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39.精霊王の教え?

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 そして、精霊様たちが一斉に声を上げましたわ。

『わたしのために争うのは止めて~!!』

 その声と同時に精霊様たちは魔法を使ったらしく、アデライン様もアルフォンソ殿下も目を見開いて口をパクパクしております。
 たぶん声が出なくなるようにしたか、音を吸収してしまう魔法を使ったのでしょう。

 けれど、今の掛け声はなんでしょうか。
 もう耳にした瞬間、わたくし力が抜けるというか、笑いだしそうになったというか。

『争っている人を止める魔法なの~』
『そうそう、何百年か前にいたおかしな聖女がねぇ、よくこう言ってたんだよ?』
『そうだよねぇ、止めて~って言いながら魔法でボコボコにしてたこともあったよねぇ』
『面白かったの~』
『だから覚えてたんだよ』

 わたくし頭痛がしてきましたわ。

 今物凄く聞き捨てならない単語があったのですけれど。

 この国に聖女様がいらっしゃったんですの? しかも、どう考えても転生者ですわよね?

『声が出なくなる魔法はね、精霊王様たちが教えてくれたの~』
『さすがに精霊が人間をボコボコにするのはまずいからって』

 あー、もう。これは何と言ったらいいんですの? 精霊王様にはお会いしたことはありませんが、なんだかとても居たたまれない気分になっておりますわ。

 ある意味、同胞がご迷惑をおかけして申し訳ありませんと、五体投地して謝罪したい気分ですの。

 けれど精霊王様たちはそう簡単には人間の前に姿を現す事はありません。
 なぜならこの世界では精霊王様たちは神に等しい存在とされておりますから。

 この王宮には精霊様が多くおられますが、それは陛下が水の上級精霊様と契約をされていらっしゃるからでしょう。
 それに精霊様たちも、そう簡単いは人間の前には現れませんし、よほど相性が良くなければ姿を見ることもできないらしいのです。

 わたくしは見えるようになった、と思った時にはほとんどの精霊様の姿を目にすることが出来ましたけれど。それは多分、転生者の特権チートなのではないかと思っております。
 ですので、精霊様が見えるという事は殿下たちにもお話ししてはおりませんの。

「アデリア様、取り合えず場所を移した方が」

 お二人が静かになったからでしょう。
 マーリンの人払いも功を奏しているようですわ。
 まだ若干わたくし達の様子を伺っている者はおりますけれど、それもソフィアが視線を向ければそそくさと持ち場に戻って行きますわね。

「では、とりあえず皆さま応接室にでも参りましょうか」

 わたくしの部屋にでも、と思いましたが、このご令嬢たちを部屋に入れるのは少々躊躇われました。なので、王宮の入り口にほど近い場所へと移動することにしたのですわ。

 何せわたくしの部屋は、どちらかというと王族方の私室に近い場所にあるのです。
 準王族の扱いですからね。

 そんな場所にこういうご令嬢方を案内するのは、それはそれで問題になりそうですもの。
 仕方ありませんわよね。


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