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女神の力
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「魔人強くない!? 魔王倒すつもりでいたけど厳しいんじゃないかな!?」
今日は野宿することにして、僕は楽屋魔法を使い転生前の自宅としか思えない場所にいる。
ミナギはいつも通り居間で嘆くけど、今日はいつもより焦りがあった。
「僕の強化魔法がなければ、ミナギは勝てなかった。恐らく、魔界ではもっと強くなる」
「そうだよね! これからどうしよう!?」
ミナギとは旅立つ前から打ち合わせをしているけど、魔人や魔王に関しては見てから決めることにしている。
強さ次第で今後の方針を決めるつもりで、知っている情報から魔界に行く気はない。
「ミナギは旅立ちの日に「この世界を脅かす存在は排除する」と言ってただろ」
「うん。倒せたけど、魔界に行くのは無理な気がしてきたよ」
「魔界に行く必要はない。僕達がこの世界を守るだけで、それが魔王側としては一番やられて欲しくないことになるからだ」
わざわざ敵が有利になる場所に行く必要はない。
魔人と会うまでミナギが納得するかわからなかったから、強さを感じ取ったこの時に話そうと考えていた。
どうやら魔界に行き魔王を倒すと考えていたのか、俯いていたミナギは安心したようで顔を上げる。
「そっか……この世界は魔王の支配下にあるけど、私達が依頼をこなして平和にしていけば支配できなくなるわね!」
「焦った魔王が弱体化を覚悟して僕達を消しにくるのなら、その時は対処できる。この世界で楽しく生きていくだけで十分だ」
「それなら安心したよ!」
取り乱していたミナギは冷静になり納得してくれるけど、僕は重要なことを話していない。
倒しに行く必要がない一番の理由は、魔王に関しては女神アムリアが解決すると考えているからだ。
安堵しているミナギに依頼報告をどうするか打ち合わせをしつつ、僕は女神との会話を思い返す。
――これから世界が滅ぶかもしれない。
強力な存在はいるだけで効果があるから、転生した後は自由に生きて構わない。
そして魔界ではなくこの世界なら魔人を一撃で屠れる「裏方スキル」の力から、僕はもう役目を果たしているはずだ。
時間がないせいで女神アムリアは要点しか話さなかったが、現状と話していた内容から推測できた。
僕は生きているだけで意味があるようだけど、人間には寿命がある。
恐らく寿命が尽きるまでの僕を魔王に警戒させ、その間に女神アムリアがなんとかでするのだろう。
そうでなければ、神の立場で「自由に生きて構わない」なんて言うわけがないからだ。
元々ミナギが魔界に行く気がないのなら、予定通り行動しよう。
2度目の人生は楽しく過ごし、ミナギの傍で最高の裏方になってみせる。
「受付の人が言うには、ゴーレム退治の依頼をクリアできたらランクがBまで上がる。魔人を倒した功績も加われば初依頼を終えてすぐにAランク、もしくはSランクまで上がるかもしれない」
「えへへ……明日が超楽しみ!」
「僕もだ。ランクが上がれば仲間募集をしたいから、大きな街に行こう」
「うん。あのさ、前から決めてたことだけど……仲間募集って、必要かな?」
村から一番近い街で依頼を受けてランクを上げ、大きな街で仲間募集をする。
これは村を出る前から決めていたことだけど、ミナギは不満があるらしい。
「今のままじゃ「勇者と相方」にみえてしまう。僕は勇者パーティの一番地味な裏方でなければならない」
「ケントの凄い力って、あまり知られちゃダメなんでしょ?」
「ああ。ミナギのように信頼できる人と確信するまでは力を隠し、全てミナギのおかげということにしたい」
裏方スキルについて様々な検証をした際に、知られても秘密にできると信用したのはミナギと家族だけだ。
試しに僕の力をミナギが父と母に話してみたけど、説明だけで信じられないようならスキルを知った人数にカウントされなかった。
最初から裏方として行動してきたからこそ、未だに裏方スキルの存在はミナギにしか知られていない。
これからパーティに入る予定の仲間達にも隠し通すつもりで、会ったばかりの者に教える力としてはリスクが大きすぎるからだ。
仲間募集について納得してくれたけど、ミナギは提案する。
「仲間のことはわかったけど、それなら全員女の子がいいな」
「どうして?」
「……男の人を仲間にすると、ケントは私と引っ付けそうな気がする」
言い辛そうに話したけど、それは考えたことがなかったな。
驚いてしまうとミナギも驚いたようで、僕は本心をそのまま伝える。
「ミナギの気持ちが大事だから、引っ付けたりはしない」
「いや、私としてはケントが――ううん。なんでもない!」
ミナギは何か言いたそうに顔を赤らめたけど、言うのを止めて冷えたジュースを飲んでいる。
街で買い冷蔵庫で冷やしたもので、これは魔力を籠めた分だけ電気を宿す。
結構な魔力を籠めているから、壊れない限り再充電するまで数年は稼働してくれるはずだ。
「仲間ができてもケントの力を話せないのなら、ここにも来られないよね?」
「そこに関しては考えがある。仲間が増えた時に話そう」
快適な場所で寝泊まりできないことを残念そうにしているけど、僕は安心させる。
幾つか考えがあって、それに関しては仲間次第で変わるから話していなかった。
今後の方針を話した後は、明日の依頼報告の打ち合わせをしていく。
もしかしたら魔人を倒したことで、なにか問題が起こるかもしれない。
