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chapter three

22.程々を過ぎた人

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お風呂から上がってきたアベルを加えて3人分の食事を並べる

護衛であるナキアがいるのことについては、もう何も言うまい

「なんだ、今日はミリアの料理じゃないのか」

ナキアからすると市販品よりミリアの料理の方が好きなのだ

「はい、本日は子爵家より特産品をいただいております」

立場上このように物が贈られることは多々ある

まあ、ミリアも何が贈られたのかは知らないのだが

「変わりにお飲物とデザートをご用意しております」

よっしゃーとはしゃぐナキア

「へー、俺食べたことないや」

「貴様に食わせるものはない」
「お前は食うな」

アベルとナキアの声が並ぶ


そうこうしている内に料理が運ばれてきた

子爵家は、海の近くなのか魚介類の料理が多い

「この貝見たことないな」

そういって赤い巻貝を口に運ぼうとする

「…ナキア様、お待ちください」

それをすんでで止める

「…すべてでは、ございませんが複数に毒が含まれています」

「まじか…危なかった」

「貴様の仕業か」

黙っているエリスに聞く

「いや、今回は俺じゃねーよ」

「はい、調合も違いますし、致死毒です」

さすがのエリスでもそこまでしない

「いかがなさいますか」

高確率で犯人は、子爵家の者だろうが

証拠がないうちは、逆に侮辱罪として問われかねない

途中誰かが、入れたという言い逃れもできるし

事実そうである可能性もあるのだ

「ミリアって、なんでもできるってイメージあるけど情報収集とかもできるのか」

「一様、一通りは」

アベルは少し悩む様子を見せるがすぐに結論をだす

「では、犯人の特定と証拠を持ってこい
できるな」

「はい、かしこまりました」

大抵は、新入りの使用人にこんなことは、頼まないのだが

何せ、人手不足である

何よりこの数ヶ月でミリアが「できる」と言ってできなかったことはない

「彼方から仕掛け来た場合は、如何様に」

犯人にまだアベルが生きていることが知れれば当然証拠を掴まれる前にと躍起になるだろう

「証拠を握ってそうなら捕獲しろ
それ以外は、殺意のある奴は殺っていい
ない奴は、もうこないように徹底的に叩きのめして路地にでも捨ててこい」

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