文字の大きさ
大
中
小
28 / 52
第28話 急いで行かなきゃ。
どれだけ長いかは想像できないけれど、彼女はおそらく、盗賊などの犯罪者を『暗殺』することを、生業としていたんだろうなと思う。なにせ俺を殺そうとしたとき、彼女が何をしたのかぜんぜん見えなかった。それに、俺から離れようとしたときに取った方法も、『目元をこすりつける』という簡単なものだったけれど俺じゃ考えつかないものだったから。
そんな彼女がだよ? 俺が入れ直した温かい飲み物を、警戒せずに飲むんだよ。『一応』と彼女は言うけれど、それよりはもちょっとだけ多く、信じてくれたのかもしれない。俺はそう思ったんだ。
「……あたいはな、報酬の代わりにな、ある魔道具を融通してもらうことになっていたんだ」
「魔道具?」
「タツマ、さん」
「タツマでいいよ」
「そうか。タツマ、あんた、『魔石中和法魔道具』という名を聞いたことはないか? 名前のとおり、悪素を中和する効果があるものだと聞いてる。あの国でも、もしかしたらこの都市でも使われてるかもしれない、ものすごく高価な魔道具でな――」
ロザリアさんの話では、悪素を含んだ水に沈めて中和する。その水を飲み水にするんだってさ。中和であって浄化や除染ではないから、悪素は微量に残ってしまうらしい。その悪素が体内に蓄積されるとあのようになる。なるほどね。
狩猟で捕らえた獲物や、収穫された根菜などにも悪素は含まれている。水を浸透させて、肉や根菜などに含まれている分をそのまま中和するみたいな使い方もされる。大きな国や町では、生活に必要な魔道具らしい。
正直、知らなかったよ。俺が食べてた料理も、俺が毎日入ってた宿屋の風呂の水も、おそらくそうしたものだったんだろうな。
魔道具は、金があれば簡単に買えるような代物じゃないらしい。彼女の集落には、その魔道がなくて、売ってくれる場所を探していたそうだ。ダイオラーデンは魔道具を作っている国でもあって、それで購入するには何年も待たなきゃならないと言われたそうだ。
あの依頼主は、その魔道具を『貴族という立場を利用して』優先的に入手できると説明があったらしい。もちろん報酬は金でなく、その魔道具そのものでもいいと言われたそうだ。もしかしたら、あらかじめロザリアさんが欲しがっているという情報を、手に入れていたのかもしれないな。
「あたいの集落はな、悪素が少し離れた場所にあるんだ」
「ある?」
「すまん、言い方が悪かった。『少し離れた場所まで迫ってきている』と言うべきだったな。木の根元を掘ると、そこにどろっとしたものが見えることがある。それが悪素だって教わったんだ」
「それって、どれくらい離れてるの?」
「そうだな、……歩いて一晩、というところだろうか?」
頭の中で『個人情報表示』を唱える。なんだかんだで夜通し話してたみたいで、時間は朝の八時を過ぎてた。よし、決めた。
「行こう」
「え?」
「俺、ギルドで説明して『時間』をもらってくる。すぐ戻るから待ってて、そしたらすぐに集落に行こう」
「いいのか?」
「いいよって、言ったじゃない? とにかくじっとしていられないんだ」
「……ありがとう」
「集落までここからどれくらいかかりそう?」
「そうだな。馬車でなら三日の距離、というところだろうか?」
往復六日。滞在も含めて一週間はかるくかかるか。
「んー、ロザリアさんは、馬車、運転、いや、操舵、いや、何て言うんだっけ?」
「操縦か?」
「そう言うんだ? できる?」
「あぁ、できるが」
「よかった。俺できないから助かる。頼むからさ、また消えたりしないでよ? どこにも行かないでよ? いいね?」
「当たり前じゃないか、タツマ。あんたがいたら、あの子たちが助かるかもしれないんだ……」
「ありがとう。約束だからね? じゃ、ちょっと行ってくる」
俺は屋敷にロザリアさんを残して、ギルドへ向かった。
