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【雇用№011】愛と魔神と神々の事情

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『ちゃんと聞こえているよ。魔法少女アイ。私は名乗るのが遅れたがそなたが考えている通り、魔神ゼファリスだ』

「そうでしたか。ところで、その名前の前に付ける『魔法少女』という言葉をやめて頂けますか。正直恥ずかしくて恥ずかしくて死んでしまいそうなんで。」

「ははっ、それはすまなかなったな。愛よ。てっきり、その魔法少女の衣装を着て、ノリノリで歌って、踊っているから気に入っているのかと思っておったぞ。」

「プチッ。あの~魔神様。私はちっとも納得して、そのようなことはしておりません。冗談でもそのようなことは言わないでください。」

 ビシッと、魔神に対して発言してやった。ちょっとイラついていたので若干怒り気味です。神ですから自重しろと、いえいえ、神であろうがなかろうが言うべきことははっきり言わないとダメなことはあの駄女神にてちゃんと学習しましたよ。ええっ。本当に学習しましたの。

「うわっ、こわっ。すっすまなかったな愛殿よ。余はちょっと調子にのっておったようじゃ。して、今回このような形をとらせてもらった説明をしよう。魔法を使うには魔素がいることは聞いておろう。精霊樹を育てるには精霊神の加護が、魔霊樹を育てるには、魔神の加護が必要なのだよ。そして、その魔霊樹を育てるのに、あのバカ女神が異世界で運よく、いやそなたには運悪く見つかってしまったといった方がよいだろうな。」

「そんなあの駄女神が仕事をさぼって、適当に運悪く私がたまたま召喚され、該当のスキルを詰め込まれたのではなかったのですか?」

「おお~愛殿も乗って来たね。サボっていたのは本当だが、召喚者を探すのは、並大抵のことではないからね。一人一人ステータスを鑑定していく、砂山から砂金を探すような途方もない作業のハズだよ。サボっていたのはその前だな。」

「どういうことですか?スキルは神様が好き勝手に召喚者に付与できるのではないのですか?」

「い~や、そんなことは僕ら小神には出来ないよ。異世界のものを召喚した際に、その人の適正に合わせてスキルが割り振られるからね。僕達にはどうしようもないことさ。ちなみにあいつがサボっていたのは、人間の管理のことだな。人間を増やそうとして、他の種族に神託で戦争を仕掛けさせ、食料や領地を奪った話は聞いているな。」

「ええ、昔に人間がそのようなことをして、近年、その領地を盗られた亜人族が取り返そうと人間と戦争を起こしているというお話ですよね。正直自業自得過ぎて、手伝いたくはないのですが。それに、私が人間に魔法を教えることで、亜人族が死んでしまうという事態は起こしたくはありません。」

「さもあらん。人間に細かな神託を与え、自助努力により、自領地の食料自給率を上げ、他の種族と交流をして、貿易をなすことで、発展すれば、人間は少しずつ人口を増やすことが出来たのだ。それが神託を細かにすることを怠り、あまつさえ、食料が減って、人工が減りだしたら、慌てて諸国の王にこれは神の命令であるといわんばかりに、他種族への侵攻を言い渡しおったのだ。自分のツケを贖うために、帳尻合わせに、他国への侵略なぞとアホの極みじゃ。」

「あ~~、夏休みの宿題やってこなかった小学生が、登校初日に友達から宿題を慌てて写しているようなものですね。呆れてものも云えません。」

「それで今回の亜人族の人族への反逆に対し、人口が減少しては困ると考えたあのアホ女神がどこぞの日本のラノベを読んだのか魔法を使えるようになったら勝てるんじゃない?と考えて愛殿を呼んだのがことの流れだ。」

「あ~~残念すぎるお話の流れで涙が出てきますね。」

「そのために、精霊樹を勝手に人間どもに伐採させたことで、精霊族からも反感を買いおったのじゃ。」

「あ~なんと残念な駄女神か。仲間を増やすどころか、延々と敵を量産して、弱体化していく流れなんですね」

「さもあらん。ま~魔素が増えれば、うちの眷属たちも生きやすくなるから、魔霊樹を植えるのは手伝っておるがな。さすがに魔法を手に人間たちが暴れまわると今度は、手を貸した我々も恨みを買ってしまうからな。」

「なるほど。碌なことになっておりませんね。それで。私が地球に戻れないというのはどういうことでしょうか?あの駄女神が約束を破るということでしょうか?」

「な~に、あの女神は約束すらしておらんからな。ただ、愛殿に神託を渡して、この地へ送り込んだだけだから。約束の破棄などしておらんよ。そちらの地球の世界の管理をしておる神からうちの神に協定違反だとクレームが入ったがな。勝手によその子の神を事前に説明もなしに盗っていったのだからな。あやつは、そなたとの会合の時に時間がなくて焦っておったであろう。

 あれはな、うちの大神がな、やつをお仕置きするために、出向かっていったからじゃよ。それで慌てて送ったのじゃ。そこで大神が間に合っておれば、まだ、そなたはここにおらず元の地へ戻っておれたのだが。。。」
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