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嫌い

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「ちょっと!」

「もういいだろう、話なんて後だ。僕は今すぐにでも君を奪いたい」

「やめ…」

男性の力に敵うはずもなく、また腕を固定された状態ではどうすることも出来なかった…。
部屋に響く服を破り捨てる音、抵抗しようとベットでジタバタしている音。
そして私の悲痛な声。

いくら響こうともラークさんは決してその手を緩める事はなく、自分の欲を解消しようとしてきた。

「あっ」

次第に足の方へと手を伸ばしていくのを感じ、私は先程みたいに膝で蹴ろうと試みた。

「おっ、と。
危ない危ない。…残念だったね、同じ手を喰う程、馬鹿じゃない。注意はしていたよ」

膝は空を切った。
そして、ベットから浮いた足を掴み広げていく。

「いや!」

「すぐに終わるんだし、最初だけだ。痛いのは」

激しく抵抗し、絶対にそれだけは阻止しなくては…と思った。
何度も足を押さえつけるラークさんの手を払うように足を動かし続けた。

そんな時だった…。
扉がキィィィ…と音を立てながら開き、そこから光が差し込んできた。
そして中にくる人が一人、二人…。

「そこまでだ、ラーク」

光が差す方を見るとそこにはブライス、そしてユーリの姿があった。
今まさに襲われている状況であり、私はその姿を隠したかったが出来ず、咄嗟にブライス達の方から目を離した。

「なに?なんでここにきたんだ?今頃、二人で楽しんでいると思ったんだけど。
それに『勝手にしろ』といったのはブライス、君じゃないか」

「あぁ、そうだ」

「じゃあなんで?今から良いところなんだけど」

「…こいつがどうしても、と言うから仕方なくだ」

そういうとブライスは少し後ろに立っているユーリの背を押し、部屋の中へと入れていき、扉を閉めていく。
また真っ暗になった部屋では話など出来る訳もなく、仕方なしにラークさんはベットから降りるとカーテンを開けようとしていた。

「待って!今開けないで」

私はここで明るくされたらブライスとユーリに見られてしまうと思い、すぐに声を上げた。

チッと舌打ちをするなり、ラークさんは着ていたシャツを脱ぎ、私の体に覆い被さるように置くとまたカーテンに近づき、開けていった。

部屋が明るくなり三人が対峙する中、私は縛られベットに固定されたまま。
それを見るなりユーリが近づいてきた。

「ユーリ…」

「…」

「ねぇ、なんで騙していたの…?」

「…」

「ねぇ!」

何も言わずに私が縛られた縄を一生懸命に解こうと手を動かすが口だけは一切開こうとしなかった。

「おいおい、何してる?解こうとするな、まだちゃんと『事』は済んでいないんだからな」

縄を解こうとするユーリに近づき、止めさそうとするラークさんを見て、ブライスは声をかけてきた。

「ラーク、辞めておけ。ユーリはもう俺の『妻』みたいなものだ。手を出すなら俺がお前に手を出すぞ?」

「つ、妻…?ねぇ、ユーリ、本当なの…?」

「…っ」

軽く吐息が漏れただけで何も聞こえなかったが、軽く頷いたのを私は見逃さなかった。

「なんで?!妻…ユーリが…。
お願い、なんでこうなったのか教えてよ!」

「…私はあなたが嫌いだった」

「えっ…」

ユーリが一言だけ私にいったその言葉。
でも、そこから語られる言葉に私は…。

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