ギルドの建物に入ると、笑顔でクメイリアーナさんが迎えてくれる。うん、ケモミミしっぽ、最高だよね。いや、今はそんな余裕はないんだ。
「総支配人さん、もう来てる?」
「はい、ついさきほど」
「よかった、詳しい話は直接言うから」
俺は受付の左にある扉から中に入る。総支配人室の扉をノック。
「プライヴィアさん」
『入ってくれ』
こうするのは俺くらいらしいんだ。許可が出たから入らせてもらう。
「どうした? 何か困りごとか?」
「どうしてそれを?」
「総支配人になって長いんだ。ある程度ならね、人の表情くらいは読めるようになるもんだよ。それでどうしたんだい?」
「数日、ん、……短くて七日、長くて十日ほど、休むことになるかと思います。それと、馬車を一台都合して欲しいです。あと、もしかしたら、集落ごとの受け入れをお願いするかもしれません」
「ゆっくりしてくるといい、とは言えないけれど、別に構わないと思うよ。受け入れに関しては、土地なんていくらでもある。外壁外して広げたらいいだけだからな」
「助かります」
「どうせ、ソウトメ殿が責任を持つんだろう?」
「そのつもり」
「それならこのワッターヒルズに拒む者はないさ。聖人様の頼みは断れないだろうからね」
「からかわないでくださいって。そんなつもりはないんですから」
「馬車はすぐに用意させる。聞いてるね? クメイくん」
「は、はいっ」
扉越しに聞こえるクメイリアーナさんの声と、走り去っていく足音。聞き耳たてていたんですね。心配させちゃったのかなぁ?
「あははは。気に入られてるね、どうだい? 丈夫な腰つきしてると思うんだけど」
「だから俺には、気になってる人がいるって」
「あははは。そくし――いや、考えてくれるだけでいいよ」
即死? 促進? まさか側室だったりして? まったく何考えてるんだか? でも、こんなときだから、冗談言って落ち着かせようとしてくれるのは嬉しい。
「それじゃ、いってきます」
俺は総支配人室を出る。通路を抜けてギルドの受付へ。
「ソウトメ様」
「あ、はい。だーかーら。『様』はやめてほしいって」
「お急ぎですよね?」
「はい。ごめんなさい」
「馬車は、どちらへお届けすればよろしいですか?」
「そうだね……」
「よろしければ、私が現地まで――」
「嬉しいけどそれは勘弁。あのね、これから行くところは、ここより悪素毒被害の強い場所なんだ」
「そうでしたか。申し訳ありません、つい……」
だからそんなにしょんぼりしなくてもいいですって。俺のことを気遣ってくれてるのは十分わかってるんだから。
「わかってくれたらいいんです。それなら、屋敷へお願いできますか?」
「はい。後ほど、お届けいたしますので、少々お待ちくださいね」
「ありがとう」
「いいえ。いいんです」
そんな彼女がだよ? 俺が入れ直した温かい飲み物を、警戒せずに飲むんだよ。『一応』と彼女は言うけれど、それよりはもちょっとだけ多く、信じてくれたのかもしれない。俺はそう思ったんだ。
「……あたいはな、報酬の代わりにな、ある魔道具を融通してもらうことになっていたんだ」
「魔道具?」
「タツマ、さん」
「タツマでいいよ」
「そうか。タツマ、あんた、『魔石中和法魔道具』という名を聞いたことはないか? 名前のとおり、悪素を中和する効果があるものだと聞いてる。あの国でも、もしかしたらこの都市でも使われてるかもしれない、ものすごく高価な魔道具でな――」
ロザリアさんの話では、悪素を含んだ水に沈めて中和する。その水を飲み水にするんだってさ。中和であって浄化や除染ではないから、悪素は微量に残ってしまうらしい。その悪素が体内に蓄積されるとあのようになる。なるほどね。
狩猟で捕らえた獲物や、収穫された根菜などにも悪素は含まれている。水を浸透させて、肉や根菜などに含まれている分をそのまま中和するみたいな使い方もされる。大きな国や町では、生活に必要な魔道具らしい。
