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それでも残る違和感
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「ジーク様、ソフィア様が落ち着かれるまで少し二人だけにして頂けませんか?」
「…リア、それはいくら貴方の願いでも聞けない。」
「俺達はあっちにいよう。」
レジナルドはソファーから立ち上がると少し離れた執務机の方を示した。ジークフリートはため息をつくとようやくセシリアの手を離し、頭を一撫ですると立ち上がった。
「大丈夫です、何も口には致しませんから…。」
セシリアもまた立ち上がると泣き崩れるソフィアの方に向かって行った。
「何だか釈然としないな…。」
ジークフリートはレジナルドにだけ聞こえるように声を潜めた。
「やっぱりそう思う?呆気なさすぎるよね?それにあのソフィアって子…」
「あぁ、フェルナンドが寄越したにしては力不足だ…。」
「…」
二人はセシリアが肩を支えながらソフィアをソファーに座らせるのを静かに見守った。
「少しは落ち着いた?」
「…っ、は、はいっ…」
まだしゃくり上げるような声が出ているが涙はおさまったようだった。
随分と幼く感じるその仕草も、感情を隠すことが出来ないようなその真っ直ぐな姿勢も、義理の妹レイラを見ているようだった。
「…ソフィア様、本当の事を教えてくださらない?」
セシリアは少し落ち着いた様子のソフィアの背中を優しく擦りながら囁いた。
「何がお聞きになりたいのですか?名はソフィア…です。本当に。」
ソフィアは家名を名乗らない。ジークフリート達も離れてはいるが同じ部屋にいるからこちらの声は耳に入っているはずだ。
「ソフィア・ウォーレンではないのですね?」
ソフィアは顔を決して上げないままでピンク色のスカートをギュッと握りしめた。
「…」
「否定をされないということは、私の従妹ではないという事でよろしいですか?」
ソフィアはようやく顔を上げると、セシリアをじっと見つめた。
「ウォーレン侯爵家の者ではありません。ですが従妹というのは本当の事です。」
「…それは一体どういう?」
部屋中の視線が一気にソフィアに集まるのを確認すると、ソフィアは嘲るように言い放った。
「もうお調べになっているのでしょう?私の母は侯爵夫人ではないのです。」
「…」
ジークフリートとレジナルドが執務机からソファーまで戻って来る。
「ソフィア嬢、詳しく説明してくれるかい?」
「…私の母はウォーレン侯爵に仕える侍女です。ですから今までウォーレン侯爵家で育ってまいりました…。」
「…それでウォーレン侯爵家の記録にはソフィアという名が無かったのか…。」
「ジーク、知っていたのか?」
「あぁ、ただこの事が何処までが本当なのかは…。」
セシリアはソフィアのその言葉に嘘はないのではないかと感じていた。感情を上手く隠すことが出来ないソフィアにこんな場面で咄嗟に嘘をつくことなど不可能に近い事だろう。
セシリアは先程騎士に連れられて出て行ったばかりの従妹の顔を思い浮かべながら、何も言わずに立ち上がると窓辺へ向かい庭園を見下ろした。
「エリックはどうなるのでしょう?ソフィア様との事は…。」
「あ、そういえばソフィア嬢本人に聞くの忘れちゃったね。」
ジークフリートとレジナルドは何とも言えない表情で腕を組んだ。
「何と言っていたか?伯爵では取るに足らない?」
「あぁそんな風に言っていたな…。」
「リアとレジーの二人に薬を盛れなくても、レジーが罠にかかったのならば公爵夫人の座に収まることができるとでも考えていたのだろうな。」
「その時はウォーレン侯爵家に正式に娘として認めてもらう約束でもしていたんだろう。」
「フェルナンド殿下はウォーレン侯爵家のいとこが来ると手紙に書かれていたのでしたよね?」
「あぁ、そこは嘘ではなかったということになるか…微妙だが。」
「…わざわざ私とレジー様に薬を飲ませるためだけにステーリアからソフィア様を送り込むものでしょうか?」
「リアとレジーが計画通り薬を飲んでも、計画が失敗したとしても処分をされるのはあの娘だ。侯爵家にもフェルナンドにも直接の影響は無いだろうが…。」
「…」
「ソフィア様は…真っ直ぐな方だと…私はそう感じました。フェルナンド殿下はどうしてあんなに分かりやすい方をわざわざお選びになったのでしょう?」
ジークフリートは窓辺に立つセシリアを眩しそうに見上げると、その背中を見つめて何かを考えているようだった。
「従妹というだけではなく何か他に?…初めからソフィア嬢には期待していなかったとすると…厄介払いをするつもりだったか…あるいは時間稼ぎ?」
レジナルドが自分の言葉に首を捻る。
「時間を稼いでいる間に何をする…?」
ジークフリートもぼんやりと何かを掴みかけているようだ。
セシリアは庭園のガゼボを見つめたまま呟いた。
「…リーナ様は、今どちらに?」
ジークフリートとレジナルドは同時に音を立てて立ち上がると顔を見合せた。
「ジーク、俺が父上に確認してくる。」
「分かった、リアは私が…傍にいる。」
「…リア、それはいくら貴方の願いでも聞けない。」
「俺達はあっちにいよう。」
レジナルドはソファーから立ち上がると少し離れた執務机の方を示した。ジークフリートはため息をつくとようやくセシリアの手を離し、頭を一撫ですると立ち上がった。
「大丈夫です、何も口には致しませんから…。」
セシリアもまた立ち上がると泣き崩れるソフィアの方に向かって行った。
「何だか釈然としないな…。」
ジークフリートはレジナルドにだけ聞こえるように声を潜めた。
「やっぱりそう思う?呆気なさすぎるよね?それにあのソフィアって子…」
「あぁ、フェルナンドが寄越したにしては力不足だ…。」
「…」
二人はセシリアが肩を支えながらソフィアをソファーに座らせるのを静かに見守った。
「少しは落ち着いた?」
「…っ、は、はいっ…」
まだしゃくり上げるような声が出ているが涙はおさまったようだった。
随分と幼く感じるその仕草も、感情を隠すことが出来ないようなその真っ直ぐな姿勢も、義理の妹レイラを見ているようだった。
「…ソフィア様、本当の事を教えてくださらない?」
セシリアは少し落ち着いた様子のソフィアの背中を優しく擦りながら囁いた。
「何がお聞きになりたいのですか?名はソフィア…です。本当に。」
ソフィアは家名を名乗らない。ジークフリート達も離れてはいるが同じ部屋にいるからこちらの声は耳に入っているはずだ。
「ソフィア・ウォーレンではないのですね?」
ソフィアは顔を決して上げないままでピンク色のスカートをギュッと握りしめた。
「…」
「否定をされないということは、私の従妹ではないという事でよろしいですか?」
ソフィアはようやく顔を上げると、セシリアをじっと見つめた。
「ウォーレン侯爵家の者ではありません。ですが従妹というのは本当の事です。」
「…それは一体どういう?」
部屋中の視線が一気にソフィアに集まるのを確認すると、ソフィアは嘲るように言い放った。
「もうお調べになっているのでしょう?私の母は侯爵夫人ではないのです。」
「…」
ジークフリートとレジナルドが執務机からソファーまで戻って来る。
「ソフィア嬢、詳しく説明してくれるかい?」
「…私の母はウォーレン侯爵に仕える侍女です。ですから今までウォーレン侯爵家で育ってまいりました…。」
「…それでウォーレン侯爵家の記録にはソフィアという名が無かったのか…。」
「ジーク、知っていたのか?」
「あぁ、ただこの事が何処までが本当なのかは…。」
セシリアはソフィアのその言葉に嘘はないのではないかと感じていた。感情を上手く隠すことが出来ないソフィアにこんな場面で咄嗟に嘘をつくことなど不可能に近い事だろう。
セシリアは先程騎士に連れられて出て行ったばかりの従妹の顔を思い浮かべながら、何も言わずに立ち上がると窓辺へ向かい庭園を見下ろした。
「エリックはどうなるのでしょう?ソフィア様との事は…。」
「あ、そういえばソフィア嬢本人に聞くの忘れちゃったね。」
ジークフリートとレジナルドは何とも言えない表情で腕を組んだ。
「何と言っていたか?伯爵では取るに足らない?」
「あぁそんな風に言っていたな…。」
「リアとレジーの二人に薬を盛れなくても、レジーが罠にかかったのならば公爵夫人の座に収まることができるとでも考えていたのだろうな。」
「その時はウォーレン侯爵家に正式に娘として認めてもらう約束でもしていたんだろう。」
「フェルナンド殿下はウォーレン侯爵家のいとこが来ると手紙に書かれていたのでしたよね?」
「あぁ、そこは嘘ではなかったということになるか…微妙だが。」
「…わざわざ私とレジー様に薬を飲ませるためだけにステーリアからソフィア様を送り込むものでしょうか?」
「リアとレジーが計画通り薬を飲んでも、計画が失敗したとしても処分をされるのはあの娘だ。侯爵家にもフェルナンドにも直接の影響は無いだろうが…。」
「…」
「ソフィア様は…真っ直ぐな方だと…私はそう感じました。フェルナンド殿下はどうしてあんなに分かりやすい方をわざわざお選びになったのでしょう?」
ジークフリートは窓辺に立つセシリアを眩しそうに見上げると、その背中を見つめて何かを考えているようだった。
「従妹というだけではなく何か他に?…初めからソフィア嬢には期待していなかったとすると…厄介払いをするつもりだったか…あるいは時間稼ぎ?」
レジナルドが自分の言葉に首を捻る。
「時間を稼いでいる間に何をする…?」
ジークフリートもぼんやりと何かを掴みかけているようだ。
セシリアは庭園のガゼボを見つめたまま呟いた。
「…リーナ様は、今どちらに?」
ジークフリートとレジナルドは同時に音を立てて立ち上がると顔を見合せた。
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「分かった、リアは私が…傍にいる。」
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