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第三話 オオカミさんとキスをして
※8・幼なじみたちに対してもの思う。(村人のトマ視点)
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村長の息子レオンが魔法使いのノワを好きなことは、ノワ本人だけが知らないミーヌ村公然の秘密だ。
レオンに熱を上げてる女の子たちは、鈍感なノワが悪い、と言ってたけど、俺がノワでも気づかないと思うなあ。
想い人以外には上手く立ち回れるレオンは、ほかの村娘たちがノワに悪さをしないようちゃんと気をつけてたっけ。
ノワを見るとき、レオンの眉間にはいつも皺が寄っている。
緊張し過ぎによるしかめっ面。
興奮し過ぎて声が出なくて、無言で相槌を打つしか交流手段がない。
自警団の頭で責任感が強いのもあるだろうが、田舎の村にはもったいない強さを持つレオンがモンスター退治でやたらと怪我をしてたのって、父親のガマガエル村長に文句を言われずにノワと会うためだったんじゃないかと思う。
でも、会ったら会ったでなにも言えない。
それで好かれてるなんて、ノワが自意識過剰でもない限り考えないだろう。
俺が知る限り、ノワは自意識過剰ではないしね。
あんなにすごい回復魔法が使えるんだから、もっと威張ってもいいのに。
家族や家畜の怪我でノワの世話になってない人間なんて、ミーヌ村にはいなかった。
最近は落ち着いてきたけど、以前は家畜を狙う野獣の狼が多かったんだ。
レオンが言ったとおり飢えた狼が家畜を襲うのは冬の風物詩。
俺たち自警団も最初は狼専門の討伐隊だったんだよな。
アメリーおばさん家の牧羊犬、キャピテンヌの母親だったニュイが狼に殺されて、犬好きのノワが自分のことのように泣いているのを見て、レオンが言い出したんだ。
ノワの回復魔法は一日に数回しか使えない。
狼に立ち向かったアメリーおばさん家の息子と牧羊犬ニュイの怪我なら、優先順位は決まっている。
クロエさんの調合する薬は効き目が出るまで時間がかかるし、千切れた手足をつなぐこともできないからね。
即席の自警団はあっという間に近隣の狼の群れを駆逐し、モンスターまで追い払った。
単独で行動する毒ウサギだけは、ときどき畑に忍び込む。
猛毒ウサギくらい大きかったら気づくけど、それはそれで攻撃力も増してるからなあ。
ノワに上手く接することができないレオンが欲求不満をモンスター退治にぶつけたもんだから、ガマガエル村長に欲が出たんだよね。
──貴族と組んでモンスターを密売する、なんて。
モンスターの販売先は星の神殿だ。
信徒を苦しめるモンスターを退治するのは神官や司祭の使命。
でも魔法に厳しい星の神殿は、神官や司祭がモンスター退治で魔法を習得することさえ許さない。すぐさま破門だ!……まあ本当はそう脅して金を巻き上げてるだけなんだよね。
とはいえ、大神官や代表司祭を目指すなら魔法を習得していると不利になる。
魔玉蜜に習得した魔法を移すこともできるって聞くものの、魔玉蜜は魔玉蜜で高価だもんな。数自体もすごく少ないっていうし。
貴族だって手に入れたら家宝にするほどの代物だ。
そんなこんなで星の神官や司祭はモンスター退治をした振りをして、買い上げたモンスターの死体を信徒に見せるのが普通になっているらしい。
モンスターが退治されてないなんて言ったら、不信心だから新しいモンスターがやって来たのだ信心を示せと寄進を強要されるので、信徒たちは泣き寝入りして冒険者ギルドに本当の退治を依頼しているという。
しかし冒険者ギルドに依頼したことが知られると、今度は神殿を信頼していないのかと責められるんで、星の神殿の管轄区はどこも大変みたいだ。
都の東は王領で月の神殿も太陽の神殿も普通にあるけど、西側は星の神殿を主神とする貴族の領地が多いんだよね。
女性の相続権を否定し魔法を認めない星の神殿は、権力を独占したい貴族にとって都合のいい存在ってわけ。
ルー司祭もノワが好きみたいだな。
レオンと一緒に、ノワの頬を舐めたキャピテンヌに嫉妬してた。
結構手強い恋敵かもしれないね。
都で家を買ったことで自信を持ったのか、レオンもノワと普通に接することができるようになったみたいだけど、ノワは昔から犬が好きだから。
昔ノワが俺に、ミーヌ村で結婚するとしたらトマがいいな、なんて言ってたことは秘密にしないと、ふたりに殺されちゃうかもしれない。
ノワが俺を好きだってわけじゃない。
おっとりした彼女は、逞しくて行動力のあるレオンより地味で目立たない俺のほうに共感してたってだけだ。
俺的にはノワはなし。
レオンが怖いからじゃない。
ノワは優しいいい子だから、トゲのある武器とか使わなそうなんだもん。
俺、トゲのついた鉄の棒とか茨ムチが似合う人がいいんだ。
クロエさんが使ってた鉄の鎖も良かったな。
彼女は孫のノワより魔力が弱かったから、鎖をモンスターに巻きつけた上で炎の攻撃魔法を放っていた。魔法だけなら一瞬だし避けることも可能だけど、巻きついた鎖を熱せられたんじゃ逃げることもできない。
……今村に来ている星の司祭が持ってる星球武器もいいよね、トゲトゲでさ。
顔が綺麗で性格が悪そうで、ミーヌ村にとっての危険人物じゃなかったら俺、あの少年の忠実な従者になりたかったなー。……もちろん、そんなことだれにも内緒だけどさ。
そういえばノワ、なんだってふた房の髪を紫に染めたんだろ。
元の髪より長いからつけ毛かな?