正直、知らなかったよ。俺が食べてた料理も、俺が毎日入ってた宿屋の風呂の水も、おそらくそうしたものだったんだろうな。
魔道具は、金があれば簡単に買えるような代物じゃないらしい。彼女の集落には、その魔道がなくて、売ってくれる場所を探していたそうだ。ダイオラーデンは魔道具を作っている国でもあって、それで購入するには何年も待たなきゃならないと言われたそうだ。
あの依頼主は、その魔道具を『貴族という立場を利用して』優先的に入手できると説明があったらしい。もちろん報酬は金でなく、その魔道具そのものでもいいと言われたそうだ。もしかしたら、あらかじめロザリアさんが欲しがっているという情報を、手に入れていたのかもしれないな。
「あたいの集落はな、悪素が少し離れた場所にあるんだ」
「ある?」
「すまん、言い方が悪かった。『少し離れた場所まで迫ってきている』と言うべきだったな。木の根元を掘ると、そこにどろっとしたものが見えることがある。それが悪素だって教わったんだ」
「それって、どれくらい離れてるの?」
「そうだな、……歩いて一晩、というところだろうか?」
頭の中で『個人情報表示』を唱える。なんだかんだで夜通し話してたみたいで、時間は朝の八時を過ぎてた。よし、決めた。
「行こう」
「え?」
「俺、ギルドで説明して『時間』をもらってくる。すぐ戻るから待ってて、そしたらすぐに集落に行こう」
「いいのか?」
「いいよって、言ったじゃない? とにかくじっとしていられないんだ」
「……ありがとう」
「集落までここからどれくらいかかりそう?」
「そうだな。馬車でなら三日の距離、というところだろうか?」
往復六日。滞在も含めて一週間はかるくかかるか。
「んー、ロザリアさんは、馬車、運転、いや、操舵、いや、何て言うんだっけ?」
「操縦か?」
「そう言うんだ? できる?」
「あぁ、できるが」
「よかった。俺できないから助かる。頼むからさ、また消えたりしないでよ? どこにも行かないでよ? いいね?」
「当たり前じゃないか、タツマ。あんたがいたら、あの子たちが助かるかもしれないんだ……」
「ありがとう。約束だからね? じゃ、ちょっと行ってくる」
俺は屋敷にロザリアさんを残して、ギルドへ向かった。
ギルドの建物に入ると、笑顔でクメイリアーナさんが迎えてくれる。うん、ケモミミしっぽ、最高だよね。いや、今はそんな余裕はないんだ。
「総支配人さん、もう来てる?」
「はい、ついさきほど」
「よかった、詳しい話は直接言うから」
俺は受付の左にある扉から中に入る。総支配人室の扉をノック。
「プライヴィアさん」
『入ってくれ』
こうするのは俺くらいらしいんだ。許可が出たから入らせてもらう。
「どうした? 何か困りごとか?」
「どうしてそれを?」
「総支配人になって長いんだ。ある程度ならね、人の表情くらいは読めるようになるもんだよ。それでどうしたんだい?」
「数日、ん、……短くて七日、長くて十日ほど、休むことになるかと思います。それと、馬車を一台都合して欲しいです。あと、もしかしたら、集落ごとの受け入れをお願いするかもしれません」
「ゆっくりしてくるといい、とは言えないけれど、別に構わないと思うよ。受け入れに関しては、土地なんていくらでもある。外壁外して広げたらいいだけだからな」
「助かります」
「どうせ、ソウトメ殿が責任を持つんだろう?」
「そのつもり」
「それならこのワッターヒルズに拒む者はないさ。聖人様の頼みは断れないだろうからね」
「からかわないでくださいって。そんなつもりはないんですから」
「馬車はすぐに用意させる。聞いてるね? クメイくん」
「は、はいっ」
扉越しに聞こえるクメイリアーナさんの声と、走り去っていく足音。聞き耳たてていたんですね。心配させちゃったのかなぁ?
