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大也、尊い犠牲もいとわない

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 大也は沖縄本島で暴れに暴れてたので実戦経験が豊富だ。

 その経験から倒れた忍者キラー4人に近付く事すらしない。

 変な薬品を撒かれてたら敵わないので、当然『手塚流忍法かまいたち・突風』で空気の入れ替えもすぐにやった。

 というか、戦闘中、大也は野外だと『手塚流忍法かまいたち・突風(風上)』を常時展開して、常に上座に陣取る戦闘スタイルだった。

 屋上を占拠した大也は戦況を確認する為に『手塚流忍法かまいたち・声集め』を使ったが、

「2度手間か」

 素直にそう思った。

 忍者キラーの声も拾ったが、如何せんロシア語だったのだ。お陰で全く理解が出来なかった。

 大也が分かるのは日本語の他に英語、スペイン語、中国語だけだ。別に手塚島で英才教育が施された訳ではない。沖縄本島で知り合った外国美女とコミュニケーションを取る為に下心丸出しで必死で覚えただけだ。

 なので『手塚流忍法かまいたち・声集め(混線)』を使い、分かる奴に伝えた。

 ビル内に居る犯罪忍者対策室に居る職員多数に聞かせる。

 最初は声が聞こえて驚いてたが、ロシア語を理解し、日本語で、

「ロシアと中東ゲリラの取引が潰れて2億ドルが消えた?」

「何だ。それ?」

 と通訳してくれて、

「何だ、こっちじゃなかったのか。ならただのリストで決定か、こっちのは」

 大也はポケットの中に手を入れて入ってるUSBメモリーを握って確認した。

「それにしても2億ドルの取引ね~。円に換算したら、1ドル=100円で200億ドル、1ドル=150円なら300億円。そりゃブチギレるか。情報を出し惜しみする草薙部隊にも困ったものだな。ってか、スマホゲームにそんなに金を突っ込むなよな。架空通貨で取引しろよ、何考えてるんだか」

 そう呆れた時、黒タイツの忍者キラー8人が一斉にビルの外側から跳んできた。

 大也が8人に向かって、ビルの屋上に着地する前に『手塚流忍法かまいたち・かまいたち斬り』を放った。1人こすいのが居て犯罪忍者対策室の職員を盾にしていた。

 だが、犯罪忍者対策室の印象を大也が一言で表現するならば『大嫌い』だ。

 なので『尊い犠牲』として盾ごと風の斬撃で輪切りにしたのだった。

 つまり、合計で忍者キラー5人と盾1人が輪切りとなり、3人だけが風の斬撃を避けた。

 ビルの屋上に着地した忍者キラー3人が一蹴りで一気に間合いを詰めてくる。

 間合いを詰めてくるって事は何かを仕掛けるって事だ。

 大也がそんな事を許す訳がなく、バックステップで一定の距離を保ちながら忍者刀で第2撃を放った。

 『手塚流忍法かまいたち・高速かまいたち斬り』を使う。一振りに偽装した2回斬りだ。同時に『手塚流忍法かまいたち・風盾(エアブレーキ)』を使った。

 斬撃の1撃目だけを進めて、2撃目を空中に残す。

 案の定、間合いを詰めていた3人が1撃目の風の斬撃を避け、突進してくるが、空中に停止してる2撃目に引っ掛かって、2人の胴体が輪切りとなる。

 慌てて最後尾の1人は足を止めた。

「日本語は喋れるか? 少し話をしようぜ」

「断る」

 英語で返事が戻ってきたので、大也も英語で、

「一番強いのを呼んでくれよ。第1級適合者がどのくらい強いのか興味があるからさ」

「――そこの2人が第1級適合者だよ」

「えっ、そうなの?」

 そう答えたが大也は敵の言う事を素直に信じるほどマヌケではない

 狙撃に気付かないマヌケでも。

「クシュン」

 と白々しく大也が前屈みになってクシャミの演技をする。

 その大也の頭があった場所にライフルで狙撃した弾丸が通過して、そのまま射線上に居たロシアの忍者キラーに直撃した。

「ーーっ!」

 だが、ドーピング・オーガの効果時間内だ。そもそもロシアの忍者キラーは何もファッションでピチピチの黒タイツを纏ってる訳ではない。黒タイツは当然、特殊素材だ。胸に命中したライフル弾はドーピング・オーガの防御力に関係なく弾かれた。

 ダメージは無くても注意を取られたのは事実だ。ゴーグル越しに床に落ちる銃弾を確認して、大也に再び視線を向けた時には大也の姿はなく、背中から心臓に激痛が通り抜けた。忍者刀が心臓を貫通してる。

「なっ、どうして? 銃弾を弾くくらい硬化してるはずなのに? スーツだって・・・」

「ロシア語で喋るなよな、何言ってるか分からないから」

 大也は最後の1人を始末しながら、狙撃ポイントを睨んだ。

 ビルの屋上だ。

 ざっと1キロは離れてる。

 だが次に瞬間、大也は『手塚流忍法かまいたち・大跳躍(高速)』を使い、






 1秒後には狙撃ポイントのビルの屋上まで移動した。

 2発目を撃つ為に引き金を引いてる狙撃手に、

「よう。おまえ、日本人だよな、どちらさん? って、その忍者スーツ、刹那忍軍?」

「そうだよ、副頭目の仇だ。死ねっ!」

 忍者刀を抜こうとしたが、

「まだ生きてるだろうが。仇とか嘘を言うなよな、雑魚」

 大也はあっさりと忍者刀で刹那忍軍を始末して、再び『手塚流忍法かまいたち、大跳躍(高速)』を使って、犯罪忍者対策室の本部ビルの屋上に戻ったのだった。
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