19 / 2,363
ハーレム
エレクシア(との馴れ初め)
しおりを挟む
エレクシアYM10はロボットである。その中でも、メイトギアと呼ばれる、メイドを模した外見を持つ、人間の生活全般をサポートするロボットだ。
医療技術が非常に進歩した今ではそれほど重要ではなくなったが、元々は育児のサポートや高齢者の介護を目的に作られたロボットが始まりだという。
人間に従順で、無用なストレスを与えないようにする為に基本的には常に穏やかな笑みを浮かべ、物腰柔らかい理想的な存在として設計されている。
標準状態では。
が、俺が買った宇宙船の頭脳体としてついてきたエレクシアは、前のオーナーがかなり自分好みにカスタマイズしたらしく、冷淡で、時にはまるで蔑むように主人を見るという、本来は有り得ない挙動をするメイトギアだった。
しかも、割と強引に宇宙船の頭脳体にまで仕立て上げてることで余計な負荷が掛かっているらしく、ただでさえしょっぱい対応がそれで余計に雑になっているらしかった。
最近の宇宙船は基本的にそれ自体がロボットだから、俺が使ってるような個人用の小型クルーザー(全長五十メートル級)なら一人でも操作できるんだが、それすら宇宙船とリンクさせてすべて肩代わりさせた専用のロボットが、本来の頭脳体だった。要するに人間は命令するだけで後は完全にロボットがやってくれるということだ。
それを、本来の用途じゃないメイトギアやレイバーギア(メイトギアよりも重労働向きの人型ロボット)にやらせる物好きもいて、そういうのは趣味性の高い無理な改造として中古市場では敬遠され、大抵は叩き売り状態になる。
俺が買ったこの宇宙船も、元々型落ちだった小型クルーザーにさらに前々モデルのメイトギアであるエレクシアYM10を頭脳体に組み込んであるという、保証もへったくれもないジャンク品を、ジャンク屋の足元を見てさらに買い叩いたというものだった。
だが、俺は結構気に入っている。メイトギアの嘘くさい作り笑顔に辟易してた俺にとっては、エレクシアの人間に媚びない冷淡な対応も逆にロボットらしくて好きだ。
唯一の家族だった妹が死んで十五年。難病の治療の為に作った借金の返済にあくせくしてた時にたまたま知り合いのジャンク屋のところに引き取られてきたこいつを見かけてヤバいところから借金してまで買って、結果的に惑星ハンターをする羽目にまでなったが、後悔はしていない。
それにもう、以前見付けた鉱物資源惑星の権利を奴らにくれてやったから、どうせそれを上手く転がして元は取るだろ。
俺が夢色星団に挑むなんて無茶をしたのも、結局はそういう諸々が面倒臭くなってこいつと二人きりになりたかったっていうのが一番だったんだよなあ。
医療技術が非常に進歩した今ではそれほど重要ではなくなったが、元々は育児のサポートや高齢者の介護を目的に作られたロボットが始まりだという。
人間に従順で、無用なストレスを与えないようにする為に基本的には常に穏やかな笑みを浮かべ、物腰柔らかい理想的な存在として設計されている。
標準状態では。
が、俺が買った宇宙船の頭脳体としてついてきたエレクシアは、前のオーナーがかなり自分好みにカスタマイズしたらしく、冷淡で、時にはまるで蔑むように主人を見るという、本来は有り得ない挙動をするメイトギアだった。
しかも、割と強引に宇宙船の頭脳体にまで仕立て上げてることで余計な負荷が掛かっているらしく、ただでさえしょっぱい対応がそれで余計に雑になっているらしかった。
最近の宇宙船は基本的にそれ自体がロボットだから、俺が使ってるような個人用の小型クルーザー(全長五十メートル級)なら一人でも操作できるんだが、それすら宇宙船とリンクさせてすべて肩代わりさせた専用のロボットが、本来の頭脳体だった。要するに人間は命令するだけで後は完全にロボットがやってくれるということだ。
それを、本来の用途じゃないメイトギアやレイバーギア(メイトギアよりも重労働向きの人型ロボット)にやらせる物好きもいて、そういうのは趣味性の高い無理な改造として中古市場では敬遠され、大抵は叩き売り状態になる。
俺が買ったこの宇宙船も、元々型落ちだった小型クルーザーにさらに前々モデルのメイトギアであるエレクシアYM10を頭脳体に組み込んであるという、保証もへったくれもないジャンク品を、ジャンク屋の足元を見てさらに買い叩いたというものだった。
だが、俺は結構気に入っている。メイトギアの嘘くさい作り笑顔に辟易してた俺にとっては、エレクシアの人間に媚びない冷淡な対応も逆にロボットらしくて好きだ。
唯一の家族だった妹が死んで十五年。難病の治療の為に作った借金の返済にあくせくしてた時にたまたま知り合いのジャンク屋のところに引き取られてきたこいつを見かけてヤバいところから借金してまで買って、結果的に惑星ハンターをする羽目にまでなったが、後悔はしていない。
それにもう、以前見付けた鉱物資源惑星の権利を奴らにくれてやったから、どうせそれを上手く転がして元は取るだろ。
俺が夢色星団に挑むなんて無茶をしたのも、結局はそういう諸々が面倒臭くなってこいつと二人きりになりたかったっていうのが一番だったんだよなあ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
162
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる