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【 TBA 】
0話 〔35〕
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「あたしは忘れ物を取って帰るから、みんなは先に帰っててもいいわよ」
未那は僕達を待たせるのを悪いと思ったのか、それだけ言いつけた。
「わかった。なら僕らはたぶん寄り道して帰ると思うから、何かあったら連絡して」
別に戻りを待ってもよかったけれど、用事が済んだら連絡ぐらいはくるだろうし、本人がそう言うならと思って軽く答えた。
「オーケー、じゃあね」
と、それにもあっさり未那は返事して、小さく左手を挙げて僕達を見送っていた。
由那とマリアの三人で下駄箱のある玄関へと歩き始めた。
「なんか今日の未那、おかしくなかったか? 元気ないっていうか」
「そうですね。いつもなら未那ちゃんのほうから、いろいろ話を振ってくれるんですけど!」
長い付き合いだ。マリアもちょっとした違和感のようなものを感じたらしい。
「そうかな……? んーでも、体育の授業のときはすごく元気だったよ……?」
「ふーん、じゃあ気にしすぎだったか」
「あーそういえば! 今日は左手に腕時計をしていましたよね!? いつもはしていないはずですけど!」
……腕時計? なるほど、たしかにいつもはしていなかったという印象がある。さすがマリアはそういうところはよく目が届いていると関心する。
「それかなぁ……。今朝のテレビの占いがよくなかったのよ……それでラッキーアイテムの腕時計を……」
「未那ちゃんでもそういうの気にすることあるんですね! ちなみに今日のマリアのラッキーアイテムは、四葉のクローバーです!」
「なんでそんなにベタなんだよ。マジでいい加減な占いだな」
マリアが投げる言葉のボールは、バントぐらいで返すのがちょうどいい。
靴を履き替え、校門を出た辺りで腕時計を確認すると、液晶のデジタル表示は十八時二十五分。未那からの連絡はまだこない。
陽はだいぶ傾きかけているけれど、真っ直ぐ帰るにはまだ早い。
「どっか寄ってくか?」
「そうですね! それなら駅裏にできたスイーツ店のクレープが、めっちゃ美味しいらしいんですよ!」
「うーん、それはまた未那の居るときがいいな」
あとで話題にでもなったときに、「なんで、あたしだけ」などと機嫌を損ねられるのも面倒だ。
「あっ! 今日は木曜日ですね、漫画雑誌の発売日でした! 本屋さんに寄って行ってもいいですか?」
「それなら……、わたしも気になる小説を買いたいから、書店のほうにしよっか……」
「たまには、◯◯本店にでも行ってみるか」
昨今ではデジタル書籍が普及して、「かさばらない・すぐ買える」などのメリットが取りざたされるようになっているが、由那とマリアはもっぱら現物派だ。どうやら本棚に整然と収まっているという、コレクターとしての安心感が好きらしい。
未那は僕達を待たせるのを悪いと思ったのか、それだけ言いつけた。
「わかった。なら僕らはたぶん寄り道して帰ると思うから、何かあったら連絡して」
別に戻りを待ってもよかったけれど、用事が済んだら連絡ぐらいはくるだろうし、本人がそう言うならと思って軽く答えた。
「オーケー、じゃあね」
と、それにもあっさり未那は返事して、小さく左手を挙げて僕達を見送っていた。
由那とマリアの三人で下駄箱のある玄関へと歩き始めた。
「なんか今日の未那、おかしくなかったか? 元気ないっていうか」
「そうですね。いつもなら未那ちゃんのほうから、いろいろ話を振ってくれるんですけど!」
長い付き合いだ。マリアもちょっとした違和感のようなものを感じたらしい。
「そうかな……? んーでも、体育の授業のときはすごく元気だったよ……?」
「ふーん、じゃあ気にしすぎだったか」
「あーそういえば! 今日は左手に腕時計をしていましたよね!? いつもはしていないはずですけど!」
……腕時計? なるほど、たしかにいつもはしていなかったという印象がある。さすがマリアはそういうところはよく目が届いていると関心する。
「それかなぁ……。今朝のテレビの占いがよくなかったのよ……それでラッキーアイテムの腕時計を……」
「未那ちゃんでもそういうの気にすることあるんですね! ちなみに今日のマリアのラッキーアイテムは、四葉のクローバーです!」
「なんでそんなにベタなんだよ。マジでいい加減な占いだな」
マリアが投げる言葉のボールは、バントぐらいで返すのがちょうどいい。
靴を履き替え、校門を出た辺りで腕時計を確認すると、液晶のデジタル表示は十八時二十五分。未那からの連絡はまだこない。
陽はだいぶ傾きかけているけれど、真っ直ぐ帰るにはまだ早い。
「どっか寄ってくか?」
「そうですね! それなら駅裏にできたスイーツ店のクレープが、めっちゃ美味しいらしいんですよ!」
「うーん、それはまた未那の居るときがいいな」
あとで話題にでもなったときに、「なんで、あたしだけ」などと機嫌を損ねられるのも面倒だ。
「あっ! 今日は木曜日ですね、漫画雑誌の発売日でした! 本屋さんに寄って行ってもいいですか?」
「それなら……、わたしも気になる小説を買いたいから、書店のほうにしよっか……」
「たまには、◯◯本店にでも行ってみるか」
昨今ではデジタル書籍が普及して、「かさばらない・すぐ買える」などのメリットが取りざたされるようになっているが、由那とマリアはもっぱら現物派だ。どうやら本棚に整然と収まっているという、コレクターとしての安心感が好きらしい。
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