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49話

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 私達は街に戻り――夕方になろうとしていた。

 ドレアノとの戦いで魔力を使いすぎた私達は休み、明日王都に向かおうとしていた。

 冒険者ギルドで報告したいとシリューが言って、明日の早朝から移動するための飛龍を用意するらしい。

 王都でセローナを見張れば、命令を出す魔道具か人が必ず現れて、それが魔将なのは間違いない。

 捕らえてドレアノのように記憶を干渉する……当面の予定は、そうなっていた。

 × × ×

 翌日の早朝――宿の一室で私は目覚めて、身支度を済ませてアゼルが来るのを待っていた。

 今日のことを考えていると……アゼルが部屋にやって来て、私は尋ねる。

「早いですね。何かありましたか?」

「いや……今日、シャロンに出す指示を伝えておこうと思ってな」

「……そうですか」

 そう言ってアゼルが近づき――隠し持っていたナイフを、私に向かって振るう。

 それと同時に私は聖魔力による閃光を放ち、私はアゼルを……いいえ、アゼルに化けている人を吹き飛ばしていた。

 アゼルの見た目が女性の姿になって、身長も縮み……恐らく彼女が、ドレアノの言っていた変化の希少魔法を使うマールで間違いない。

 マールは私を眺めて、唖然とした表情を浮かべながら尋ねる。

「どうして……解ったのですか?」  

「見た目と声を変化させても……貴女とアゼルは違いました」

 ドレアノが詳細を話していた時から、変化の希少魔法を使える人が居ると警戒していた。

 それもあるけど……この人は、私とアゼルの関係を理解していない。

 きっとアゼルは元王子だから、私の方が立場が下だと考えていたのでしょう。

 実際は違う。
 アゼルは魔将衆を倒す為に協力してくれるのなら、私に従うと自分から言っていた。

 今さっきの彼女の反応は、私が求めていたアゼルと対等な関係で……今の私とアゼルではできないこと。

 本来のアゼルなら私に選択を委ねるのに、この人は予定を決めて話そうとしていたことで――私は偽物だと見破ることができていた。
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