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暮らしの章

家族が力を合わせて何かをする

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今日はまた、村に品物を納品しに行ったら、藁が大量に手に入った。冬に向けてベッドを仕立て直したりカーペットの下に敷いて地面からの冷気を和らげたりってことで、いくらあっても困らないからな。

まあ、うちの母屋は作業場でもあるから床は全部土間だけどな。火の粉が飛ぶしカーペットなんか敷いてたら危なくて仕方ない。加えて、夏は地獄だが冬は炉がそのまま暖房代わりにもなるしで、割と快適だったりする。

串に刺した肉を炉に突っ込んで焼いてそのまま食う。なんてのも、以前はよくやったもんだ。

それはさておいて、とにかく家に帰ってベッドを仕立て直す。

庭の草刈りで出た雑草を乾燥させたものを敷き詰めてたのを、俺とリーネとトーイの三人で家の外へと放り出して、代わりに藁を敷き詰める。縦向きと横向きに交互に積み重ねていって枠の部分を十分に超えたらシーツを被せて形を整える。上に乗ると藁が潰れて沈むからな。それを見越して盛るんだ。

「よーし! こんなもんだろ!」

「はい♡」

「うん!」

見た目にも明らかにヘタってたベッドが、こんもりと厚みを取り戻してるのが分かる。これは寝心地もよさそうだ。

ちなみに、<掛け布団>的なものがここの文化にはないので、冬の間は厚着して寝るのが普通だった。加えて、家族全員で同じベッドで寝るので、お互いがカイロ替わりにもなるということだな。

ベッド自体が、木の板を組み合わせて作った<でかい木箱>でそこに藁を敷き詰めて作るってのだから、一人一人にベッドを用意するなんて贅沢なことはしてられない。子供を横に寝かせたまま夫婦がヤってるなんてのも普通だ。と、これは前にも言ったか?

いずれにせよ、前世とは何もかも違うここの生活にも適応していくしかないし、だったらいっそ楽しんじまえばいいさ。

三人での<ベッド作り>もその一つだ。

『日常的に家族が力を合わせて何かをする』

ってのは、むしろこっちの世界の方が多いと思う。しかも楽しい。子供から嫌われてたり反発されてたら素直に楽しめなくても、今のリーネやトーイはそうじゃない。俺に対する不信感もほとんど感じられなくなった。

『ごくたまにある何かのイベントで仲良くなる』

なんてのは、俺の実感じゃ嘘くさくて仕方ない。そういう一つ二つのイベントでじゃなくて、毎日の細かな積み重ねこそが信頼を作るってのを、なんで子供に教えないんだろうな。漫画やアニメやドラマみたいに、

『みんなで力を合わせて頑張れば信頼が築ける!』

とか、いやいや、

『その時だけテンションが上がって仲良くなったような気がする』

ってだけだろ。そんなアニメや漫画やドラマみたいに簡単にいきゃ、苦労なんてしないんだよ。

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