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chapter one

5.甘いお菓子を食べましょう

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平日の昼下がり

ぽかぽかとした日差しが眠気を誘う

誰もが、ぼーとしてしまうような時間帯

街の大通りを行き交う人々があくびをかみ殺す

そのなかでひとり不機嫌オーラ全開の人がいた

「まあまあ、そんな怒らずに
そんな顔していると幸福が逃げるぜ」

「…誰のせいだろうな?」

アベルは、暗に「お前のせいだと」伝えているのだがとうのナキアは、そっぽをむいている

なぜ、こんなことになってるか

それは、朝まで遡ることになる

庭先でミリアが花壇の修理をしていた

なんでも釘が抜けていて土が漏れてしまうそうだ

それを、ナキアが観察していた

「お前そんなこともできたんだな」

上手いこと切れ目を繋げて修理を進めていくミリアにナキアは、関心の声を漏らす

「なれればなかなか簡単なものですよ」

ミリアは、金槌でコンコンと釘を叩きながら返事をする

「…俺もやってみていいか?」

何に興味を持ったのかそんなことをいいだした

もしかしたら、護衛のわりにそれらしい仕事が最近なく

体を動かしたかったのかもしれない

「おきをつけて」

そういってナキアに金槌を渡す

手に乗った金槌の感触を確かめる

「へー、こんな感じなんだ」

どうやら、今まで使ったことが無いらしい

「よーし、やるか」

やる気も十分に釘を持つ

そこまでは、よかった

ナキアは、天高く金槌を構える

剣を持つ時の癖が出たのだろう

そんなやり方で手にあたりでもすれば

「ナキア様、お待ちくださ」

時すでに遅し

すでに金槌は、振り下ろされていた

彼から苦痛の声が聞こえると思われたがそれは、やってこなかった

代わりにバキッという音が遠くで聞こえる

見てみればナキアの手の中にはあるはずの金槌がなくなっていた

代わりに今日、商人の家に向かうはずの馬車の車輪に金槌らしきものが見えた

その車輪は、粉々だ

まあ、つまるところすっぽ抜けた

握りが甘かったのか

もう綺麗に

結果馬車が使えなくなり徒歩で商人の家まで行くはめになった

必然的に、アベルの機嫌も最悪だ

それは、商人との話し合いが終わりこうして屋敷に帰るまで続いている

「ご主人様、あちらで売られているお菓子、人気らしいですよ
買われてわいかがでしょう」

ミリアが指差す方向からは、確かに甘くて美味しそうな匂いがする

「…仕方ない
食ってやるから買ってこい」

「かしこまりました」

程なくして、クッキーのようなお菓子を買ってきた

「…不味くはないな」

そんなことをいいつつ食べる手は、止まっていない

どうやら、少しは機嫌を直すことに成功したらしい

後ろにいるナキアは、悪いなと手を合わせてる

「にしても、甘いものが好きなんて
まだまだお子ちゃ…ッぐふ」

いい終わる前にアベルからの回し蹴りを食らっていた

どうやら、学習する気はないらしい
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