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50話

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 王都に向かい、魔将衆と決着をつけようとしていたら、宿に魔将マールが襲撃をかけてくる。

 これはむしろ好都合で……私は聖魔力の閃光を放ち、マールは回避する。

 轟音を響かせて宿の一部が壊れたけど、後で弁償しよう。 

 これでアゼルが気付いたはず……それに、このマールはドレアノよりも遙かに弱い。

 私の方が強いほどで、きっと役目は変化魔法による暗躍なのでしょう。

 そう考えていると……マールは再び、アゼルの姿に変化する。

 もう正体を見たから問題ないと考えていると……アゼルの姿、声で話しかけてきた。

「俺はシャロンを利用しているだけだ。終わったら捨てるに決まっている」

「っっ……」
 
 私は動揺したことで、聖魔力が乱れて攻撃に失敗する。

 この人の……魔将マールの魔法の強さを、私は身をもって理解した。

 どうやら発言に魔力を籠めることによって、精神を惑わせることができるようだ。

 本当に私が考えていたことを当てて……それをアゼルの声、魔力による攻撃として行われたことで、私は動揺するしかない。

「シャロン! お前はもう、不要だ!」

 不要――アゼルなら絶対に言わないと解っているのに、マールの魔力による発言で硬直してしまう。

 精神が不安定な時に、更に言葉と魔力による精神攻撃……私は追い詰められている。

 ドレアノとの戦いを知っているのなら、間違いなく即死で終わらせにくるはずだ。

 体が硬直して、思わず目を閉じてしまうと――金属音が響く。

「シャロン! 大丈夫か!?」

 私の目の前には――杖でマールが繰り出したナイフの一撃を受け止める、アゼルの姿があった。

 アゼルの姿を見たことで精神が安定して……私は聖魔力による閃光を繰り出す。

 それが直撃してマールは倒れるけど――その間に、王都は魔将衆によって支配されつつあった。
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