4 / 40
第一章:日常のさざ波
4、日直と、照れくささ(後半)
しおりを挟む
プリントを手にしたほのかは、教室の机を順に回りながら配り始めた。ひとりひとりの顔をちらりと見ると、友達の目が自分に注がれているのがわかる。なんだか気恥ずかしくて、朝見ほのかは少し視線を落とす。
「ありがとう、ほのかちゃん」
隣の席の松井いちかが小さな声で言った。いつも明るいいちかのその言葉に、ほのかは心がほんの少し温かくなった。
高森颯太はプリントを配るのが雑なのに、どこかみんなに好かれている。自由で、わがままそうに見えて、誰も彼のことを嫌いじゃないようだった。
ふと颯太のほうを見ると、彼はクラスの端で少し腕を組み、ふふっと笑っている。時折、南沢レナがからかう声も聞こえたけれど、颯太は気にしていない。
「なんで、あんなに気楽なんだろう」
ほのかは自分の心を整理しようとした。颯太のことが気になるけど、それを認めるのは怖い。友達としてもまだまだ距離がある。だけど、颯太の一言や態度に胸がざわつくのは確かだ。
「朝見さん、顔真っ赤だよ?」
レナがからかうように笑う声に、教室中の視線がまた集まる。ほのかは一瞬固まり、すぐに目をそらして顔を背けた。
「もう、やめてよ……」
小さく呟くけれど、声は届かない。
心の中で、自分がどうしたいのか分からなくなっていた。
日直の仕事は続く。プリントが足りなくなったところで、颯太がにやりと笑いながら、ちらっとほのかに目配せした。
「まあ、今日はこれでいいんじゃね?」
ほのかは思わず笑いそうになった。颯太のその自由なところが、なんだか好きなのだ。
机に戻り、授業が始まる鐘の音が響く。ほのかは深呼吸をして、気持ちを落ち着けた。
「変だよね……こんなことで、こんなにドキドキして」
そう呟きながらも、心のどこかで、また明日も颯太と話せることを密かに楽しみにしている自分に気づくのだった。
「ありがとう、ほのかちゃん」
隣の席の松井いちかが小さな声で言った。いつも明るいいちかのその言葉に、ほのかは心がほんの少し温かくなった。
高森颯太はプリントを配るのが雑なのに、どこかみんなに好かれている。自由で、わがままそうに見えて、誰も彼のことを嫌いじゃないようだった。
ふと颯太のほうを見ると、彼はクラスの端で少し腕を組み、ふふっと笑っている。時折、南沢レナがからかう声も聞こえたけれど、颯太は気にしていない。
「なんで、あんなに気楽なんだろう」
ほのかは自分の心を整理しようとした。颯太のことが気になるけど、それを認めるのは怖い。友達としてもまだまだ距離がある。だけど、颯太の一言や態度に胸がざわつくのは確かだ。
「朝見さん、顔真っ赤だよ?」
レナがからかうように笑う声に、教室中の視線がまた集まる。ほのかは一瞬固まり、すぐに目をそらして顔を背けた。
「もう、やめてよ……」
小さく呟くけれど、声は届かない。
心の中で、自分がどうしたいのか分からなくなっていた。
日直の仕事は続く。プリントが足りなくなったところで、颯太がにやりと笑いながら、ちらっとほのかに目配せした。
「まあ、今日はこれでいいんじゃね?」
ほのかは思わず笑いそうになった。颯太のその自由なところが、なんだか好きなのだ。
机に戻り、授業が始まる鐘の音が響く。ほのかは深呼吸をして、気持ちを落ち着けた。
「変だよね……こんなことで、こんなにドキドキして」
そう呟きながらも、心のどこかで、また明日も颯太と話せることを密かに楽しみにしている自分に気づくのだった。
0
あなたにおすすめの小説
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
【奨励賞】おとぎの店の白雪姫
ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】
母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。
ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし!
そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。
小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり!
他のサイトにも掲載しています。
表紙イラストは今市阿寒様です。
絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。
運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる