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とうとう…
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暗い夜道を歩く二人。
二人を照らすランタンの灯りを頼りにアリスのいるレイナード家を目指す。
そこにはブライスもおり、今二人で何を語ったりしているのだろうかと思うと歩む足が重く感じる。
レイナード家に行くには一度アカデミーまで行き、そこから小高い山を少し登った所にある。
それは昔ユーリがいたイシュバール家の近くだ。
「まさかアリスなんて…」
ボソッと呟くユーリがおり、それは私も同じ気持ちだった。
同じアカデミーにいた人物とブライスがつながっていた。
試験では『要らない』と告げていたのでそこでもう繋がりは終わったと思っていた。
でも実際には裏で繋がっていた。しかも7年という長い年月も経っており…。
「ユーリ…私だけいくよ…。巻き込ませるのも悪いし…」
繋いだ手を離そうと力を緩めたが、それは出来ない、と緩んだ手を強く握り返してきた。
「…リーネだけ行っても、ブライス様とアリスに言いくるめられる。それに、ブライス様と対峙してちゃんと話しあえるの?」
「それは…」
「私は出来ないと思ってる。何年一緒にいると思ってるの?
迷惑と思ってるならやめて。
私はあなたのサポートとして生きていくと決めたんだから」
その言葉にウルっとしてしまった。
そんな時ユーリが持っていたランタンを私の顔の方に近づけてきて顔を照らしてきた。
「泣かない。これから気持ちをぶつけるんでしょ?
もっと気持ちを強く持って!
アリスにこのまま取られていいの!?」
「…いやだ」
「いい、リーネ。
何言われてもあなた自身の言葉でブライス様に伝えるの。今思ってる気持ちを全部ぶつけるの、わかった?」
うん…と小さな声で答える私だったが、気持ちをぶつける事が出来るのか不安でしかなかった。
仮にぶつけた所で取り合わずそのまま私と離縁するなんて宣言されたら…と考えてしまった。
しかし行かない事には何も始まらないと私でも分かるので不安な気持ちのままユーリに引かれアカデミーへと向かい、そしてそこから見えるアリスの屋敷を目指した。
屋敷は少し小高い場所にあるのでアカデミーからでもその姿は見え、所々付いている灯りが目に映る。
その中の一つに二人がいるのでは…と思いながらゆっくりと近づいていく。
「ユーリ…」
近づくにつれ私の足取りは少しずつ進むのを拒むようになってきた。
繋いだ手を強引に引くユーリはそんな私の言葉を無視して慣れた足取りでドンドンと進んでいく。
「…ユーリ、ちょっと止まって」
「…」
「ねぇ…」
「…」
私の問いかけに一切答えず、進む先にはアリスの屋敷。
そしてその全貌が私の目にも飛び込んできた。
見上げると暗い夜中でも分かる白い外壁に所々アクセントとして使ってるのか赤いレンガが埋め込まれている。
貴族の中でも位が高いからか門構えも立派で重厚そうな装飾を施す様に圧倒される。
そんな時、門からすぐの場所に見慣れた馬車が一台置いてあった。
「…あれ、ライオネス家の、だよね」
「そうだね…」
その馬車を見つけた事で私とユーリは確信した。
いま、この屋敷にはブライスがいると…。
二人を照らすランタンの灯りを頼りにアリスのいるレイナード家を目指す。
そこにはブライスもおり、今二人で何を語ったりしているのだろうかと思うと歩む足が重く感じる。
レイナード家に行くには一度アカデミーまで行き、そこから小高い山を少し登った所にある。
それは昔ユーリがいたイシュバール家の近くだ。
「まさかアリスなんて…」
ボソッと呟くユーリがおり、それは私も同じ気持ちだった。
同じアカデミーにいた人物とブライスがつながっていた。
試験では『要らない』と告げていたのでそこでもう繋がりは終わったと思っていた。
でも実際には裏で繋がっていた。しかも7年という長い年月も経っており…。
「ユーリ…私だけいくよ…。巻き込ませるのも悪いし…」
繋いだ手を離そうと力を緩めたが、それは出来ない、と緩んだ手を強く握り返してきた。
「…リーネだけ行っても、ブライス様とアリスに言いくるめられる。それに、ブライス様と対峙してちゃんと話しあえるの?」
「それは…」
「私は出来ないと思ってる。何年一緒にいると思ってるの?
迷惑と思ってるならやめて。
私はあなたのサポートとして生きていくと決めたんだから」
その言葉にウルっとしてしまった。
そんな時ユーリが持っていたランタンを私の顔の方に近づけてきて顔を照らしてきた。
「泣かない。これから気持ちをぶつけるんでしょ?
もっと気持ちを強く持って!
アリスにこのまま取られていいの!?」
「…いやだ」
「いい、リーネ。
何言われてもあなた自身の言葉でブライス様に伝えるの。今思ってる気持ちを全部ぶつけるの、わかった?」
うん…と小さな声で答える私だったが、気持ちをぶつける事が出来るのか不安でしかなかった。
仮にぶつけた所で取り合わずそのまま私と離縁するなんて宣言されたら…と考えてしまった。
しかし行かない事には何も始まらないと私でも分かるので不安な気持ちのままユーリに引かれアカデミーへと向かい、そしてそこから見えるアリスの屋敷を目指した。
屋敷は少し小高い場所にあるのでアカデミーからでもその姿は見え、所々付いている灯りが目に映る。
その中の一つに二人がいるのでは…と思いながらゆっくりと近づいていく。
「ユーリ…」
近づくにつれ私の足取りは少しずつ進むのを拒むようになってきた。
繋いだ手を強引に引くユーリはそんな私の言葉を無視して慣れた足取りでドンドンと進んでいく。
「…ユーリ、ちょっと止まって」
「…」
「ねぇ…」
「…」
私の問いかけに一切答えず、進む先にはアリスの屋敷。
そしてその全貌が私の目にも飛び込んできた。
見上げると暗い夜中でも分かる白い外壁に所々アクセントとして使ってるのか赤いレンガが埋め込まれている。
貴族の中でも位が高いからか門構えも立派で重厚そうな装飾を施す様に圧倒される。
そんな時、門からすぐの場所に見慣れた馬車が一台置いてあった。
「…あれ、ライオネス家の、だよね」
「そうだね…」
その馬車を見つけた事で私とユーリは確信した。
いま、この屋敷にはブライスがいると…。
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