなかったからな」
暗い表情で目を伏せたけれど、私も雅冬さんの顔を両手で包み込んで微笑んだ。
「あんまり優秀になったら、余計にモテモテになりますよ」
「妬いてるのか」
「当たり前です!」
「俺の気持ちを軽くできるのは、菜々子だけだ」
そう言って、雅冬さんは抱きしめると、唇を重ねた。
「特別なんだ」
真剣なまなざしに胸が熱くなった。
「二度目のプロポーズみたいですね」
首に腕を回し、自分からキスをした。
「菜々子こそ、大学で浮気するなよ」
真面目な顔をして言われた。
「するわけないでしょ!!」
まったく、独占欲が強いんだから。
ぺちっと額を叩いた。
「遅刻しますよ!」
「そうだな」
慌てて、朝食を食べ、二人で部屋から出た。
「今日のご飯は何がいいですか?」
「和食かな」
エントランスに出ると、警備員とコンシェルジュが一礼し、挨拶をした。
「何限目からなんだ?」」
「今日は二限目からなんですけど。図書館で少し勉強してから、二限にでるつもりなんです」
「偉いな。菜々子は」
ぐしゃぐしゃと頭を撫でられた。
「子ども扱いはやめてください」
「キスの方がいいのか」
「今は駄目です。誰かに見られたら、恥ずかしいですから!」
外国じゃあるまいし。
マンション内で何を言われるやら。
エレベーターを降りると。エントランスでサラサラの長い黒髪に瞳、ぱりっとしたスーツを着た綺麗な大人の女性とすれ違った。
「菜々子、待て。途中まで一緒に行こう―――」
「雅冬っ!」
振り返ると、その綺麗な女の人が雅冬さんに抱きついていた。
「綾香!どうしてここに?」
誰?
その人は。
そう言いたかったけれど、言葉が出てこなかった。
あまりにも二人がお似合いすぎて―――
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