【幼馴染の過去改変はハッピーエンドで終われるか!?】

久久泉

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【 4章 】

3話 〔42〕

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「こんな馬鹿なことって……」

 やっと、私の身に何が起こったのか、おおよその予想がついた。

「過去への時間移動……。タイムスリップね」

 それなら昨日と異なる部室内の状況変化にも、すべて納得ができる。ここは去年の六月の光景だ。

「それも、あたしのおかれている体の状態からして、限りなく幽霊理論に近い時間移動だったみたいね」

 幽霊と違うのは、重力を受けているにもかかわらず、床をすり抜けずに自らの足で立てていること。
 これが、すり抜けできる幽霊ならば、重力に引かれた身体は地面を貫通して、底なし沼にはまるように地球の核へと向かうだろう。
 日本の幽霊が浮遊しているイメージで描かれることが多いのは、重力を無視するための合理的な設定だ。

「自分からはこの世界の物に触れても動かすことはできないのね、やっかいだわ」

 こちらに身に着けて持ち込めた以外は動かせない。たぶん、物としての概念がすでに違うのだと思う。

「ちゃんと着ていた服を持ち込めたのは不幸中の幸いだったわ……」

 もしこんな場所で全裸だったら恥ずかしすぎて、幽霊だったとしても死にたくなるところだった。
 けれど、物を動かせないというのはとても不便だ。部室の扉を開けれなければここから出ることさえできない。

 状況を分析してみたものの、問題は山ほど思いつく。
 まず最初に思い浮かぶのは……よくある話、この世界に『別の過去の自分』が存在するのかどうか? ということ。

 謎の結晶の力が時間を巻き戻す力なら、私自身も巻き戻された存在で、過去の自分は存在しない可能性が高い。
 それとは別で、私の存在を過去に送る力だったなら、過去の自分がほかに存在する可能性のほうが高い。

「んーいままで部室に朝までいた。なんて経験がないから、巻き戻されてはいないはずよね?」

 私の現状を踏まえて考えるなら、おそらくは後者と推察できた。

 次に、元の世界に無事に戻れるのか? という、もっとも重大な問題。
 まったく保証となりえるものは無い。ここでの時間の流れと、元の世界の時間の流れの速度が同じなら永遠に追いつくことはできない。

 の天才理論物理学者、スティーブン・ホーキングの論に従えば、光速の九十八パーセントに達する速度のロケットに乗って移動すれば、ロケットの中での一日は地球の一年にあたる。

「うまく調整すれば……って、ロマンはあるけどそんな乗り物はこの世界にもないでしょうね」

 ただひとつ希望があるとすれば、この謎の結晶だけが最後の頼みの綱だ。

 私は、この『過去』という時間の世界で、謎の結晶の秘密と、マリアの正体を知る必要があるのかもしれない。
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