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正解は…
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抵抗する力を緩めるのを見たブライスは、ふっ。と軽く息を吐いた。
「ようやく分かったか、お前も本当は…」
そんな風にいうブライスの顔を私は真っ直ぐみた。
でもその目には涙が浮かんでいた。
ちょっとした振動でその涙は横に流れ出しそうになる。
「泣く必要なんてないだろう?俺はお前を選んでいる。だから素直になれ」
押さえつけている手を緩め口から離すとブライスは私にキスをしてこようとした。
段々と近づいてくるブライスの顔。
目を閉じそれを受け入れるのが普通なのだが、私は…。
くるりと顔を右に向け、その行為から逃れた。
嫌だからだ…。
それと同時に私の目からは涙が頬を伝いベットを少し濡らす。
「リーネ、何故だ?」
「…離れて、ブライス。私はあなたとは出来ない。
もうこんな事するべきじゃない」
「なに言ってるんだ、お前は。
2年以内に出来ないなら離縁すると伝えているはず。
それでもいいのか?」
「2年経とうとも私はしない。
それにあなたとの子を望む事は出来ない。
あなたは私の心をズタズタにしたの。それが分からないの?」
馬乗りになっているブライスから逃れるようにゆっくりと体を引き抜き、破られた左半身のドレスを戻しながら私は向き合った。
「…アリスの件は悪いと思ってる。すまない」
頭を下げて謝っているが、私はただのパフォーマンスだと思っている。
心では本当はそうは思ってない、と。
そんな時扉をノックしてくる音があった。
「失礼いたします、リーネ様こちらにブライス…」
入って来たのはロータスさんだった。
恐る恐る入る様はもうこの屋敷で強く振る舞う事は出来ないのだろう。
それは仕方ない事、私達に証拠を握られてはそれを『武器』に問い詰められたら破滅するのは目に見えているのだから。
「なんだ、ロータス、俺の部屋に行けと言ったはず。
今は取り込み中だ」
「ですが、行ってもいらっしゃらないので、もしかしたらこちらかと思い…」
「ちっ」
露骨に嫌な顔をしながら舌打ちをするブライスはゆっくりとベットから降りロータスさんの元へと歩んでいく。
「あの…リーネ様とは何を?」
「うるさい、気にするな!?あまり俺に立てつくとどうなるかわからんぞ、ロータス!」
「うっ…申し訳ありません…」
そのまま二人は私の部屋を後にするが、私はブライスの姿を見る事は無かった。
ドレスを押さえた手を下ろすとまたハラリと広がり素肌を露わにしたまま呆然としてしまった。
(私の選択は間違っているのだろうか…)
マリーを取られたくない一心で離縁を拒み続けている。
でもこの屋敷にいる以上はこんな事はこれからも何度もあるのではないか。
潔く離縁を受け入れたらこんな気持ちにはならないのかもしれない。
頭の中で、する、しないがグルグルと回り続けて
答えが出ないまま日が進み、辺りは真っ暗になっていった。
「ようやく分かったか、お前も本当は…」
そんな風にいうブライスの顔を私は真っ直ぐみた。
でもその目には涙が浮かんでいた。
ちょっとした振動でその涙は横に流れ出しそうになる。
「泣く必要なんてないだろう?俺はお前を選んでいる。だから素直になれ」
押さえつけている手を緩め口から離すとブライスは私にキスをしてこようとした。
段々と近づいてくるブライスの顔。
目を閉じそれを受け入れるのが普通なのだが、私は…。
くるりと顔を右に向け、その行為から逃れた。
嫌だからだ…。
それと同時に私の目からは涙が頬を伝いベットを少し濡らす。
「リーネ、何故だ?」
「…離れて、ブライス。私はあなたとは出来ない。
もうこんな事するべきじゃない」
「なに言ってるんだ、お前は。
2年以内に出来ないなら離縁すると伝えているはず。
それでもいいのか?」
「2年経とうとも私はしない。
それにあなたとの子を望む事は出来ない。
あなたは私の心をズタズタにしたの。それが分からないの?」
馬乗りになっているブライスから逃れるようにゆっくりと体を引き抜き、破られた左半身のドレスを戻しながら私は向き合った。
「…アリスの件は悪いと思ってる。すまない」
頭を下げて謝っているが、私はただのパフォーマンスだと思っている。
心では本当はそうは思ってない、と。
そんな時扉をノックしてくる音があった。
「失礼いたします、リーネ様こちらにブライス…」
入って来たのはロータスさんだった。
恐る恐る入る様はもうこの屋敷で強く振る舞う事は出来ないのだろう。
それは仕方ない事、私達に証拠を握られてはそれを『武器』に問い詰められたら破滅するのは目に見えているのだから。
「なんだ、ロータス、俺の部屋に行けと言ったはず。
今は取り込み中だ」
「ですが、行ってもいらっしゃらないので、もしかしたらこちらかと思い…」
「ちっ」
露骨に嫌な顔をしながら舌打ちをするブライスはゆっくりとベットから降りロータスさんの元へと歩んでいく。
「あの…リーネ様とは何を?」
「うるさい、気にするな!?あまり俺に立てつくとどうなるかわからんぞ、ロータス!」
「うっ…申し訳ありません…」
そのまま二人は私の部屋を後にするが、私はブライスの姿を見る事は無かった。
ドレスを押さえた手を下ろすとまたハラリと広がり素肌を露わにしたまま呆然としてしまった。
(私の選択は間違っているのだろうか…)
マリーを取られたくない一心で離縁を拒み続けている。
でもこの屋敷にいる以上はこんな事はこれからも何度もあるのではないか。
潔く離縁を受け入れたらこんな気持ちにはならないのかもしれない。
頭の中で、する、しないがグルグルと回り続けて
答えが出ないまま日が進み、辺りは真っ暗になっていった。
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