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おてんばプロレスの無茶ぶりプロ化計画
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「というわけで、会社としてはプロフェッショナルなプロレス団体を立ち上げることになりました」といい、突然のように新事業のスタートを宣言した日奈子社長。それは、おてんば企画の週に一度の朝礼でのことであった。具体的なことは、もちろん誰も何も聞かされていない。寝耳に水とはよくいったもので、おてんば企画で働いている社員全員が全員、鉄砲玉のような日奈子の発表に面食らったのだ。
「プロレス事業部の部長は、えーと、美央ちゃんが最適かしら。副部長は安子ちゃん。それ以外のみんなも協力してね。男子の営業君たちには、プロレス事業部の営業も兼任してもらうわよ」。
「えっ、プロレス団体って本物のプロレス団体ですか?」という美央からの質問に、日奈子は「もちろん」と答えた。日奈子社長いわく「「社会人プロレスじゃつまらないわ。こうなったら本物のプロレス団体をつくるのよ。ロゴマークやキャッチフレーズも考えてあるから大丈夫」なんていっているけど、そういう問題じゃないでしょ。プロの団体になるなんて、そう簡単なことじゃないんだから。そもそもプロのレスラーがいない。プレジデント日奈子やら、ジャッキー美央やら、たしかに何人かは、“なんちゃって”プロレスの選手としてリングにあがっているけど、素人も素人、あくまでもプロレス“ごっこ”でしかなかったのである。
んもうっ、ブレーキの利かない日奈子が、また暴走を始めたわ――と美央はあきれ返る以外になかった。どちらかというと美央自身、やんちゃな性格だったが、社長の日奈子は「超」の字がつくほどのやんちゃぶりだったのだ。やんちゃ。向こう見ず。がさつ。無鉄砲。あばずれ。いい加減。テキトー。日奈子をいい表すワードなら、いくらでも出てくる。
テキトー社長・日奈子が想い描いているプロレス団体立ち上げ計画の全貌はこうだった。
〇代表は私(日奈子自身)。
〇エースは美央ちゃんかな、やっぱり。
〇ジュリーには、補佐役として団体を支えてほしい。性別的には男の娘(こ)なので、ちょっと微妙ではあるけど、人気・実力ともに文句なし。
〇新人の安子ちゃんにも手伝ってもらうわね。いよいよ本格デビューってところかしら。
〇それだけじゃ人数が足りないので、おてんば女子大学の容子ちゃんや松本さんも誘おーっと。
〇当面のライバルは、ジャパンなでしこプロレス(おそれ多くも日本を代表する女子プロレス団体)かな。とりあえず。
〇年間の集客目標は十万人。いや、三十万人かなぁ。たぶん。いや、できれば。
素人目に見ても、かなりアバウトなプランであった。事業計画書があるわけではない。資金についても果たしてどうなっているのか。三十万人だなんて、おてんば市の人口の一・五倍じゃないのよ。かつては“編集の鬼”の異名で恐れられた日奈子のこと、それなりに緻密なページものをまとめあげてきたはずなのに、このいい加減さは何なのさ。もはやスタッフ全員が、そう声を大にして叫びたかった。
「容子ちゃんや松本さんは了承済みなんですか?」という美央の問いかけに、「あっ、一応了承をもらわなくちゃね。すっかり忘れていたわ。悪いけど美央ちゃんから一報を入れといて」だなんて。ありゃりゃりゃ。われらが女ボス・日奈子の辞書に、“計画”という二文字は存在しなかったのである。
「プロレス事業部の部長は、えーと、美央ちゃんが最適かしら。副部長は安子ちゃん。それ以外のみんなも協力してね。男子の営業君たちには、プロレス事業部の営業も兼任してもらうわよ」。
「えっ、プロレス団体って本物のプロレス団体ですか?」という美央からの質問に、日奈子は「もちろん」と答えた。日奈子社長いわく「「社会人プロレスじゃつまらないわ。こうなったら本物のプロレス団体をつくるのよ。ロゴマークやキャッチフレーズも考えてあるから大丈夫」なんていっているけど、そういう問題じゃないでしょ。プロの団体になるなんて、そう簡単なことじゃないんだから。そもそもプロのレスラーがいない。プレジデント日奈子やら、ジャッキー美央やら、たしかに何人かは、“なんちゃって”プロレスの選手としてリングにあがっているけど、素人も素人、あくまでもプロレス“ごっこ”でしかなかったのである。
んもうっ、ブレーキの利かない日奈子が、また暴走を始めたわ――と美央はあきれ返る以外になかった。どちらかというと美央自身、やんちゃな性格だったが、社長の日奈子は「超」の字がつくほどのやんちゃぶりだったのだ。やんちゃ。向こう見ず。がさつ。無鉄砲。あばずれ。いい加減。テキトー。日奈子をいい表すワードなら、いくらでも出てくる。
テキトー社長・日奈子が想い描いているプロレス団体立ち上げ計画の全貌はこうだった。
〇代表は私(日奈子自身)。
〇エースは美央ちゃんかな、やっぱり。
〇ジュリーには、補佐役として団体を支えてほしい。性別的には男の娘(こ)なので、ちょっと微妙ではあるけど、人気・実力ともに文句なし。
〇新人の安子ちゃんにも手伝ってもらうわね。いよいよ本格デビューってところかしら。
〇それだけじゃ人数が足りないので、おてんば女子大学の容子ちゃんや松本さんも誘おーっと。
〇当面のライバルは、ジャパンなでしこプロレス(おそれ多くも日本を代表する女子プロレス団体)かな。とりあえず。
〇年間の集客目標は十万人。いや、三十万人かなぁ。たぶん。いや、できれば。
素人目に見ても、かなりアバウトなプランであった。事業計画書があるわけではない。資金についても果たしてどうなっているのか。三十万人だなんて、おてんば市の人口の一・五倍じゃないのよ。かつては“編集の鬼”の異名で恐れられた日奈子のこと、それなりに緻密なページものをまとめあげてきたはずなのに、このいい加減さは何なのさ。もはやスタッフ全員が、そう声を大にして叫びたかった。
「容子ちゃんや松本さんは了承済みなんですか?」という美央の問いかけに、「あっ、一応了承をもらわなくちゃね。すっかり忘れていたわ。悪いけど美央ちゃんから一報を入れといて」だなんて。ありゃりゃりゃ。われらが女ボス・日奈子の辞書に、“計画”という二文字は存在しなかったのである。
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