ネコナマナ ~マナちゃんのニャオンな日常~

京衛武百十

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得心

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冠呂日葵かむろひまり様が、真猫まな様と遊びたいといらしてます」

「ん? ああ、そうなんだ?」

と応えながら、桃弥とうやはいつものように裸で室内をうろついていた真猫まなを見た。

真猫まな日葵ひまりちゃんが遊びたいらしいんだけど、遊ぶ?」

玲那から『友達ができたみたいです』と報告を受けていたことで状況を察することができた。そうでなければ、断ってしまっていたかもしれない。

すると真猫まなも、僅かに首をかしげる仕草を見せた。桃弥とうやにはそれがちゃんと<承諾>の意味だと分かった。

しかし、となればさすがに裸のままじゃマズいだろう。

「服、着られる?」

そう言って服を着ることを促すと、真猫まなは素直に服を着させられた。今も自分ではうまく着られないからだ。

そんな風に真猫まなが準備をしている間、桃弥とうやの指示を受けて母屋の方のリビングに日葵ひまりとその母親を上げたハウスキーパーの椎津琴乃しいづことのが、オレンジジュースやドーナツを用意していた。

「お二人は今、少し出掛けていて、ちょうどこちらに向かっているところです。五分ほどお待ちいただければ遊べるそうです」

と説明していた。その上で、

「娘さんは、食べ物に何かアレルギーとかありますか?」

と確認の上、オレンジジュースとドーナツを出したのだった。今はそういうことも気にしないといけないので、ハウスキーパーとして配慮したのだ。

そんな風に丁寧に確認を取ってくれたことに、日葵ひまりの母親は感心していた。

『アレルギーのこととかまったく考えずにお菓子とか用意する人も多いのに』

そして、

『このお宅だったら任せても大丈夫かな』

と感じていた。

でも最後に気になっていたことを問い掛ける。

「あの、真猫まなちゃんのお母さんですか?」

家族にしてはやけに丁寧すぎて他人行儀だったので、気になったのである。それに対して椎津琴乃しいづことのは、やはり丁寧に応えた。

「いえ、この家の主人はまだ結婚していません。私は家のことを任されているハウスキーパーです」

その答えに、『ああ、なるほど』と日葵ひまりの母親も得心がいった。

そこに、服を着た真猫まなを連れて、桃弥とうやが現れた。日葵ひまりの母親は、娘がお邪魔することについて一言ご挨拶をと考えて待っていたのだった。

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