死に別れた縁と私と異界の繋

海林檎

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 高台にある何の変哲もないただの神社。

 繋は見た事も聞いたこともないと言う。


「···元の世界に帰るならその場所に行く必要がある」

 その神社に済んでいる土地神を通じて人間の住む世界に帰るからだろう。

「案内してくれ」と、頼まれた時だ。





「おまたせ!」


 ---ガラッとお盆の上にお茶と菓子を乗せたムギが応接間に戻ってきた。


「遅かったな」


が殆ど無くて探したんですよぉ」


 人間用の食べ物と聞いて結は首を傾げた。

 人間用?


「こっちの食べ物を口にすると帰れなくなるからね」



「·············ぇ?」



 結は思い出す。
 男女の小さな子供からもらった不思議な飴。
 あれもこちらの食べ物だったのではないかと。



「あ~あ。食べちゃった」



 男の子が言った言葉。




 サー···と、結の顔が青くなる。



「結?」


 結の異変に気付いたムギが顔を覗き込んだ。


「あの····実はさっき·····」


「·······え゛!?」


 結の言葉で顔面蒼白になるムギと


「今すぐ座敷童子を連れてこい」


 表情には出ていないが、怒りが含まれた声で繋がムギに命令する。

 応接間の外にいた従者達とムギが先程の二人の子供····座敷童子達を呼びに行く間、結と繋は再び二人きりとなった。



「·····こちらのミスとは言え、簡単に信じるもんじゃねぇよ」


「だって···」

 無邪気な子供がくれたお菓子を無下にすることは出来ない。
 結は繋に答えればため息をつかれた。


「ガキの姿と言ってもアイツら650歳超えてんぞ」

「·····はい!?」


 座敷童子達は約南北朝時代東北で生まれた妖怪。
 人間界に遊びに行ってはそこに住み着き幸福をもたらし、出ていけば家を崩壊させるを繰り返す。

 幸福を与える妖怪とは言われるが下手をすると不幸を招く妖怪でもある為、そこに住み着かれた家の者は注意が必要。


「ちなみにここには住み着いてねぇ」


 住まわせる気なんてもっての他。
 寝泊まりさせる為の専用の家は準備しているらしい。


「しかし、困ったもんだなぁ····」


 ここの食べ物を食べてしまえば通常の方法では人間界に戻れない。

「·······じゃあ」

「この世界の住民になるしかねぇって事だ」



 その言葉に結の顔は絶望するしかなかった。
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