2 / 29
2話
しおりを挟む
バラド王子の部屋で、愛せないなら別れると私は断言する。
婚約期間は長かったけど、バラドがラミカと出会ってからは最悪の日々だった。
ようやく解放されそうで内心は飛び跳ねるように喜びたかったけど、この場では冷静を装う。
発言が理解できなかったようで、バラド殿下は私を眺めながら。
「そこまでは酷いことはしない。フロンは正妃となり、ラミカを側妃にする。お前はラミカを支えてくれればいい」
それは別れるよりも酷い提案なのに、配慮している風に言ってきたのが信じられない。
さっきまで睨んできたのに、宥める大人な仕草で肩をすくめたのも不愉快だ。
「意味がわからないのでもう一度尋ねますが、私を愛せないのですよね?」
「ああ。何度聞いてもそこは絶対に変わらない。それでもお前は俺の傍にいられるのだから幸せだろう」
「傍にいたくないから、別れようとしています」
問題ばかり起こすラミカを支えるなんて、その時点で問題だらけだ。
ここまで人を忌々しく思えることに、自分でも驚いてしまう。
私もバラドを愛せなくなったから、別れた方がいいに決まっている。
それなのにバラドの方は、理解できないという風に困惑していた。
「王妃になれるというのに、何が不満なんだ?」
「まず貴方が何も理解できていないことですね。王妃になれるからなんだというのですか?」
ラミカが側妃になれば、私達の住むミドアルダ国が崩壊する可能性が高い。
そんな未来が想像できて、今までは我慢してきたけど愛せないと断言されている。
結婚の時が迫っていたから気持ちを明確にしたかったようだけど、それにより私も決意できた。
発言的に私が王子の傍にいたいから、王妃になれればなんでもするとバラドは思ってそう。
愛せないと断言しておいてこれだから、どれほど自分に魅力があるつもりなのだろうか?
別れを告げたことで覚悟を決めた私に対し、バラドは取り乱す。
「俺の傍にいられるのだぞ! それで十分じゃないか!」
「王妃になりたくありません。婚約を解消することにします」
「ふざけたことを言うな!」
叫ぶバラドだけど、私の行動を止めることはできない。
それは現状から、私を王妃にしたくない勢力が多いからだ。
「私を王妃にしたくない派閥があることは知っています。婚約を解消したいと私が望めば、その派閥の方々は嬉々として行動するでしょう」
「フロンは何を言っている!? 妄想も大概にしろ!!」
そういえばバラドは常にラミカと遊んでいたから、派閥の存在を知らないのか。
城の内情をまったく知らないようで、それなら好都合でもある。
「妄想かどうかすぐにわかります。私がこの場を去り、お父様に報告すればいいだけです」
「それは――待ってくれ! お前には色々と助けられている! いなくなると困るかもしれない!!」
かもしれないではなく、間違いなくバラドは困る。
愛せないとか言っておいて未練がありそうな言動が嫌になり、私はバラドの伸ばした手を避けて距離をとった。
「さようなら。これからはラミカと幸せに暮らしてください」
本性を知った後も、今までと同じようにラミカを愛せるだろうか?
私は王子の部屋を出て、城からも出て行くことにした。
婚約期間は長かったけど、バラドがラミカと出会ってからは最悪の日々だった。
ようやく解放されそうで内心は飛び跳ねるように喜びたかったけど、この場では冷静を装う。
発言が理解できなかったようで、バラド殿下は私を眺めながら。
「そこまでは酷いことはしない。フロンは正妃となり、ラミカを側妃にする。お前はラミカを支えてくれればいい」
それは別れるよりも酷い提案なのに、配慮している風に言ってきたのが信じられない。
さっきまで睨んできたのに、宥める大人な仕草で肩をすくめたのも不愉快だ。
「意味がわからないのでもう一度尋ねますが、私を愛せないのですよね?」
「ああ。何度聞いてもそこは絶対に変わらない。それでもお前は俺の傍にいられるのだから幸せだろう」
「傍にいたくないから、別れようとしています」
問題ばかり起こすラミカを支えるなんて、その時点で問題だらけだ。
ここまで人を忌々しく思えることに、自分でも驚いてしまう。
私もバラドを愛せなくなったから、別れた方がいいに決まっている。
それなのにバラドの方は、理解できないという風に困惑していた。
「王妃になれるというのに、何が不満なんだ?」
「まず貴方が何も理解できていないことですね。王妃になれるからなんだというのですか?」
ラミカが側妃になれば、私達の住むミドアルダ国が崩壊する可能性が高い。
そんな未来が想像できて、今までは我慢してきたけど愛せないと断言されている。
結婚の時が迫っていたから気持ちを明確にしたかったようだけど、それにより私も決意できた。
発言的に私が王子の傍にいたいから、王妃になれればなんでもするとバラドは思ってそう。
愛せないと断言しておいてこれだから、どれほど自分に魅力があるつもりなのだろうか?
