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ユーリって…

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エリスさんの言葉にカチンときたがここで何か言うべきではないと思って口に出そうになった言葉を飲み込んだ。

見様見真似でホイップを作ろうとしたが、うまくいかずほとんど水のようなままだった…。
それを見てエリスさんは首を振りながらため息をついていた。

「一週間では無理そうね。諦めたら?」

必死に泡立てようとしている私にさっさと諦めろと言い、ボウルを取り上げようとしてくる。
そんな行動を取るエリスさんに『まだ始めたばかり。すぐに出来るわけない!』と厨房にいる皆に聞こえるように大声をあげてしまい、取り上げようとしたボウルを奪い返そうとしたが、叩くような感じになってしまい、ガラーンとボウルが落ちる音が厨房の中に響いた。

お互い拾おうとせず、睨み合っていた。

そんな時ゆっくりと近づき頭を押さえつけてくる手があった…。
誰、と思い振り返るとユーリだった。
その顔は見た事ないくらい険しく、そして冷たい感じがした。

「あなた、今誰に言ってるかわからないの?
ブライス様から貰った紙の事をしろって言われたはず。
もう忘れたの?」

「だって」

パンッ

私はユーリに右頬を叩かれた…。
すぐに叩かれた右頬を押さえ、なぜ叩くのかと問い詰めると、ユーリは黙って私の手を引き厨房を出て行った。
その力は同い年の女の子とは思えないくらい強く、そしてギュッと繋いだ手は跡が残るくらいだった。

しばらく黙って廊下を歩き、人気の無い場所で立ち止まるとようやく手を離してくれた。
そしてすぐに私と向き合うと『今すぐにでも謝ってきなさい、今ならまだ間に合う』と言ってきた。

でも、すぐに行動をとらない私の両肩を掴んでは壁に押しつけ何度も壁に体をぶつけさせてきた。

「痛い…やめてよ」

「今行かないならもうこんな試験、自分から辞退しなさい、あなたではブライス様に相応しくない」

あれだけ優しいと思っていたユーリから聞く言葉に私は何も言えなくなっていた。
それどころか目に涙を浮かべ、いまにも泣きそうになった。

「泣かない!早く行く!?」

怖かった…。
心の支えになると思っていたユーリでさえ、嫌いになりそうになる。
両手で目を押さえ泣き出した私を見たユーリは何も言わずにその場から去っていった。
去り際に『最初はあなたなのかもね…』とブライスと同じ言葉を残して…。

私はしばらく泣いていた…。

(なんでユーリまで…あんなに優しかったのにここにきてからおかしい。
ブライスに認められたい一心なだけ?それとも邪魔な私をさっさと落として有利になりたいため?)

色々考えていると、コツコツ…とこちらにやってくる足音があった。
そして廊下で泣く私を見るなり
『一週間では早いか…』と言う声がした。
下を向き泣いていた顔を上げ、声がする方を見るとエリスさんがそこにはいた。

目が合うと気まずそうに横を向いては左頬を掻いていた。
ゆっくり近づき私のところまで来ると手を差し出してきた。
『あなた、良い友達いるのね』と言いながら…。


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