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「その玩具って、どうなってるの? だって、振動したりしなかったりしてたからさ……」
「コレ、ですか!?」

   そう言って春馬は小さなリモコンのような物を出す。

「……ん!?」

 俺は目を見開いて春馬のことを見つめてしまっていた。

「これで、玩具のスイッチを押していたんですよ……」
「は、はいーー!?」

 ……あーー……そういうもんなのか……。 どうりでスイッチが入ったり入らなかったりしていたわけだ。 ということは……全部、春馬が動かしていたってこと!?

 完全にこういう行為に関しては春馬に主導権を握られているっていう感じだ。 確かに春馬はプロなんだけどさ……。

 ま、いいか……もう、今日はやらないって言ってたし……。 とりあえず、ゆっくり寝よう。 いや、とりあえず寝かせてもらおう……。

「あ! そうそう! 伊吹、寝る前にそれ抜かなくていいんですか?」
「あ、そうだね……」

 やっと抜いて貰えると喜んでいたのも束の間で、

「それは、さっきの玩具のようにリモコンと離れているんで、自分で抜いて下さいね……」
「は、はいーー!?」

 ……そこにも罠がありましたか……。

 俺は再び溜め息を吐く。

「……って、一体、どういう風に抜くの?」
「お腹に力を入れて自力で抜くんですよ……」
「……へ?」

   ……って、これ、入れたの春馬じゃん! でも、抜く時は自力でって……ここでですか?

「トイレになんか行ったら、トイレに落ちてしまうので、ここの中に入れてくれると助かるんですけど……」

 そう春馬が出してきたのは桶だった。

 ……そ、そこでーー!? しかも、春馬がいる前で!? マジ、あり得ないんだけど……。

 でも、ここでいつまでも動かない訳にはいかない。 だって、もうコレを抜いて寝ると決めたのだから……。

 俺は春馬が出してきた桶の上に跨ると、お腹に力を入れ中に入っている玩具を出す。

 お腹に力を入れるとゆっくりと出てくる玩具。

 そして硬い物特有のカランっ! という音を立てて俺の中から出て来た。

 これで今日は終わっただろう。

 俺は額に汗を滲ませながら横になる。

 今日は本当に疲れた。

 スポーツなんかしていないのに今日は1日中運動をしている感じだったからだ。

「大丈夫ですか?」

 そう春馬は俺に声を掛けて来る。

 今は優しい方の春馬なのかもしれない。

「あ、うん……」

 俺はそう答えると目を瞑る。
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