それでもミナギなら堂々とするのは間違いないから、僕は裏方として支えよう。
今日は野宿することにして、僕は楽屋魔法を使い転生前の自宅としか思えない場所にいる。
ミナギはいつも通り居間で嘆くけど、今日はいつもより焦りがあった。
「僕の強化魔法がなければ、ミナギは勝てなかった。恐らく、魔界ではもっと強くなる」
「そうだよね! これからどうしよう!?」
ミナギとは旅立つ前から打ち合わせをしているけど、魔人や魔王に関しては見てから決めることにしている。
強さ次第で今後の方針を決めるつもりで、知っている情報から魔界に行く気はない。
「ミナギは旅立ちの日に「この世界を脅かす存在は排除する」と言ってただろ」
「うん。倒せたけど、魔界に行くのは無理な気がしてきたよ」
「魔界に行く必要はない。僕達がこの世界を守るだけで、それが魔王側としては一番やられて欲しくないことになるからだ」
わざわざ敵が有利になる場所に行く必要はない。
魔人と会うまでミナギが納得するかわからなかったから、強さを感じ取ったこの時に話そうと考えていた。
どうやら魔界に行き魔王を倒すと考えていたのか、俯いていたミナギは安心したようで顔を上げる。
「そっか……この世界は魔王の支配下にあるけど、私達が依頼をこなして平和にしていけば支配できなくなるわね!」
「焦った魔王が弱体化を覚悟して僕達を消しにくるのなら、その時は対処できる。この世界で楽しく生きていくだけで十分だ」
「それなら安心したよ!」
取り乱していたミナギは冷静になり納得してくれるけど、僕は重要なことを話していない。
倒しに行く必要がない一番の理由は、魔王に関しては女神アムリアが解決すると考えているからだ。
安堵しているミナギに依頼報告をどうするか打ち合わせをしつつ、僕は女神との会話を思い返す。
――これから世界が滅ぶかもしれない。
強力な存在はいるだけで効果があるから、転生した後は自由に生きて構わない。
そして魔界ではなくこの世界なら魔人を一撃で屠れる「裏方スキル」の力から、僕はもう役目を果たしているはずだ。
時間がないせいで女神アムリアは要点しか話さなかったが、現状と話していた内容から推測できた。
僕は生きているだけで意味があるようだけど、人間には寿命がある。
恐らく寿命が尽きるまでの僕を魔王に警戒させ、その間に女神アムリアがなんとかでするのだろう。
そうでなければ、神の立場で「自由に生きて構わない」なんて言うわけがないからだ。
元々ミナギが魔界に行く気がないのなら、予定通り行動しよう。
2度目の人生は楽しく過ごし、ミナギの傍で最高の裏方になってみせる。
「受付の人が言うには、ゴーレム退治の依頼をクリアできたらランクがBまで上がる。魔人を倒した功績も加われば初依頼を終えてすぐにAランク、もしくはSランクまで上がるかもしれない」
「えへへ……明日が超楽しみ!」
「僕もだ。ランクが上がれば仲間募集をしたいから、大きな街に行こう」
「うん。あのさ、前から決めてたことだけど……仲間募集って、必要かな?」
村から一番近い街で依頼を受けてランクを上げ、大きな街で仲間募集をする。
これは村を出る前から決めていたことだけど、ミナギは不満があるらしい。
「今のままじゃ「勇者と相方」にみえてしまう。僕は勇者パーティの一番地味な裏方でなければならない」
「ケントの凄い力って、あまり知られちゃダメなんでしょ?」
「ああ。ミナギのように信頼できる人と確信するまでは力を隠し、全てミナギのおかげということにしたい」
裏方スキルについて様々な検証をした際に、知られても秘密にできると信用したのはミナギと家族だけだ。
試しに僕の力をミナギが父と母に話してみたけど、説明だけで信じられないようならスキルを知った人数にカウントされなかった。
最初から裏方として行動してきたからこそ、未だに裏方スキルの存在はミナギにしか知られていない。
これからパーティに入る予定の仲間達にも隠し通すつもりで、会ったばかりの者に教える力としてはリスクが大きすぎるからだ。
仲間募集について納得してくれたけど、ミナギは提案する。
「仲間のことはわかったけど、それなら全員女の子がいいな」
「どうして?」
「……男の人を仲間にすると、ケントは私と引っ付けそうな気がする」
言い辛そうに話したけど、それは考えたことがなかったな。
驚いてしまうとミナギも驚いたようで、僕は本心をそのまま伝える。
「ミナギの気持ちが大事だから、引っ付けたりはしない」
「いや、私としてはケントが――ううん。なんでもない!」
ミナギは何か言いたそうに顔を赤らめたけど、言うのを止めて冷えたジュースを飲んでいる。
街で買い冷蔵庫で冷やしたもので、これは魔力を籠めた分だけ電気を宿す。
結構な魔力を籠めているから、壊れない限り再充電するまで数年は稼働してくれるはずだ。
「仲間ができてもケントの力を話せないのなら、ここにも来られないよね?」
「そこに関しては考えがある。仲間が増えた時に話そう」
快適な場所で寝泊まりできないことを残念そうにしているけど、僕は安心させる。
幾つか考えがあって、それに関しては仲間次第で変わるから話していなかった。
今後の方針を話した後は、明日の依頼報告の打ち合わせをしていく。
もしかしたら魔人を倒したことで、なにか問題が起こるかもしれない。
それでもミナギなら堂々とするのは間違いないから、僕は裏方として支えよう。
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