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大希

ヒロ坊くんが誰かの所為で

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フィクションの中の<復讐者>は、特に、<ヒーロー>として描かれる復讐者は、決して相手を間違えません。ろくな証拠がなくても必ず<復讐すべき相手>に辿り着き、復讐を果たしてみせます。

ですが、現実の世界のどこにそんな<復讐者>がいるというのですか?

私自身が復讐を果たそうと想定すればこそ、その難しさが分かります。

もし、ヒロ坊くんがイジメにより自殺したと想定すると、先にも申し上げたとおり、私は実行者だけでなく、見て見ぬフリをした傍観者も同罪として復讐を望まずにはいられないでしょう。

『その程度の区別も付けられないのか!?』

とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんな冷静に割り切れるのであれば、そもそも法律で禁止されている<復讐>や、<私刑>を認めるべきと考えることもないのではないですか? 冷静に割り切れるのですから。

でも実際には、そんな風に割り切れないからこそ復讐を望むのではないのですか?

少なくとも私は割り切れません。

傍観者にどんな事情があろうとも、関係ないのです。私からヒロ坊くんを奪った、奪おうとするのを止めなかった人間は等しく例外なく全員、罰を受けるべきだと考えます。

ましてやネット上で叩かれたりしてヒロ坊くんが自殺したとなれば、私はそれに参加した全員の死を望むでしょう。誰一人逃したくない。例外など認めません。相手が誰であろうと命でもって贖ってください。

百人でも、千人でも、万人でも、一人残らず死んでください。

言い訳など聞きません。『死ぬとは思わなかった』なんて戯言は聞きたくもありません。死んでください。

そして、万が一、人違いであったとしても、誰かがパソコンなりスマホなりを勝手に操作してコメントしたのだとしても関係ありません。管理責任ということで同罪です。死んでください。



……以上が、『ヒロ坊くんが誰かの所為で亡くなったとしたら』と想像した私の心の動きです。

フィクションで描かれるような、スマートで確実に仇だけが討てる<復讐>など、ただの綺麗事でしかないというのが嫌というほど思い知らされます。そんなものは現実ではありえない。

数多くの<事件>の資料を読み込めばこそ、それらのうちのかなりの事例が<復讐劇>であったことが分かるのです。

それがどれほど身勝手な逆恨みであっても、加害者にとっては<正当化されるべき復讐>との考えの下で行われたかが分かります。

<復讐>を認めるのは、それらの事件そのものを正当化することに他なりません。

正直、私自身、ヒロ坊くんが誰かの所為で亡くなったとしたら、正気ではいられないでしょう。

『復讐は認められるべき』

だとおっしゃるのであれば、自身がいつか誰かの復讐に巻き込まれることも覚悟するべきでしょうね。

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