「あははは。気に入られてるね、どうだい? 丈夫な腰つきしてると思うんだけど」
「だから俺には、気になってる人がいるって」
「あははは。そくし――いや、考えてくれるだけでいいよ」
即死? 促進? まさか側室だったりして? まったく何考えてるんだか? でも、こんなときだから、冗談言って落ち着かせようとしてくれるのは嬉しい。
「それじゃ、いってきます」
俺は総支配人室を出る。通路を抜けてギルドの受付へ。
「ソウトメ様」
「あ、はい。だーかーら。『様』はやめてほしいって」
「お急ぎですよね?」
「はい。ごめんなさい」
「馬車は、どちらへお届けすればよろしいですか?」
「そうだね……」
「よろしければ、私が現地まで――」
「嬉しいけどそれは勘弁。あのね、これから行くところは、ここより悪素毒被害の強い場所なんだ」
「そうでしたか。申し訳ありません、つい……」
だからそんなにしょんぼりしなくてもいいですって。俺のことを気遣ってくれてるのは十分わかってるんだから。
「わかってくれたらいいんです。それなら、屋敷へお願いできますか?」
「はい。後ほど、お届けいたしますので、少々お待ちくださいね」
「ありがとう」
「いいえ。いいんです」
感想
あなたにおすすめの小説
【完結】跡取りになれなかった公爵嫡男は、前世の夢だった“自由な旅”を選ぶ
火属性なし――それは、ランハード公爵家において“跡取り失格”を意味する。
代々、火魔法の適正を持つ者が当主となる名門公爵家。
その嫡男であるレオンハルトは、10歳の鑑定の儀で火の適正を持たないと判明し、跡取り候補から外されてしまう。
だが、家族は彼を見捨てなかった。
王太子の側近、あるいは王宮文官としての未来も用意されていた。
それでも彼が選んだのは――
「旅に出たい」
その決断の裏には、思い出した“前世の記憶”があった。
病弱で、どこにも行けなかった人生。
だからこそ今度は、自分の足で世界を見たい。
そして彼に与えられていたのは、
魔眼(鑑定の上位互換)、空間魔法、テイム、そして完全ランダムの召喚魔法という規格外の力。
家族に見送られ、公爵家を離れた少年は、
魔物と契約し、仲間を増やしながら気ままな旅へ。
時に人を助け、時に事件に巻き込まれ、
それでも自分のペースで世界を巡っていく。
※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
※誤字、脱字のチェックにAIを使用していますが話の内容、流れは作者が作成しています。
※AIで誤字、脱字のチェクをしていますが完璧ではないと思うので誤字、脱字、表現がおかしいなどありましたら教えていただけると助かります。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【老化返却】聖女の若さは俺の寿命だった〜回復魔法の代償を肩代わりしていた俺を追放した報いだ。回復のたびに毛が抜け、骨がスカスカになるが良い〜
「寿命を削って回復してやってたのに……感謝すらしないんだな」
聖女パーティの荷物持ち兼回復術師だった俺は、ある日突然パーティを追放された。
理由は「回復魔法のコストが寿命で、もうすぐ死ぬ無能はいらない」という勝手な思い込み。
だが、彼らは知らなかった。
俺の正体が、この世界の生命を司る世界樹の根源そのものだったことを。
俺の寿命は無限であり、俺がパーティにいたからこそ、彼らは「若さ」と「健康」を維持できていたのだ。
「俺がいなくなったら、誰が君たちの老化を止めるの?」
俺がいなくなった途端、聖女たちの身体に異変が起きる。
回復魔法を唱えるたびに、自慢の金髪はバサバサと抜け落ち、肌は土色に。
若さに溺れていた彼女たちは、骨がスカスカになり、杖なしでは歩けない老婆のような姿へと変わり果てていく。
