スーパーおてんばプロレスの女神たち ~やさぐれ女社長☆プロフェッショナルへの未知(みち)に挑むの巻~

ちひろ

文字の大きさ
3 / 5

ジャパンなでしこプロレスへの挑戦状

しおりを挟む
 プロの団体なんて作れるはずがないという社員全員の期待を裏切るかのように、おてんば企画のプロレス団体旗揚げ計画は、暴走列車のごとく突き進んでいった。明日からゴールデンウィークという四月下旬のことである。
 「安子ちゃ~ん、お願い。この郵便物、あとでポストに投函しといて」といい、日奈子が一通の封筒を安子に手渡した。
 封筒のあて先は、なんと「ジャパンなでしこプロレス 代表様」と書いてあるではないか。だ、代表様だなんて、代表の名前も知らないの?と思ってしまうが、日奈子に尋ねたところ「果たし状を送るのよ」だなんて、一体何を考えているのやら。
 「この封筒を送っても反応がないときは、直接、会場に殴り込みをかけるしかないわ」とかなんとか、はちゃめちゃなことをいいながら、「あ、それよりも今日のお昼ね、みんなにピザをごちそうしようかと思っているの。割引券をもらっちゃって、その有効期限が今日までなのよ」だなんて、いい加減モード全開の日奈子。果たし状とピザ。今の日奈子にとっては、どうやらピザの方が重要らしい。
 ところが、どっこい。世の中というのは本当にわからないものである。こともあろう、日奈子が果たし状を送りつけた老舗プロレス団体の若き女社長―その名を花形結衣という-から、封書で丁寧な返事が届いたのだ。
 その内容というのが――。

拝啓 日奈子殿。
 おてんば市と聞いて、これは挑戦をお受けする方向で考えようと思い、ペンをとりました。おてんば市というと、いわずと知れたRKクイーンやスーパーアサコのふるさとですね。彼女らがまだ大学生の頃、ニューおてんば温泉の露天風呂でお互いの背中を流し合ったのを思い出します。
 おてんばプロレスのことは今も気になっていて、よくSNSで検索しています。たしか今は稲辺容子さんや、ジャッキー美央さんだったかしら。将来性のある女子選手が多く、とても羨ましく思います。
 あ、もちろんそう。プレジデント日奈子さんという社長兼選手の女性にも注目しています。とりわけ日奈子さんの社長としての敏腕ぶりは、ぜひ参考にさせていただきたいです。
 とはいえ、私たちは世界最強を自負するプロ集団。いきなり頂上対決というわけにいかないことだけは、どうかご了承ください。交流戦のファーストステージとして、弊社の練習生を派遣させていただきたいのですが、いかがでしょう。選手名はミスXとでもしておきましょうか。できればエースの容子さんか、美央さんとの対戦を希望します。
 いいご返事をお待ちしていますので、ご検討のほどよろしくお願いいたします。

 「よ~し、ジャパンなでしこプロレスへのアプローチは大成功ね。ついに日本一の団体へ殴り込みよ」。そう口にすると、日奈子はさっそく美央と安子を社長室に呼んで、作戦会議を開くのであった。
 「えっ、作戦会議ですかぁ。私、夕べも半徹で、あんまり寝ていないんですよ」なんて、デザイナーとして多忙をきわめている美央にしてみれば、会議も何もあったもんじゃない。超豪華版の特別手当でももらわなきゃ、やっていられないわ。クリエイティブの仕事につきたくて就職したはずなのに、まさか女子プロレスラーとして飼いならされるとは――。これはもう単なる社長のわがまま会議でしょと思いながら、美央は後輩の安子にも声をかけ、鉛のように重たい腰をあげるのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

秘密のキス

廣瀬純七
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

処理中です...