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素行不良の理由
しおりを挟むどうしてプール掃除をすることになったのか、恵那と精華から聞き出すと、二人とも夏休み前にあるテストを休んだらしく、その理由がしょうもなかったため親御さんから雷を落とされた挙句、お灸を据えるのに学校にまで助力を要請されて今のような状態になっているようだ。
「学校内の実力を確認するテストと、全世界で実力を確認するゲーム。どう考えたってゲームの方をとるじゃない」
「元はといえば、気まずくなったのはお母さんのせいなのに、理不尽です」
二人はブツクサと文句を言いつつも、プールの床にブラシをかける。
精華についてはまだわからなくもないが、ゲームにハマって、テストをサボった恵那の件については擁護のしようがない。
「二人とも理由は分かりましたけど。もっとキビキビ動いてください。ただでさえ人数が少なめなんですから」
「そんなこと動きにくそうな顔をしているあんたに言われたくないわよ」
肌面積の低いボンテージの水着を着た恵梨香に、恵那からツッコミが入る。
この中で一番言動がしっかりしているというのに、格好が全てを台無しにしていた。
こちらとしても目に毒だ。
恵梨香の趣味を何度も目撃していたため、耐性があったためなんともないが、そうでなければ気になってプール掃除どころではないだろう。
「動いてるうちにまろびでそうですね」
「精華、人の胸を妖怪みたいに言わないでください。この程度で胸は水着から溢れませんよ。溢れるまでにはあと2段階ほど余裕があります」
「そんなあと2回形態変化を残してるみたいな。RPGのラスボスが何かなのあんた……」
恵梨香の発言に恵那が悄然とした声をあげる。
確かに俺たちの価値観では露出度のバリエーションに対してそこまでの段階があるとは思ってもみなかった。
下も横も見えてるので十分布面積が低いというのに、後2回など想像もつかない。
男ものの水着で言うスリングショットのようなものになるんだろうか。
まあかく言う二人も普通にビキニタイプの水着に透けるタイプの上着を着ているので、五十歩百歩みたいな感じはあるが。
側から見たら刺激的であるので、第三者に見られるのは遠慮した方がよさそうだが、プールの堀が高いのでそこまで気にしなくていいか。
「ふう、床の4分の1は終わりだね」
「秋也早すぎでしょ。まだ開始3分も経ってないような気がするけど」
「そこだけ時限が歪んでますね」
「4分の1だけピカピカに」
プール掃除に取り掛かり、一息つくと、恵那、精華、恵梨香が驚いた声を上げた。
あまりに大袈裟に言うので気恥ずかしくなってくる。
比較的汚れていない部分だったし、こんなものだろう。
それに床掃除よりも近くにある側溝の方がどちらかと言えば大変だ。
中学の時分には側溝に何故か、大量の給食の残飯が封印されており、苦戦したこともあるからな。
「秋也は全く関係ないのにこれだけやる気を出してくれてるんですよ。二人とも張り切って」
「わ、わかったわよ。もう」
「こうなれば仕方ないですね」
二人はしょうがないと言った感じで、先ほどとは比べ物にならないスピードで動き始める。
夏場なのでそこまで張り切っても、急激に体力を失って熱中症になったりするので、ほどほどがいいんだが。
「ああ、なんだか頭がくらくらしてきて」
「だらしないわね。栄養ドリンクを飲まないからそうなるのよ」
精華が若干熱中症ぽい症状になり、頭を手で押さえていた。
家でゴロゴロしている恵那の方がなる可能性としては高いかと思っていたが、精華か。
確かによくよく考えれば恵那の方は純粋な運動ではないが、家で配信したりしてるだけあって体力はそれなりにあったのかもしれない。
「俺が保健室に連れて行くよ。二人は水着のまま外には出れないし」
熱中症は不調が出てからの初期対応が大事なので、とりあえず保健室で休ませることにする。
水着姿でそのまま成果を外に連れて行くのは憚れ、俺がきている上着を彼女に被せると、抱えるようにして抱き上げる。
担いだ方が運ぶやすくはあるが、遠くで護衛をしているだろう花園組の人に見られたら、失礼極まりないということで詰められることも考えられるのでやめておいた。
「あ、すみません。秋也」
「いいよ。気にしてなくて、この炎天下の中だし」
謝罪する精華に答えると、保健室に連れて行く。
肌と肌が直に触れていることもあるし、精華の露出度も高いので、少しドキマギするが心頭滅却して、歩速を上げる。
なるべく早く保健室に運ぶと、流石に夏休みということもあってか、先生はいなかった。
ベッドに精華を乗せると、カーテンを締め切って、熱中症用に用意されている生理食塩水を棚から取り出し、キャップを開けて精華に渡す。
「ありがとうございます」
精華は喉を潤すと、ベッドの上で一心地つく。
熱中症の度合いはすぐ対応したのでそこまででもないと思うが、念のためベッドに横になって安静にしてもらう。
救急車は流石に大丈夫だと思うが、呼んでおくか。
「ああ、大丈夫ですよ! 秋也!」
スマホに手を伸ばすと慌てて精華がベッドから起き上がった。
念のためではあったし、本人もこう言っているし、さすがにやめておくか。
熱中症にガチガチにかかっているようなら、ここまで元気は良くないだろうし。
一応ここで悪化しても対応できるように付き添っておこう。
「秋也、婚約の話なんですけど」
回復するまで待っていると、精華が口を開いた。
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