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幸せ

アサシン竜(これもヤバい相手だな)

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アサシン竜アサシン

真っ黒な短い体毛に全身が覆われた、やたらと長い腕が特徴的な、恐竜(に似た生き物)を祖先に持つことが遺伝子解析で分かっている、サルのような動物。ちょうど<テナガザル>と呼ばれるそれを思い浮かべてもらえればイメージしやすいだろうか。

短いとはいえ体毛に覆われているから一見すると哺乳類のようにも見えるが、卵生で、遺伝子的に見ると実はボクサー竜ボクサーとそう遠くない種であることが分かってる。

外見上はまったくそう思えないが。

しかも俺がアサシン竜アサシンと名付けたのは、その真っ黒な見た目だけでなく、音もなく忍び寄る隠密性と、獲物を容赦なく屠る冷酷さを特徴としてるからだ。さっき俺が気付いたのだって正直たまたまだっただろう。

エレクシアが護衛についてくれていなければ危なくて迂闊にローバーの外に出られないほど危険な存在だった。ある意味では俺達にとってはヒト蜘蛛アラクネよりヤバい相手だ。隠密性や冷酷さではカマキリ人間マンティアンに匹敵する。

体が小さく、大きな個体でも体長一メートル体重三十キロもない上に大きな群れは作らないことで、体長三メートル体重二百キロのヒト蜘蛛アラクネにとってはカマキリ人間マンティアンほどの脅威にはならないかも知れなくても、それ以外の動物にとっては恐ろしい敵だよ。

ただ、幸いなことに、ひどく河を恐れているらしく、河の方へは一切近付いてこないことで俺達がいる対岸にはいないのも分かっている。

それに、いくら隠密性が高くても、人間には見えない光を見、人間には聞こえない音を聞くエレクシアからすれば丸裸も同然なので、正直、油断さえしなければ敵じゃない。

もっとも、人間である俺やシモーヌがいくら気を付けたところで限界があるけどな。

あと、もし俺達の家がある側に来たとしても、カマキリ人間マンティアンにとっては大した敵じゃないだろう。しかも空中から見下ろす形になるタカ人間アクシーズにとっても、幼体のうちはともかく成体になってからなら天敵と言えるほどの存在でもないから、多少の数が渡ってきたところで早々に駆逐されるに違いない。

と言うか、何らかの形で不本意ながらも渡ってきてしまう個体もこれまでまったくいなかった訳じゃないだろうから、実際にそういう形で駆逐されたことで定着しなかったのだと思われる。

なんてことを踏まえて、

「この辺りもアサシン竜アサシンの生息域なのか」

と判断した俺は、ドローンをさらに飛ばして早期警戒網を拡充することにした。

今までもそうしてたんだが、その網をすり抜けて接近されてしまったからな。

エレクシアによる最終防衛ラインにまで迫られたというのは、俺の失策だよ。

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