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決意

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響いた音の後に私の目の前に倒れ込んできたユーリ。
顔には叩かれて赤くなった左頬。
とても強く叩いたのだろう、手の跡がハッキリと残っていた…。

「何度も同じ事を言わすな、ユーリ。
お前が俺に口答えするのはおかしいといったはずだ。
リーネと同じ様に追い出すぞ?」

ユーリに向かって叫ぶブライスは顔を赤くし興奮した様子で言い放っていた。
そして、倒れたユーリと共に私を見ては何も言わずに見下ろしている。

「…最低」

「あ?なんかいったか?」

「最低っていったの!なんでユーリに手を上げるの?
私でしょ?
あなたにとって『要らない』のは。
そんなにすぐ別れたいなら…」

私は感情そのままにブライスが落とした紙に自分の名前を書き込み始めた。
殴り書きのように書いたので人が読めるような字では無かった。
でもそんなのは関係なかった。

「これでいい?」

書き終えるとブライスに見せた。
しかし…
その紙をユーリが奪い取りビリビリに破り出した…。

「ちょ…」

「なにやってるんだ!」

「リーネ、落ち着きなさい…。
離縁したらマリーに会えなくなる。いいの、それで?」

「な、なにいってるの?マリーは私が産んだ…。
いくら別れても私が…」

そう言いながらブライスを見るが、私に目を合わさなかった。
それよりもユーリの言葉にイラつき立ちながら貧乏ゆすりをしているようだった。

「ブライス、マリーは私が引き…」

「ダメだ」

首を横に振り私がマリーを引き取る事を拒み始めた。

「何故?私の大事な子だよ」

「マリーには俺の血が流れている。
それはライオネス家の正統な血脈、お前が引き取る事は許さん。
例えお前がいなくても面倒を見るメイドは沢山いるから心配するな」

私と離縁するだけじゃなく、マリーとも離れろと言うブライスに私は目の前が真っ暗になり右目からツーっと涙が流れた。

「泣く必要なんてないだろう。
お前だってマリーには手を焼いていたはず。
離れることが出来て自由になるじゃないか。それでお互いに…」

ドンッ

私はブライスの言葉にキレて思いっきりお腹をグーで殴った。
そんな事をしてくるとは思ってなかったみたいで油断していたブライスは体をくの字に曲げお腹を押さえている。

「リーネ…お前…」

「決めた。私はあなたと離縁しない。そしてマリーは絶対に渡さない。
アリスがあなたの子を産んでも構わない。
でも絶対に私は離縁はしない、それだけは言っておくから。
ユーリ、行こう」

悶絶しているブライスを尻目に私はユーリを引き起こし部屋を出て行こうとした。
するとアリスが口を開く。

「待って…今のはどういう意味…?
離縁しないって…私はずっと待ってるんだよ?」

「…知らない」

二人を残し私達は部屋を後にし、ライオネス家へと戻って行った。
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