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三十七話 二人の処遇
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「ありがと、ゲイル兄……もう大丈夫」
散々泣いたアリスはゲイルの胸元から離れた。そして一度だけ涙を拭ったあと、先程までのような凛とした表情へと変わり、よく響く声でフランクリンを呼んだ。
「フランクリン入って」
フランクリンが入ってきたことを確認すると、軽くゲイルに視線を送ってからアリスは話しだした。
「前は色々指導して貰いたいと思っていたのだけど……」
アリスの言葉へ被せるようにフランクリンがこう続けた。
「まぁ、無理でしょう。荒くれ者の傭兵たちが他人の言葉を受け入れるとは思えませんし、我が軍の者共もそれは一緒かと……」
「命じれば聞くことはするでしょうけど、一介の冒険者の助言を受け入れることは難しいかもね。それに……」
「仮に出来たとしても浸透させるには時間が無さすぎます。グーブンドルデは待ってはくれませんから」
アリスはフランクリンの目を見て一つ頷いた。その後、ゲイルへ視線を戻して尋ねる。
「何か強力な宝具を持ってるとかは?」
「僕の宝具はこの眼鏡だよ」
ゲイルはかけていた眼鏡をクイッと持ち上げてそう答えた。
「眼鏡?」
「マナが見えたり、チャクラが見えたりするんだ」
「だから何か漏れてるみたいな話をしてたのね」
「マナ? チャクラ? 何を言ってるかわからんが、何か見えるだけとか戦いの役に立つことは無さそうだな」
フランクリンはそう言うと、一枚の紙をアリスへと差し出しこう続けた。
「だが、そっちのミューとやらは役に立ちそうです」
「三年前に急に現れた冒険者、か……実績は確かに申し分無いわね。この三年間の記録も全く無いけど……」
アリスは書かれた内容を読み上げた。そこにはミューについてのことが書いてあるようだった。
「ゲイルと一緒にとある依頼を受けてね。その依頼の最中に三年すぎちゃった。ただそれだけだよ」
「ミューの言葉はホントだよ」
「じゃあ、ミューとやらはこっちの部隊へ。ゲイルとやらはこっちの部隊、って感じでしょうか」
フランクリンは盤面に広げられた地図指さしながらアリスへ話した。ミューは最前線、ゲイルは最後方の部隊のようであった。
だが、その様子を見たミューが拒絶を示した。
「は? なんで俺がゲイルと離れ無きゃなんねぇんだ! 嫌だね!」
「命令に従うことは当然のことだろ! だから冒険者は……」
フランクリンはミューが拒絶したことへ不快感を示す。その様子を見たアリスがフランクリンを宥めたにだった。
「まあまあ、フランクリン。私の顔に免じて許してあげて」
「も、申し訳ありません。アリス様。そういう訳では……」
「そうね……ならば取り敢えず何をしてもらうかは後ほど伝えます。それまで兵舎にて待機をお願いします」
アリスはゲイルとミューへ交互に視線を送りながらこう告げた。その言葉に頷いてからこう尋ねた。
「わかったよ。で、いつまで待機をしてればいいんだ?」
「そうですね……二、三日中には……それまでは御自由になさっていて構いませんので」
「りょーかい。ゲイルもそれでいいよね」
「うん。僕は特に……」
ミューとゲイルの同意を確認したフランクリンは外の兵士にこう声をかけた。
「おい! この二人をお連れしろ!」
そして入ってきた兵士に連れられて二人は部屋を後にしたのだった。
散々泣いたアリスはゲイルの胸元から離れた。そして一度だけ涙を拭ったあと、先程までのような凛とした表情へと変わり、よく響く声でフランクリンを呼んだ。
「フランクリン入って」
フランクリンが入ってきたことを確認すると、軽くゲイルに視線を送ってからアリスは話しだした。
「前は色々指導して貰いたいと思っていたのだけど……」
アリスの言葉へ被せるようにフランクリンがこう続けた。
「まぁ、無理でしょう。荒くれ者の傭兵たちが他人の言葉を受け入れるとは思えませんし、我が軍の者共もそれは一緒かと……」
「命じれば聞くことはするでしょうけど、一介の冒険者の助言を受け入れることは難しいかもね。それに……」
「仮に出来たとしても浸透させるには時間が無さすぎます。グーブンドルデは待ってはくれませんから」
アリスはフランクリンの目を見て一つ頷いた。その後、ゲイルへ視線を戻して尋ねる。
「何か強力な宝具を持ってるとかは?」
「僕の宝具はこの眼鏡だよ」
ゲイルはかけていた眼鏡をクイッと持ち上げてそう答えた。
「眼鏡?」
「マナが見えたり、チャクラが見えたりするんだ」
「だから何か漏れてるみたいな話をしてたのね」
「マナ? チャクラ? 何を言ってるかわからんが、何か見えるだけとか戦いの役に立つことは無さそうだな」
フランクリンはそう言うと、一枚の紙をアリスへと差し出しこう続けた。
「だが、そっちのミューとやらは役に立ちそうです」
「三年前に急に現れた冒険者、か……実績は確かに申し分無いわね。この三年間の記録も全く無いけど……」
アリスは書かれた内容を読み上げた。そこにはミューについてのことが書いてあるようだった。
「ゲイルと一緒にとある依頼を受けてね。その依頼の最中に三年すぎちゃった。ただそれだけだよ」
「ミューの言葉はホントだよ」
「じゃあ、ミューとやらはこっちの部隊へ。ゲイルとやらはこっちの部隊、って感じでしょうか」
フランクリンは盤面に広げられた地図指さしながらアリスへ話した。ミューは最前線、ゲイルは最後方の部隊のようであった。
だが、その様子を見たミューが拒絶を示した。
「は? なんで俺がゲイルと離れ無きゃなんねぇんだ! 嫌だね!」
「命令に従うことは当然のことだろ! だから冒険者は……」
フランクリンはミューが拒絶したことへ不快感を示す。その様子を見たアリスがフランクリンを宥めたにだった。
「まあまあ、フランクリン。私の顔に免じて許してあげて」
「も、申し訳ありません。アリス様。そういう訳では……」
「そうね……ならば取り敢えず何をしてもらうかは後ほど伝えます。それまで兵舎にて待機をお願いします」
アリスはゲイルとミューへ交互に視線を送りながらこう告げた。その言葉に頷いてからこう尋ねた。
「わかったよ。で、いつまで待機をしてればいいんだ?」
「そうですね……二、三日中には……それまでは御自由になさっていて構いませんので」
「りょーかい。ゲイルもそれでいいよね」
「うん。僕は特に……」
ミューとゲイルの同意を確認したフランクリンは外の兵士にこう声をかけた。
「おい! この二人をお連れしろ!」
そして入ってきた兵士に連れられて二人は部屋を後にしたのだった。
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