妹と違って無能な姉だと蔑まれてきましたが、実際は逆でした

51話 セローナ視点

　セローナは、目の前の光景が理解できなかった。

　魔将衆の幹部ドレアノが倒された翌日の早朝……いきなりカーラとロヴォスが、城の中へとやって来る。

　ロヴォスが威圧することで城中の人々を支配し、たった数分でルオドラン国を支配下に置くことができていた。

　玉座に座るロヴォスを眺めながら、セローナは呟く。

「あ、あの……これほどの力があるのなら、最初からこうしておけばよかったのではありませんか？」

「この方法は、カーラが言うには冒険者ギルドとの総力戦になるらしい……ドレアノがやられた今、冒険者ギルドとの総力戦になってでも、この国の神器を手に入れたいようだ」

　今までは冒険者ギルドが気付く前に、ドレアノが戦い、マールが暗躍することで国を滅ぼしていたらしい。

　総力戦になると、ロヴォスでも不利だと考えるほどの戦力が冒険者ギルドで……それに対抗するためには、ルオドラン国に備わっている神器が必要らしい。

「ロヴォス様は強すぎて神器ごと壊してしまうので……今から僕が、神器の封印を解きます……数時間かかりますから、シリュー達との戦闘は避けられないでしょう」

「マールが一人は仕留めると言ったが、先ほど失敗が確認できた」

「消えましたか……こうなるとやはり、神器を手に入れるしかありませんね

　シリュー達というのは、アゼルとシャロンが協力している冒険者パーティのはずだ。

　神器の封印が解ければ、魔将衆は止まらなくなる以上……今日中に決着がつく。

　セローナはシャロンとアゼルに復讐すると決意して、決戦の時を待ち望んでいた。