別れを告げたことで覚悟を決めた私に対し、バラドは取り乱す。
「俺の傍にいられるのだぞ! それで十分じゃないか!」
「王妃になりたくありません。婚約を解消することにします」
「ふざけたことを言うな!」
叫ぶバラドだけど、私の行動を止めることはできない。
それは現状から、私を王妃にしたくない勢力が多いからだ。
「私を王妃にしたくない派閥があることは知っています。婚約を解消したいと私が望めば、その派閥の方々は嬉々として行動するでしょう」
「フロンは何を言っている!? 妄想も大概にしろ!!」
そういえばバラドは常にラミカと遊んでいたから、派閥の存在を知らないのか。
城の内情をまったく知らないようで、それなら好都合でもある。
「妄想かどうかすぐにわかります。私がこの場を去り、お父様に報告すればいいだけです」
「それは――待ってくれ! お前には色々と助けられている! いなくなると困るかもしれない!!」
かもしれないではなく、間違いなくバラドは困る。
愛せないとか言っておいて未練がありそうな言動が嫌になり、私はバラドの伸ばした手を避けて距離をとった。
「さようなら。これからはラミカと幸せに暮らしてください」
本性を知った後も、今までと同じようにラミカを愛せるだろうか?
私は王子の部屋を出て、城からも出て行くことにした。
2,257
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫」と笑った夫。~王宮から私が去ったあと「愛していた」と泣きついても、もう手遅れです~
水上
恋愛
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫だ」
夫である王太子はそう笑い、泣き真似が得意な見習い令嬢ばかりを優先した。
王太子妃セシリアは、怒り狂うこともなく、静かに心を閉ざす。
「左様でございますか」
彼女は夫への期待というノイズを遮断し、離縁の準備を始めた。
【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
嘘をありがとう
七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」
おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。
「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」
妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。
「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」
手放したくない理由
ねむたん
恋愛
公爵令嬢エリスと王太子アドリアンの婚約は、互いに「務め」として受け入れたものだった。貴族として、国のために結ばれる。
しかし、王太子が何かと幼馴染のレイナを優先し、社交界でも「王太子妃にふさわしいのは彼女では?」と囁かれる中、エリスは淡々と「それならば、私は不要では?」と考える。そして、自ら婚約解消を申し出る。
話し合いの場で、王妃が「辛い思いをさせてしまってごめんなさいね」と声をかけるが、エリスは本当にまったく辛くなかったため、きょとんとする。その様子を見た周囲は困惑し、
「……王太子への愛は芽生えていなかったのですか?」
と問うが、エリスは「愛?」と首を傾げる。
同時に、婚約解消に動揺したアドリアンにも、側近たちが「殿下はレイナ嬢に恋をしていたのでは?」と問いかける。しかし、彼もまた「恋……?」と首を傾げる。
大人たちは、その光景を見て、教育の偏りを大いに後悔することになる。
白い結婚で結構ですわ。殿下より、私の自由のほうが大事ですので
鍛高譚
恋愛
「第二王子との婚約? でも殿下には平民の恋人がいるらしいんですけど?
――なら、私たち“白い結婚”で結構ですわ。お好きになさってくださいな、殿下」
自由気ままに読書とお茶を楽しむのがモットーの侯爵令嬢・ルージュ。
ある日、突然“第二王子リオネルとの政略結婚”を押しつけられてしまう。
ところが当の殿下は平民の恋人に夢中で、
「形式上の夫婦だから干渉しないでほしい」などと言い出す始末。
むしろ好都合とばかりに、ルージュは優雅な“独身気分”を満喫するはずが……
いつしか、リナという愛人と妙に仲良くなり、
彼女を巡る宮廷スキャンダルに巻き込まれ、
しまいには婚約が白紙になってしまって――!?
けれどこれは、ルージュが本当の幸せを掴む始まりにすぎなかった。
自分を心から大切にしてくれる“新しい旦那様”候補が現れて、
さあ、思い切り自由に愛されましょう!
……そして、かの王子様の結末は“ざまぁ”なのか“自業自得”なのか?
自由気ままな侯爵令嬢が切り開く、
“白い結婚破談”からの痛快ざまぁ&本当の恋愛譚、はじまります。
彼女は彼の運命の人
豆狸
恋愛
「デホタに謝ってくれ、エマ」
「なにをでしょう?」
「この数ヶ月、デホタに嫌がらせをしていたことだ」
「謝ってくだされば、アタシは恨んだりしません」
「デホタは優しいな」
「私がデホタ様に嫌がらせをしてたんですって。あなた、知っていた?」
「存じませんでしたが、それは不可能でしょう」
久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った
五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」
8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる