8 / 8
8話「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
しおりを挟む
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
【粗筋】
ある作家が飛行機の中で倒れた。
偶然居合わせた医者が作家に駆け寄る。
「か……感想を、褒め褒めの……感想を……」
作家が苦しそうに呟く。
「いかん!
感想欠乏症だ!
急いで乗客の中から感想を書ける人間を探すんだ!」
果たして作家の命は助かるのか?
完結まで残り820文字しかないぞ!!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【本文】
ある作家が飛行機の中で倒れた。
偶然居合わせた医者が作家に駆け寄る。
「か……感想を、褒め褒めの……感想を……」
作家が苦しそうに呟く。
「いかん!
感想欠乏症だ!
急いで乗客の中から感想を書ける人間を探すんだ!」
医者が叫ぶ。
「お客様の中に滋賀内自家木さんのファンの方はいらっしゃいませんか?
彼の作品の感想を書ける方はいらっしゃいませんか?」
CAが乗客に呼びかけた。
「僕に任せて貰おう!
僕の名前は長文感想!
僕が書いた感想は詞のように美しいと評判だ!
「お客様はこの方のファンの方ですか?」
「いや全く!
そいつの作品を読んだこともないし、ついさっきまで名前も知らなかった!」
「それでは感想なんて書けないのでは?」
「悪いがそこに散らばっている原稿を読ませて貰った!
ちっとも面白いとは思わなかったが、同じ飛行機に乗り合わせたよしみだ!
特別に褒め褒めの感想を書いてやろう!」
長文感想は懐から万年筆を取り出し、原稿用紙の裏に感想を書き出した!
「さあCA!
僕の書いた芸術的な感想を読み上げるのだ!」
「人の原稿を勝手に読むのも原稿用紙の裏に感想を書くのもいかがなものかと思いますが、お客様の命には変えられません!
感想を読み上げます!
ペラペラペラペラペラペラペラペラ…………」
長文感想の書いた感想は、世界一薄い和紙よりも薄くペラっペラっだった。
「いかん患者の脈拍が弱まっている!」
医者が慌てる。
「やはりファンですらない人の書いた、薄っペラの感想では作家の心に響かないのですね!」
CAが取り乱す。
「何……!?」
長文感想が二人の言葉に愕然としている。
「あの……私、先生のファンで……先生の作品は全巻持ってます!
こ、これ……短いですけど読んでください!」
乗客の一人、小柄な美少女が立ち上がり一枚の紙をCAに渡した。
それはメモ用紙にえんぴつで書かれた短い感想だった。
「先生の作品が大好きです!」
CAが少女の書いた感想を読み上げる。
「奇跡だ! みるみる回復していく!」
医者が叫んだ!
メモ用紙にえんぴつで書かれたたった一文が、とある作家の命を救った。
「負けた……! 僕の完敗だ!」
長文感想はその場に膝をついた!
一命を取り留めた作家は、命の恩人である美少女に後日プロポーズしたが、
「私の好きはそういう好きじゃないんで、ごめんなさい。これからもファンとして応援してます」
とすげなく断られたという。
――終――
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
もしよければブックマークやいいねをしていただけると、嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします。
【書籍化のお知らせ】
この度、下記作品が書籍化されることになりました。
「彼女を愛することはない 王太子に婚約破棄された私の嫁ぎ先は呪われた王兄殿下が暮らす北の森でした」
著者 / まほりろ
イラスト / 晴
販売元 / レジーナブックス
発売日 / 2025年01月31日
販売形態 / 電子書籍、紙の書籍両方
(紙の書籍が全国の書店に行き渡るのは2月4日頃になると思います)
https://www.alphapolis.co.jp/novel/749914798/681592804
こちらもよろしくお願いします。
【粗筋】
ある作家が飛行機の中で倒れた。
偶然居合わせた医者が作家に駆け寄る。
「か……感想を、褒め褒めの……感想を……」
作家が苦しそうに呟く。
「いかん!
感想欠乏症だ!
急いで乗客の中から感想を書ける人間を探すんだ!」
果たして作家の命は助かるのか?
完結まで残り820文字しかないぞ!!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
【本文】
ある作家が飛行機の中で倒れた。
偶然居合わせた医者が作家に駆け寄る。
「か……感想を、褒め褒めの……感想を……」
作家が苦しそうに呟く。
「いかん!
感想欠乏症だ!
急いで乗客の中から感想を書ける人間を探すんだ!」
医者が叫ぶ。
「お客様の中に滋賀内自家木さんのファンの方はいらっしゃいませんか?
彼の作品の感想を書ける方はいらっしゃいませんか?」
CAが乗客に呼びかけた。
「僕に任せて貰おう!
僕の名前は長文感想!
僕が書いた感想は詞のように美しいと評判だ!
「お客様はこの方のファンの方ですか?」
「いや全く!
そいつの作品を読んだこともないし、ついさっきまで名前も知らなかった!」
「それでは感想なんて書けないのでは?」
「悪いがそこに散らばっている原稿を読ませて貰った!
ちっとも面白いとは思わなかったが、同じ飛行機に乗り合わせたよしみだ!
特別に褒め褒めの感想を書いてやろう!」
長文感想は懐から万年筆を取り出し、原稿用紙の裏に感想を書き出した!
「さあCA!
僕の書いた芸術的な感想を読み上げるのだ!」
「人の原稿を勝手に読むのも原稿用紙の裏に感想を書くのもいかがなものかと思いますが、お客様の命には変えられません!
感想を読み上げます!
ペラペラペラペラペラペラペラペラ…………」
長文感想の書いた感想は、世界一薄い和紙よりも薄くペラっペラっだった。
「いかん患者の脈拍が弱まっている!」
医者が慌てる。
「やはりファンですらない人の書いた、薄っペラの感想では作家の心に響かないのですね!」
CAが取り乱す。
「何……!?」
長文感想が二人の言葉に愕然としている。
「あの……私、先生のファンで……先生の作品は全巻持ってます!
こ、これ……短いですけど読んでください!」
乗客の一人、小柄な美少女が立ち上がり一枚の紙をCAに渡した。
それはメモ用紙にえんぴつで書かれた短い感想だった。
「先生の作品が大好きです!」
CAが少女の書いた感想を読み上げる。
「奇跡だ! みるみる回復していく!」
医者が叫んだ!
メモ用紙にえんぴつで書かれたたった一文が、とある作家の命を救った。
「負けた……! 僕の完敗だ!」
長文感想はその場に膝をついた!
一命を取り留めた作家は、命の恩人である美少女に後日プロポーズしたが、
「私の好きはそういう好きじゃないんで、ごめんなさい。これからもファンとして応援してます」
とすげなく断られたという。
――終――
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
もしよければブックマークやいいねをしていただけると、嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします。
【書籍化のお知らせ】
この度、下記作品が書籍化されることになりました。
「彼女を愛することはない 王太子に婚約破棄された私の嫁ぎ先は呪われた王兄殿下が暮らす北の森でした」
著者 / まほりろ
イラスト / 晴
販売元 / レジーナブックス
発売日 / 2025年01月31日
販売形態 / 電子書籍、紙の書籍両方
(紙の書籍が全国の書店に行き渡るのは2月4日頃になると思います)
https://www.alphapolis.co.jp/novel/749914798/681592804
こちらもよろしくお願いします。
539
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(8件)
あなたにおすすめの小説
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
溺愛されていると信じておりました──が。もう、どうでもいいです。
ふまさ
恋愛
いつものように屋敷まで迎えにきてくれた、幼馴染みであり、婚約者でもある伯爵令息──ミックに、フィオナが微笑む。
「おはよう、ミック。毎朝迎えに来なくても、学園ですぐに会えるのに」
「駄目だよ。もし学園に向かう途中できみに何かあったら、ぼくは悔やんでも悔やみきれない。傍にいれば、いつでも守ってあげられるからね」
ミックがフィオナを抱き締める。それはそれは、愛おしそうに。その様子に、フィオナの両親が見守るように穏やかに笑う。
──対して。
傍に控える使用人たちに、笑顔はなかった。
悪役令嬢として、愛し合う二人の邪魔をしてきた報いは受けましょう──ですが、少々しつこすぎやしませんか。
ふまさ
恋愛
「──いい加減、ぼくにつきまとうのはやめろ!」
ぱんっ。
愛する人にはじめて頬を打たれたマイナの心臓が、どくん、と大きく跳ねた。
甘やかされて育ってきたマイナにとって、それはとてつもない衝撃だったのだろう。そのショックからか。前世のものであろう記憶が、マイナの頭の中を一気にぐるぐると駆け巡った。
──え?
打たれた衝撃で横を向いていた顔を、真正面に向ける。王立学園の廊下には大勢の生徒が集まり、その中心には、三つの人影があった。一人は、マイナ。目の前には、この国の第一王子──ローランドがいて、その隣では、ローランドの愛する婚約者、伯爵令嬢のリリアンが怒りで目を吊り上げていた。
心から愛しているあなたから別れを告げられるのは悲しいですが、それどころではない事情がありまして。
ふまさ
恋愛
「……ごめん。ぼくは、きみではない人を愛してしまったんだ」
幼馴染みであり、婚約者でもあるミッチェルにそう告げられたエノーラは「はい」と返答した。その声色からは、悲しみとか、驚きとか、そういったものは一切感じられなかった。
──どころか。
「ミッチェルが愛する方と結婚できるよう、おじさまとお父様に、わたしからもお願いしてみます」
決意を宿した双眸で、エノーラはそう言った。
この作品は、小説家になろう様でも掲載しています。
夫のかつての婚約者が現れて、離縁を求めて来ました──。
Nao*
恋愛
結婚し一年が経った頃……私、エリザベスの元を一人の女性が訪ねて来る。
彼女は夫ダミアンの元婚約者で、ミラージュと名乗った。
そして彼女は戸惑う私に対し、夫と別れるよう要求する。
この事を夫に話せば、彼女とはもう終わって居る……俺の妻はこの先もお前だけだと言ってくれるが、私の心は大きく乱れたままだった。
その後、この件で自身の身を案じた私は護衛を付ける事にするが……これによって夫と彼女、それぞれの思いを知る事となり──?
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)
わたしのことはお気になさらず、どうぞ、元の恋人とよりを戻してください。
ふまさ
恋愛
「あたし、気付いたの。やっぱりリッキーしかいないって。リッキーだけを愛しているって」
人気のない校舎裏。熱っぽい双眸で訴えかけたのは、子爵令嬢のパティだ。正面には、伯爵令息のリッキーがいる。
「学園に通いはじめてすぐに他の令息に熱をあげて、ぼくを捨てたのは、きみじゃないか」
「捨てたなんて……だって、子爵令嬢のあたしが、侯爵令息様に逆らえるはずないじゃない……だから、あたし」
一歩近付くパティに、リッキーが一歩、後退る。明らかな動揺が見えた。
「そ、そんな顔しても無駄だよ。きみから侯爵令息に言い寄っていたことも、その侯爵令息に最近婚約者ができたことも、ぼくだってちゃんと知ってるんだからな。あてがはずれて、仕方なくぼくのところに戻って来たんだろ?!」
「……そんな、ひどい」
しくしくと、パティは泣き出した。リッキーが、うっと怯む。
「ど、どちらにせよ、もう遅いよ。ぼくには婚約者がいる。きみだって知ってるだろ?」
「あたしが好きなら、そんなもの、解消すればいいじゃない!」
パティが叫ぶ。無茶苦茶だわ、と胸中で呟いたのは、二人からは死角になるところで聞き耳を立てていた伯爵令嬢のシャノン──リッキーの婚約者だった。
昔からパティが大好きだったリッキーもさすがに呆れているのでは、と考えていたシャノンだったが──。
「……そんなにぼくのこと、好きなの?」
予想もしないリッキーの質問に、シャノンは目を丸くした。対してパティは、目を輝かせた。
「好き! 大好き!」
リッキーは「そ、そっか……」と、満更でもない様子だ。それは、パティも感じたのだろう。
「リッキー。ねえ、どうなの? 返事は?」
パティが詰め寄る。悩んだすえのリッキーの答えは、
「……少し、考える時間がほしい」
だった。
二人ともに愛している? ふざけているのですか?
ふまさ
恋愛
「きみに、是非とも紹介したい人がいるんだ」
婚約者のデレクにそう言われ、エセルが連れてこられたのは、王都にある街外れ。
馬車の中。エセルの向かい側に座るデレクと、身なりからして平民であろう女性が、そのデレクの横に座る。
「はじめまして。あたしは、ルイザと申します」
「彼女は、小さいころに父親を亡くしていてね。母親も、つい最近亡くなられたそうなんだ。むろん、暮らしに余裕なんかなくて、カフェだけでなく、夜は酒屋でも働いていて」
「それは……大変ですね」
気の毒だとは思う。だが、エセルはまるで話に入り込めずにいた。デレクはこの女性を自分に紹介して、どうしたいのだろう。そこが解決しなければ、いつまで経っても気持ちが追い付けない。
エセルは意を決し、話を断ち切るように口火を切った。
「あの、デレク。わたしに紹介したい人とは、この方なのですよね?」
「そうだよ」
「どうしてわたしに会わせようと思ったのですか?」
うん。
デレクは、姿勢をぴんと正した。
「ぼくときみは、半年後には王立学園を卒業する。それと同時に、結婚することになっているよね?」
「はい」
「結婚すれば、ぼくときみは一緒に暮らすことになる。そこに、彼女を迎えいれたいと思っているんだ」
エセルは「……え?」と、目をまん丸にした。
「迎えいれる、とは……使用人として雇うということですか?」
違うよ。
デレクは笑った。
「いわゆる、愛人として迎えいれたいと思っているんだ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
修正しました。
Kou様
感想ありがとうございます!
もう少し文字数を増やして、短編〜中編にして見たかったネタです。
気に入っていただけて嬉しいです!
蘭丸様
感想ありがとうございます!(*´∀`*)✨
見つけていただけて嬉しいです!(*´艸`*)💕