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23話 王子視点
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ラミカの本性に恐怖したバラドは、風魔法を受けて負傷した父と同じ目に合いたくなかった。
恐怖してラミカと宰相ギーマに従うようになってしまい、反発することはできない。
今までなら非魔法士でも民衆を味方にすれば、宰相やラミカを糾弾できただろう。
現状は魔法士に非魔法士が従うべきと考える者が増えてきて、理不尽な目に合っても王家が助けようとしない。
王子の側室だからと不満が出ても、それ以上に魔法主義の者達がラミカの行動を肯定する。
それ程までにラミカの風魔法は強力で、更に最近はフロンを亡き者にする計画を実行したらしい。
内容を聞いていなかったが、今日は部屋に宰相がやって来ている。
バラドは妻のコリサと一緒にいることが多くなり、そのため話を聞く時もコリサが離れることはなかった。
明らかにギーマは焦っている様子で、不安になったバラドが尋ねる。
「話したいことがあると言ったが、大丈夫か?」
「大丈夫ではありません……このことは、ラミカ様にはまだ話さないようにしてください」
ラミカに話すなと言った時点で、バラドは嫌な予感がしていた。
どうやら秘密裏に巨大ゴーレムをマルクト伯爵の息子に作らせ、それが完成したらしい。
半日前にゴーレムを動かしてフロンの屋敷を潰そうとしたのに、ゴーレムは途中まで歩いた後は体が崩壊したようだ。
動作実験をしていないから失敗したとマルクト伯爵の息子は言うが、宰相にとって重要なのは結果のみだ。
崩壊したゴーレムの体を回収するように命令したようで、半日しか経っていないから連絡はとっていない。
それでも無理難題だった自覚はあるのか、宰相はラミカに今日の出来事を報告したくないようだ。
どうやらバラドではなくコリサの意見が欲しかったようで、宰相は明らかに焦っている。
「崩壊したゴーレムの回収は無理でしょう。ラミカ様に報告した方がよろしいのではありませんか?」
「本来ならそうしているが、ラミカ様はフロンが消えることを喜んでいた。失敗したと知ればどんな行動をとるかわからない!」
そして止めることができるのは、コリサしかいないから相談に来たということか。
バラドとしては何も知らなかったため、ゴーレムでフロンを消すつもりだったことに驚くしかない。
魔石をマルクト伯爵に渡していた国王は知っていたに違いないが、知る者は限られていたようだ。
困惑していると、どうしてフロンを排除しようとしたのか理由をコリサが教えてくれる。
「ラミカ様はフロンを消すことで、共存派の貴族令息を脅して従わせたかったようです」
「なんだと……ラミカには、まだ愛人にしたい奴がいるのか……」
本性を知ってから半年以上が経っても、まだ驚かされることは多い。
とにかくマルクト伯爵側の連絡を待つことにして、その間はラミカには何も教えないようにするらしい。
話を終えて宰相が部屋から出て行き、バラドは内心では安堵している。
愛せないと言っておいて、今ではフロンに戻って来て欲しかった。
「まさかフロンを消すつもりでいたとは……あの女には、まだ利用価値がある」
侯爵家の令嬢で、婚約者だった時は何も問題が起きていない。
側室にでもすれば、また元の生活に戻ることができるかもしれない。
無理だと理解しながらも希望を抱き、結婚式を経てから一度も口にしていないフロンの名前をバラドは呟く。
そのせいでコリサの本性も、バラドは知ることとなっていた。
恐怖してラミカと宰相ギーマに従うようになってしまい、反発することはできない。
今までなら非魔法士でも民衆を味方にすれば、宰相やラミカを糾弾できただろう。
現状は魔法士に非魔法士が従うべきと考える者が増えてきて、理不尽な目に合っても王家が助けようとしない。
王子の側室だからと不満が出ても、それ以上に魔法主義の者達がラミカの行動を肯定する。
それ程までにラミカの風魔法は強力で、更に最近はフロンを亡き者にする計画を実行したらしい。
内容を聞いていなかったが、今日は部屋に宰相がやって来ている。
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明らかにギーマは焦っている様子で、不安になったバラドが尋ねる。
「話したいことがあると言ったが、大丈夫か?」
「大丈夫ではありません……このことは、ラミカ様にはまだ話さないようにしてください」
ラミカに話すなと言った時点で、バラドは嫌な予感がしていた。
どうやら秘密裏に巨大ゴーレムをマルクト伯爵の息子に作らせ、それが完成したらしい。
半日前にゴーレムを動かしてフロンの屋敷を潰そうとしたのに、ゴーレムは途中まで歩いた後は体が崩壊したようだ。
動作実験をしていないから失敗したとマルクト伯爵の息子は言うが、宰相にとって重要なのは結果のみだ。
崩壊したゴーレムの体を回収するように命令したようで、半日しか経っていないから連絡はとっていない。
それでも無理難題だった自覚はあるのか、宰相はラミカに今日の出来事を報告したくないようだ。
どうやらバラドではなくコリサの意見が欲しかったようで、宰相は明らかに焦っている。
「崩壊したゴーレムの回収は無理でしょう。ラミカ様に報告した方がよろしいのではありませんか?」
「本来ならそうしているが、ラミカ様はフロンが消えることを喜んでいた。失敗したと知ればどんな行動をとるかわからない!」
そして止めることができるのは、コリサしかいないから相談に来たということか。
バラドとしては何も知らなかったため、ゴーレムでフロンを消すつもりだったことに驚くしかない。
魔石をマルクト伯爵に渡していた国王は知っていたに違いないが、知る者は限られていたようだ。
困惑していると、どうしてフロンを排除しようとしたのか理由をコリサが教えてくれる。
「ラミカ様はフロンを消すことで、共存派の貴族令息を脅して従わせたかったようです」
「なんだと……ラミカには、まだ愛人にしたい奴がいるのか……」
本性を知ってから半年以上が経っても、まだ驚かされることは多い。
とにかくマルクト伯爵側の連絡を待つことにして、その間はラミカには何も教えないようにするらしい。
話を終えて宰相が部屋から出て行き、バラドは内心では安堵している。
愛せないと言っておいて、今ではフロンに戻って来て欲しかった。
「まさかフロンを消すつもりでいたとは……あの女には、まだ利用価値がある」
侯爵家の令嬢で、婚約者だった時は何も問題が起きていない。
側室にでもすれば、また元の生活に戻ることができるかもしれない。
無理だと理解しながらも希望を抱き、結婚式を経てから一度も口にしていないフロンの名前をバラドは呟く。
そのせいでコリサの本性も、バラドは知ることとなっていた。
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