レオンに熱を上げてる女の子たちは、鈍感なノワが悪い、と言ってたけど、俺がノワでも気づかないと思うなあ。
想い人以外には上手く立ち回れるレオンは、ほかの村娘たちがノワに悪さをしないようちゃんと気をつけてたっけ。
ノワを見るとき、レオンの眉間にはいつも皺が寄っている。
緊張し過ぎによるしかめっ面。
興奮し過ぎて声が出なくて、無言で相槌を打つしか交流手段がない。
自警団の頭で責任感が強いのもあるだろうが、田舎の村にはもったいない強さを持つレオンがモンスター退治でやたらと怪我をしてたのって、父親のガマガエル村長に文句を言われずにノワと会うためだったんじゃないかと思う。
でも、会ったら会ったでなにも言えない。
それで好かれてるなんて、ノワが自意識過剰でもない限り考えないだろう。
俺が知る限り、ノワは自意識過剰ではないしね。
あんなにすごい回復魔法が使えるんだから、もっと威張ってもいいのに。
家族や家畜の怪我でノワの世話になってない人間なんて、ミーヌ村にはいなかった。
最近は落ち着いてきたけど、以前は家畜を狙う野獣の狼が多かったんだ。
レオンが言ったとおり飢えた狼が家畜を襲うのは冬の風物詩。
俺たち自警団も最初は狼専門の討伐隊だったんだよな。
アメリーおばさん家の牧羊犬、キャピテンヌの母親だったニュイが狼に殺されて、犬好きのノワが自分のことのように泣いているのを見て、レオンが言い出したんだ。
ノワの回復魔法は一日に数回しか使えない。
狼に立ち向かったアメリーおばさん家の息子と牧羊犬ニュイの怪我なら、優先順位は決まっている。
クロエさんの調合する薬は効き目が出るまで時間がかかるし、千切れた手足をつなぐこともできないからね。
即席の自警団はあっという間に近隣の狼の群れを駆逐し、モンスターまで追い払った。
単独で行動する毒ウサギだけは、ときどき畑に忍び込む。
猛毒ウサギくらい大きかったら気づくけど、それはそれで攻撃力も増してるからなあ。
ノワに上手く接することができないレオンが欲求不満をモンスター退治にぶつけたもんだから、ガマガエル村長に欲が出たんだよね。
──貴族と組んでモンスターを密売する、なんて。
モンスターの販売先は星の神殿だ。
信徒を苦しめるモンスターを退治するのは神官や司祭の使命。
でも魔法に厳しい星の神殿は、神官や司祭がモンスター退治で魔法を習得することさえ許さない。すぐさま破門だ!……まあ本当はそう脅して金を巻き上げてるだけなんだよね。
とはいえ、大神官や代表司祭を目指すなら魔法を習得していると不利になる。
魔玉蜜に習得した魔法を移すこともできるって聞くものの、魔玉蜜は魔玉蜜で高価だもんな。数自体もすごく少ないっていうし。
貴族だって手に入れたら家宝にするほどの代物だ。
そんなこんなで星の神官や司祭はモンスター退治をした振りをして、買い上げたモンスターの死体を信徒に見せるのが普通になっているらしい。
モンスターが退治されてないなんて言ったら、不信心だから新しいモンスターがやって来たのだ信心を示せと寄進を強要されるので、信徒たちは泣き寝入りして冒険者ギルドに本当の退治を依頼しているという。
しかし冒険者ギルドに依頼したことが知られると、今度は神殿を信頼していないのかと責められるんで、星の神殿の管轄区はどこも大変みたいだ。
都の東は王領で月の神殿も太陽の神殿も普通にあるけど、西側は星の神殿を主神とする貴族の領地が多いんだよね。
女性の相続権を否定し魔法を認めない星の神殿は、権力を独占したい貴族にとって都合のいい存在ってわけ。
ルー司祭もノワが好きみたいだな。
レオンと一緒に、ノワの頬を舐めたキャピテンヌに嫉妬してた。
結構手強い恋敵かもしれないね。
都で家を買ったことで自信を持ったのか、レオンもノワと普通に接することができるようになったみたいだけど、ノワは昔から犬が好きだから。
昔ノワが俺に、ミーヌ村で結婚するとしたらトマがいいな、なんて言ってたことは秘密にしないと、ふたりに殺されちゃうかもしれない。
ノワが俺を好きだってわけじゃない。
おっとりした彼女は、逞しくて行動力のあるレオンより地味で目立たない俺のほうに共感してたってだけだ。
俺的にはノワはなし。
レオンが怖いからじゃない。
ノワは優しいいい子だから、トゲのある武器とか使わなそうなんだもん。
俺、トゲのついた鉄の棒とか茨ムチが似合う人がいいんだ。
クロエさんが使ってた鉄の鎖も良かったな。
彼女は孫のノワより魔力が弱かったから、鎖をモンスターに巻きつけた上で炎の攻撃魔法を放っていた。魔法だけなら一瞬だし避けることも可能だけど、巻きついた鎖を熱せられたんじゃ逃げることもできない。
……今村に来ている星の司祭が持ってる星球武器もいいよね、トゲトゲでさ。
顔が綺麗で性格が悪そうで、ミーヌ村にとっての危険人物じゃなかったら俺、あの少年の忠実な従者になりたかったなー。……もちろん、そんなことだれにも内緒だけどさ。
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