【幼馴染の過去改変はハッピーエンドで終われるか!?】

久久泉

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【 3章 】

11話 〔34〕

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 このまま見なかったことにして、素知らぬフリでマリアに返してしまうのが得策ではないか?
 本当にそうしてしまいたいとも思った。

「まいったわね……」

 にわかには信じられなかった。まさかこれほどやばいものが出てきてしまうとは、思いもよらなかった。これは想像の遥か上をいっている。

「仕方ない。たまには部長っぽいこと、しなきゃいけなくなったようね」

 幼馴染の仲間を問い詰めるなんてことは、心苦しくて胸が張り裂けそうになる。
 でも、こんな秘密を知ってしまっては、そんなことも言っていられない。目的だけでもハッキリさせなければ、これまでどおり接するなんてできそうにない。

 考えごとをしながら、ふと結晶に指を触れたときだった。
 一発激しい静電気みたいなのが走ったかと思うと、驚くほど呆気なく、くっついていた基盤からぽろりと結晶が外れてケースの外にこぼれ落ちた。

「え!? ちょっと」

 ダイレクトに床へと落下しそうになった結晶を咄嗟に片手でキャッチ! 手の中で握り締めた。

「あっぶないわね……、しっかり固定されてないの?」

 ――直後、部屋の空気が一度、大きく鼓動した……。

「えっ!? 何っ?」

 指を開いて結晶を見ると、淡い紫色にぼんやりと発光している。

「どうしよ……、壊れちゃったかな」

 気が付くと結晶内のリングが徐々に停止。いままでとは逆回転を始めようとしていた。
 やがて、空気中から光の粒子がどんどん結晶に吸い込まれて、リングの逆回転は加速していく。
 光の集束は激しさを増し、眼を開けていることさえできなくなった。

「頭が……」

 数字? 文字? 記号? 細分化された量子データを思わせるような、わけのわからないものの羅列が、膨大なイメージとなって直接脳に入り込んで来る。

「イヤ……やめて!」

 脳の記憶領域が覚醒される。私の十八年間の思い出が……、次々とケータイのお気に入り画像をスワイプするように流れて消える。

 一体何が起きようとしているのか、考えることすらままならない……。

 また、あのときのように身体と意識が分離しているような気がしたけれど、もう何も感じることはなくなっていた……。





 それから…………どれくらい時間が経ったのかわからなかった。

 実際は一分も過ぎていなかったのかもしれない。

 今が朝なのか? 昼なのか? それとも夜だったのか……。

 基準となるものは何も無かった。

 静寂。いっさいの音の波すらかき消される究極の無。

 音が聞こえれば外の状況が推測できた。
 空気が存在しなければ、空間に音を伝えることはない……。

 暗闇。ひと筋の光さえ消滅する完全なる闇。

 明るさが視認できれば時間の周期を把握できた。
 光が存在しなければ、眼に写る情報は無く物は認識されない……。

 温度を感じない。暑いのか、寒いのか。どれだけ経過しても季節のうつろいを想うこともない。

 重力を感じない。どちらが上なのか、下なのか。寝ているのか、立っているのかさえも自覚することはできない。

嗚呼あぁ、あたしは……)

 どうやらかろうじて、まだ私という自我の断片は残っているみたいだった。

 けれど……手足を動かしても、それぞれがどこにも触れることはなく、身体があるのかもわからなかった……。

 私は……死んでしまったのかと思って、悲しい感情が溢れた……。
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