一方、解放された俺は隣国の美少女皇女に拾われ、世界樹の力で枯れた大地を森に変える「現人神」として崇められていた。
「今さら戻ってきて? ……悪いけど、そのハゲ散らかした老婆、誰だっけ?」
すべてを失ってから「俺」の価値に気づいても、もう遅い。
これは、恩を仇で返した連中が、自らの美容と健康を代償に破滅していく物語。
天然の姉が私に濡れ衣を着せてきたので激怒する皇帝
ガルディニア帝国の皇帝ヴァルカレイドの妃であるセレスティアラは、実の姉リリスタの「天然で無自覚な悪意」によって、常に悪役に仕立て上げられてきた。周囲も皇帝もリリスタの愛らしさを信じ込み、セレスティアラを「冷酷な妹」と冷遇する。
だがある日、リリスタは「セレスちゃんが国宝の髪飾りを壊しちゃったの」と、決定的な濡れ衣を着せてきた。すべてに愛想が尽きたセレスティアラは、皇帝の執務室へ乗り込み、姉のこれまでの悪事を理路整然と言いつけ、同時に「離縁」を申し出る。
真実を知り、己の愚かさに気づいた皇帝は激怒。リリスタと彼女を盲信する実家へ容赦ない断罪を開始するが、時すでに遅し。セレスティアラの心は完全に冷め切っていた。必死に引き留めようと狂おしいほどの執着を見せる皇帝と、毅然と離縁を迫る妃の、立場逆転の宮廷劇が幕を開ける。
転生貴族のスローライフ
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
外れ伯爵家の三女、領地で無双する
十三歳の少女アイリス・アルベールは、人生を決める「祝福の儀」で“ゴミスキル”と蔑まれる《アイテムボックス》を授かってしまう。戦えず、稼げず、価値もない――そう断じた家族は、彼女を役立たずとして家から追放する。さらに、優秀なスキルであれば貴族に売り渡すつもりだったという冷酷な真実まで明かされ、アイリスはすべてを失う。
だが絶望の中、彼女は気付く。この世界が、自分がかつてやり込んだVRMMORPG『メデア』そのものであることに。
そして思い出す――
《アイテムボックス》には、ある“致命的なバグ”が存在することを。
市場で偶然を装いながらアイテムを出し入れし、タイミングをずらすことで発生する“複製バグ”。それは、あらゆる物資を無限に増やす禁断の裏技だった。
食料も、装備も、資金も――すべてが無限。
最底辺から一転、誰にも真似できないチートを手にしたアイリスは、冒険者として歩み始める。だがその力はやがて、経済を歪め、権力者の目に留まり、そして世界の“仕様そのもの”に干渉していくことになる。
これは――
ゴミと呼ばれた少女が、“世界の裏側”を掌握する物語。
魔道師長のまかない係~身寄りのない幼児だけどがんばって美味しいご飯つくりましゅ!~
現代社会でかけだしの料理アシスタントだったのに、気が付いたら幼児に異世界転生しちゃってた。しかも、育児放棄っぽい感じで色々と訳ありのわたし。ふとしたことで拾ってもらったお城の魔道師長様(訳ありの呪いもち)の呪いを解くために一緒に旅をしつつ、時々は王宮に戻ったり。魔道師長様と一緒にいるために、とりあえず「魔道師長のまかない係」という役職をもらって、毎日、ルーしゃま(魔道師長)のご飯を作って、お城に居場所を作ってもらってましゅ!(あ、噛んだ) 自分でもただの捨てられた幼児だと思っていたら、なんだかあれよあれよという間に、ハイスペックのスキル持ちだったらしいことが判明・・・。お城ではガチムチのストイックな騎士団長様やお姫様に囲まれて幸せに暮らしてた所に、なんと突然父様と母様が現れた!でも、ここもなんかむちゃくちゃ事情ありな感じ。どうして、みんなそんなに訳ありなんでしゅか! なろう様でも投稿中。カクヨムも近日中に投稿予定。