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しおりを挟む先程の声を上げたのはそれはそれは可愛い顔をした私の弟だ。
ぬばたまの黒髪。生きることを楽しむように一本一本がつるりとした艶めきを持つそれは、生気をランプの中に押し込め火を灯したように輝きを放つ。持ち主の動きとともにヒラリふわりと優雅に宙を舞い、近くにいる人々にも遠くにいる人々にも慈悲深くも平等にその美を囁く。
朝露を受け花開く瞬間の蕾が綻んだ百合の花弁のように瑞々しくありながらも、穢れなき新雪の純然たる象徴のような白い肌。
頬はその美しい肌の下で脈々と流れ続ける紅が透ける薔薇色に染まり、その血色のいい皮膚にナイフを突き立てると流れ出すであろう赤々とした美しい血をそのまま塗りつけたような鮮やかな唇は紅を点さすことを知らず、
その様はまるで童謡で謳われる白雪姫のようだ。
また、瞳は空よりも広く海よりも深く、森羅万象の神秘を隠し持ち、一度それと絡まったならばその心まで同時に絡め取ってしまう魔が妖しく漂い、神秘が滾滾と湧き出ていると。
付き合いのある貴族との交流で彼を一目見た者は必ず、多くの比喩を用いそれでも言い尽くせないと感嘆し、今の彼の幼げで可憐な容姿から想像される、成長した彼の端麗な容姿を大きく期待し褒め讃えるのだ。
今の小さな少年は性別を超越した美しきモノであるが、成長してなお、性別を超越して神秘的な世界の住人としてただ益々匂い立つ妖しい花の蜜のような妖気を纏う色づいた香りを漂わせているのか、もしくは神が新たな性を授かることをお許しになるのでは!など皆が皆好き勝手に噂する。
この世に生まれ落ちたとき授かった彼の性は紛れもなく男だというのに、白雪姫の生まれ変わりだなどの噂もあり、その噂のせいで彼の性を間違って認識してしまってる貴族もいるという。
実際彼に会ってもそれはそれは丁寧に接し、まるで令嬢のように彼を扱う人もいる。
先程の私が話した弟の容姿の説明は特に名の知られた優秀な詩人が弟に会った瞬間にその美しさに心を震わせ、美しさを褒め称えるために用意された膨大な頭の中にある既存の比喩のうちの一つであり、詩人が長々と口にした詩の長い長い一節のうちのごく一部で最初に口から零れたモノだ。
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