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自暴自棄

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抱きつき泣く私をマリーはゆっくりと優しく頭を撫でてくれた…。
それが何よりも嬉しくて。

「泣かないで、お母様」

「ごめんね…マリー…」

廊下で泣く私を見守るマリーとユーリ。
遠くにいるブライスはこちらの事など気にする様子は無く、どんどんと私から離れていく。
それはまるで私の事はもう頭には無く、あるのは浮気相手の事ばかりなのでは、と思うほどに。

「リーネ…部屋に行こう、ここじゃマズイから」

マリーにしがみつきながら答える私は涙で顔じゅうボロボロで化粧なんて落ち、とても人に見せれる様な顔じゃなかった。
立ち上がり支えてもらいながら部屋へと戻るが、足元はフラフラで迷惑をかけっぱなしだ。

「…その様子じゃあまり良いとは言えないね。
何があったの?」

首を横に軽く振りユーリの質問には答えようとしなかった。
それはマリーがいるからでもあるが、自分の口から言うのが嫌で堪らなかったからだ。
押し黙る私を見てはとりあえず部屋に戻るのが良いなと感じたんだろう、それ以上は何も聞かず部屋へと戻った。

「マリー、私はリーネと話したい事あるから私の部屋に行っててくれる?」

「私もいる」

「ダメ、大事な話なんだから」

私が弱った姿を見せたからだろうか、マリーが私といると言ったのは少し安心した。
あのまま私に近寄らない事が続いたらどうしようか…と思っていた。
でも、今はユーリとしっかり話したいからマリーに告げた。

「マリー、私からもお願い。
ユーリの部屋に行ってて欲しい」

ベットに腰掛けている私は力無い声で語りかけ少し頭を下げてお願いした。
近くで立つマリーは私とユーリが出ていく様に言うもんだから少し拗ねているんだろう。
下を向いては足を床にすりすりと動かしている。

「マリー…?」

「…あとでお話して欲しい」

こちらを向かずに言う言葉だったが、私は嬉しかった。

「もちろん、色々話してあげる」

「約束だよ」

そう言うとマリーは私達の前から離れ部屋を出てはユーリの部屋へと向かっていった。
残された私とユーリ。
私を見下ろす様にすぐ側で立っていたユーリだったが、私が座るベットに座り同じ目線になった。

「これで話せるね。で、何があったの…?」

「…私以外にいるみたい。
それも一人じゃないかもしれない」

「どういう事!?何人もいるって事?
リーネ、お願い。私にはちゃんと教えて」

私はユーリに2年以内に子供、それも男の子が出来なければ離縁される事を告げた。

「どうして急にそんな事を…?
それに2年以内と言っても実際に生まれる時期を計算したらもう今年中に出来てなければ…」

「ブライスはもう私とは居たくないんだよ、きっと…。
だからそんな風に言ってさっさと他に移りたいんだと思う。
今の私はただ欲求解消の為の娼婦みたいなもの…」

「そんな酷過ぎる!今、ブライス様は何処に?」

「多分もう屋敷には居ないよ、出かけると言っていたから…」

私は至って冷静に淡々と話していた…。
それは自分でも驚くくらいに。
もっと泣き喚いたりしながらが普通なのかもしれないのに次々と言葉が出てくる。
もしかしたら私自身がもうブライスの事を…。

そんな時
パンッと乾いた音と同時に私は右頬に痛みを感じた。
驚き痛みが残る顔を戻すとユーリが泣いていた。
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