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路地
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歩く速度は早く、軽く駆けて追いかける私をどんどんと引き離していく。
「ちょ、……待ってください」
息切れしつつ追いかける私の声は聞こえているはずなのに、それを無視して先に進んでいく。
(もう)
私はダッシュをし、ジャックさんの隣に追いつき、そして前に出ると手を広げて止めた。
「い、今、行っても無理に決まってます」
「なぜ?」
「何故って……こんな明るい時に行ったらエリス以外にバレますよ。そしたらもう二度と会うなんて出来ませんよ?それでも?」
「……じゃあ夜なら良いんですね。夜なら協力してもらえるんですよね?」
「それは……」
「退いてください。私はエリスに会わないといけない。そしてちゃんと返事を貰わないと」
私を横に払いのけるとまた歩き出そうとする。
「わかりました!?協力するから止まって」
声に反応し、立ち止まると振り返り『最初から……』と呟く。
ーーーーーー
私達は闇夜に紛れて街中から屋敷へと続くを注意深く歩いて行った。
見覚えのある景色。
ニコルと婚姻した際に通った道だ。
「それでどうやって屋敷内に入るんです?誰か協力者でも?」
「そんな人、いません」
「いない?……じゃあどうやって入るんです?」
ヒソヒソと話しつつ進むと、路地から私達に声をかけてくる人物がいた。
「お前達」
聞かれた!と思ってその声をやり過ごそうと私はするがジャックさんは立ち止まっていた。
「何してるんですか、早く行きましょう」
「……まさか、ファーラス、か?」
「えっ」
立ち止まったジャックさんの元へと戻り、路地へと目を向けると痩せ細り、ボロボロの格好の老人がいた。
「誰だ、俺の名を知ってるお前は」
ファーラスだった。
「……こんな場所で会うなんてな、覚えてないか。ジャックだよ」
「ジャック?……知らんな。お前みたいな若造など」
ファーラスの言葉にジャックさんは路地へと入っていくといきなり掴み掛かっていき、一気に押し倒し馬乗りの状態になっていた。
「ちょっと、ジャックさん!」
「ふん、女連れなどなおさら知らん。離さんか!」
「……あんたがこんな場所にいるなんてな。屋敷を追い出されたか?」
「あぁ!?何故そんなこと知ってる。お前は誰だ!」
「さっきから言ってるだろ?ジャックだ、と」
「知らん!ジャックなど、おい、女。こいつを引き剥がせ」
「くくく……」
「なにがおかしい?」
「あんた、この女性の顔を覚えてないのか?」
「あぁ??」
ジャックさんは馬乗りの状態のまま胸ぐらを掴み、ファーラスの顔を引き起こすと、私の事を見るように強要していた。
「良く見ろ」
「……知らん」
「そうか、じゃあリースって名なら知ってるだろ?ニコルの奥さんだった」
「ニコルだ!??……お前、なのか。ドブネズミ」
その呼び方をされて私は手をギュッと握り込んだ。
嫌な思い出が一気に頭に蘇ってきて気分が悪くなってくる。
「思い出したようだな。……ちょうど良い、あんた屋敷への隠し扉や通路とか知ってそうだな」
「なにを言ってる、屋敷?何のことだか」
惚けるファーラスに怒り、ジャックさんは掴んだ胸ぐらを地面へと叩きつけ始め、その度にファーラスの悲痛な叫びが広がる。
「やめて!こんな場所で」
「黙っててくださいよ、こいつを使えばすぐに屋敷に。
それに復讐も兼ねれるなんて一石二鳥じゃないですか?」
こちらを向きつつ話すその顔は、あの殺人者の顔になっていた。
と、その時、私は能力を使っていた。
見た光景は凄惨な物で……。
それを実行させないため、私はジャックさんの掴む手を取った。
「ちょ、……待ってください」
息切れしつつ追いかける私の声は聞こえているはずなのに、それを無視して先に進んでいく。
(もう)
私はダッシュをし、ジャックさんの隣に追いつき、そして前に出ると手を広げて止めた。
「い、今、行っても無理に決まってます」
「なぜ?」
「何故って……こんな明るい時に行ったらエリス以外にバレますよ。そしたらもう二度と会うなんて出来ませんよ?それでも?」
「……じゃあ夜なら良いんですね。夜なら協力してもらえるんですよね?」
「それは……」
「退いてください。私はエリスに会わないといけない。そしてちゃんと返事を貰わないと」
私を横に払いのけるとまた歩き出そうとする。
「わかりました!?協力するから止まって」
声に反応し、立ち止まると振り返り『最初から……』と呟く。
ーーーーーー
私達は闇夜に紛れて街中から屋敷へと続くを注意深く歩いて行った。
見覚えのある景色。
ニコルと婚姻した際に通った道だ。
「それでどうやって屋敷内に入るんです?誰か協力者でも?」
「そんな人、いません」
「いない?……じゃあどうやって入るんです?」
ヒソヒソと話しつつ進むと、路地から私達に声をかけてくる人物がいた。
「お前達」
聞かれた!と思ってその声をやり過ごそうと私はするがジャックさんは立ち止まっていた。
「何してるんですか、早く行きましょう」
「……まさか、ファーラス、か?」
「えっ」
立ち止まったジャックさんの元へと戻り、路地へと目を向けると痩せ細り、ボロボロの格好の老人がいた。
「誰だ、俺の名を知ってるお前は」
ファーラスだった。
「……こんな場所で会うなんてな、覚えてないか。ジャックだよ」
「ジャック?……知らんな。お前みたいな若造など」
ファーラスの言葉にジャックさんは路地へと入っていくといきなり掴み掛かっていき、一気に押し倒し馬乗りの状態になっていた。
「ちょっと、ジャックさん!」
「ふん、女連れなどなおさら知らん。離さんか!」
「……あんたがこんな場所にいるなんてな。屋敷を追い出されたか?」
「あぁ!?何故そんなこと知ってる。お前は誰だ!」
「さっきから言ってるだろ?ジャックだ、と」
「知らん!ジャックなど、おい、女。こいつを引き剥がせ」
「くくく……」
「なにがおかしい?」
「あんた、この女性の顔を覚えてないのか?」
「あぁ??」
ジャックさんは馬乗りの状態のまま胸ぐらを掴み、ファーラスの顔を引き起こすと、私の事を見るように強要していた。
「良く見ろ」
「……知らん」
「そうか、じゃあリースって名なら知ってるだろ?ニコルの奥さんだった」
「ニコルだ!??……お前、なのか。ドブネズミ」
その呼び方をされて私は手をギュッと握り込んだ。
嫌な思い出が一気に頭に蘇ってきて気分が悪くなってくる。
「思い出したようだな。……ちょうど良い、あんた屋敷への隠し扉や通路とか知ってそうだな」
「なにを言ってる、屋敷?何のことだか」
惚けるファーラスに怒り、ジャックさんは掴んだ胸ぐらを地面へと叩きつけ始め、その度にファーラスの悲痛な叫びが広がる。
「やめて!こんな場所で」
「黙っててくださいよ、こいつを使えばすぐに屋敷に。
それに復讐も兼ねれるなんて一石二鳥じゃないですか?」
こちらを向きつつ話すその顔は、あの殺人者の顔になっていた。
と、その時、私は能力を使っていた。
見た光景は凄惨な物で……。
それを実行させないため、私はジャックさんの掴む手を取った。
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