愛せないですか。それなら別れましょう

黒木 楓

文字の大きさ
25 / 29

25話 王子視点

しおりを挟む
 コリサの本性を知ったバラドは、フロンの排除に賛同する。

 魔道具のゴーレムは屋敷に向かう前に壊れてしまったが、他にも手はあるようだ。

 ようやく立ち上がることのできたバラドは、椅子に座ってコリサを眺める。

「非力な俺は何もできないだろう。それでも協力できることがあるのなら言って欲しい」

「とてもいいですね。バラド殿下に本心を話したのは正解でした……心配しなくとも、外では妻として振舞います」

 今までの無表情が嘘のように、楽しそうにバラドの頭をコリサは撫でてから抱きしめてくる。

(……試しにコリサが好みそうな態度をとってみれば、ここまで変わるとはな)

 もう依存するしかない状況だから、好かれることで共依存に持ち込む。

 バラドの思惑はコリサの発言的に見抜かれていそうだが、それでも構わない。

「ありがとう。それで、フロンをこれからどうするつもりだ?」

「真っ先に気にするべきは、ラミカ様の制御です」

 どうやらコリサは宰相に隠していたことがあるようで、ラミカの行動を教えてくれる。

 公爵令息のエリクを愛人にするよう宰相から命令され、ラミカとしても乗り気だった。

 エリクに迫っても避けられてしまい、ラミカは側室となってから権力で脅すことにしたらしい。

 ゴーレムを使いフロンを排除する計画を聞き、その情報を手紙に書いて送ることでエリクを従わせたかったようだ。

「正気か……宰相としてはフロンは謎の大型魔物の襲撃を受けたことにするはずなのに、ラミカは手紙で犯行を自白しているではないか」

「出すべきではないと説得はしましたが、聞き入れてくれませんでした。なので手紙は送らせて、ラミカ様がフロンを排除するしかない状況にしています」

 コリサは手紙の届く日程を把握していたが、把握していないラミカに出し方を教えたらしい。

 とにかく後に引けない状況にしたかったようで、ゴーレムが動く前にエリクが知ってしまう可能性が高かった。

「ゴーレムの腕はラミカ様の魔法でも破壊に数時間かかる程の強度だったので、計画通り動いていればフロンは排除できていたでしょう」

 もし避難していたとしても、屋敷を潰されたことでショックを受ける。

 実際はゴーレムは屋敷に向かう途中で壊れてしまったが、それもコリサは想定していたようだ。

「私はとにかくフロンを排除したかった……手紙を出したことで、エリク様はフロンのために行動するはずです」

 確かに同じ目に合せると書かれているのなら、手紙を受け取ったエリクはフロンを気にするかもしれない。

 そして手紙を読んだフロンが、これから城に乗り込んでくるとコリサは想定しているようだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「君は完璧だから、放っておいても大丈夫」と笑った夫。~王宮から私が去ったあと「愛していた」と泣きついても、もう手遅れです~

水上
恋愛
「君は完璧だから、放っておいても大丈夫だ」 夫である王太子はそう笑い、泣き真似が得意な見習い令嬢ばかりを優先した。 王太子妃セシリアは、怒り狂うこともなく、静かに心を閉ざす。 「左様でございますか」 彼女は夫への期待というノイズを遮断し、離縁の準備を始めた。

【完結】側妃は愛されるのをやめました

なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」  私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。  なのに……彼は。 「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」  私のため。  そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。    このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?  否。  そのような恥を晒す気は無い。 「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」  側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。  今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。 「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」  これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。  華々しく、私の人生を謳歌しよう。  全ては、廃妃となるために。    ◇◇◇  設定はゆるめです。  読んでくださると嬉しいです!

嘘をありがとう

七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」 おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。 「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」 妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。 「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」

彼女は彼の運命の人

豆狸
恋愛
「デホタに謝ってくれ、エマ」 「なにをでしょう?」 「この数ヶ月、デホタに嫌がらせをしていたことだ」 「謝ってくだされば、アタシは恨んだりしません」 「デホタは優しいな」 「私がデホタ様に嫌がらせをしてたんですって。あなた、知っていた?」 「存じませんでしたが、それは不可能でしょう」

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

花嫁に「君を愛することはできない」と伝えた結果

藍田ひびき
恋愛
「アンジェリカ、君を愛することはできない」 結婚式の後、侯爵家の騎士のレナード・フォーブズは妻へそう告げた。彼は主君の娘、キャロライン・リンスコット侯爵令嬢を愛していたのだ。 アンジェリカの言葉には耳を貸さず、キャロラインへの『真実の愛』を貫こうとするレナードだったが――。 ※ 他サイトにも投稿しています。

悔しいでしょう?

藍田ひびき
恋愛
「済まないが、君を愛することはできない」 結婚式の夜、セリーヌは夫であるシルヴァン・ロージェル伯爵令息からそう告げられた。 メロディ・ダルトワ元男爵令嬢――王太子を篭絡し、婚約破棄騒動を引き起こした美貌の令嬢を、シルヴァンは未だに想っていたのだ。 セリーヌは夫の身勝手な言い分を認める代わりに、とある願い事をするが…? 婚約破棄騒動に巻き込まれた女性が、ちょっとした仕返しをする話。 ※ なろうにも投稿しています。

久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った

五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」 8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。

処理中です...