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解放ルートは訊いてない
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「……ユナさんはやり込み勢と思ってましたが。まほスクはオールクリア後、チート状態で再度全攻略者を周回クリアした後、再び対象者ルートをプレイすると隠しルートが解放されるんですよ。それがライリールートなんですよ」
完全復活した私はすっかり打ち解けたアナベルと二人でお茶をしていた。
普段は貴族令嬢の振る舞いを熟している彼女だけど転生者同士として意気投合し、砕けて過ごす。
アナベルは悪役令嬢として産まれ十年後に覚醒し、推しの攻略キャラに嫌われたくないためだけに過ごしてたのがまさかハーレムエンドになっているとは気づかなかったとか。
学園生活でのアレコレを語り合い、今では笑い話になっているけども。
そして今、話しの流れでライリー殿下ルートのことを知る。
私はやり込んだ自信はあった。カイルというエクストラも全て攻略し、スチルも全開放、何ならパラメータ全てMAXと余すことなく楽しんでクリアしたつもりだから。なのに隠しルート? んなもの知らねえぞ、オイ。
「まあ、チート状態になってクリアしたらまた周回しようとは思わないですよね。それまでさんざん周回してますから。それに公式も内部でごたごたがあって発表するのがものすごく遅すぎたのも原因ですし。なのにこの世界ではさすがヒロインだなぁと感心してたんです。もう既にシークレットキャラと出会ってたんですから」
ぶっ倒れたあの日、私はライリー殿下に抱えられ、王宮へと運ばれたみたいで。
その時初めてアナベルは隠しキャラに出会えたらしい。
元々存在するとは知ってたけど王宮のどこを探しても見つけられなかったと語った。
「ユナさんはエリン殿下のことは諦めるのですか?」
アナベルの推しはエリン王子。私もゲームではそうだったと伝えたら尻込みされた。
婚約者として成立している状況をひたすら謝られ、婚約破棄すべきかもと告げられる。
「いやいや、諦めるとか、それ以前の問題。あくまでまほスクのあの中で好きなキャラとしてハマっただけで」
ガチ勢のアナベルとは違い、現状ではとおの昔に見切りをつけていたしさ。
ゲームの中での攻略対象者たちの性格や行動は知識として周知してたけどほぼ接点すら持てなかったし。
イベントごとが全く起きなかったのはそれぞれのキャラクターが自立したからだろう。
学園で遠巻きに見ても既に見知った感覚ではなくなっていてヒロインだからと盲目になるわけでないって判った。
つまりはこの世界で生きている人としての人生を歩んでいる青年たちなんだよね。
だから本当の恋愛っていうのは見た目に惹かれたとしても実際に接して確信し合っていくものだと思う。
現に卒業後の世界ではどんなにイケメンでも接したらアレで心がときめくことなんて無かったし!
……逆に男性不信に陥るとこだったよ! マジで!
それを押しとどめた唯一の存在があったから心が救われてたんだからね!
「じゃ、そろそろ私は行くね!」
アナベルに別れを告げ、書庫へと急ぐ。私は新しい部署へと任命され、何と書庫番となったのだ!
ひと月の間に以前の部署が立ち回らなくなったのが判明し、先輩たちが馬車馬のように働かされたとか。
ふん、いい気味。おかげで身の潔白が証明されて何より。
とはいえ、暴走させてしまったせいで書庫はぐちゃぐちゃになり、修繕が終わったばかりらしい。
迷惑をかけたのは間違いない。そのお詫びといっちゃなんだがこれから再び書架整理からスタートだ……。
完全復活した私はすっかり打ち解けたアナベルと二人でお茶をしていた。
普段は貴族令嬢の振る舞いを熟している彼女だけど転生者同士として意気投合し、砕けて過ごす。
アナベルは悪役令嬢として産まれ十年後に覚醒し、推しの攻略キャラに嫌われたくないためだけに過ごしてたのがまさかハーレムエンドになっているとは気づかなかったとか。
学園生活でのアレコレを語り合い、今では笑い話になっているけども。
そして今、話しの流れでライリー殿下ルートのことを知る。
私はやり込んだ自信はあった。カイルというエクストラも全て攻略し、スチルも全開放、何ならパラメータ全てMAXと余すことなく楽しんでクリアしたつもりだから。なのに隠しルート? んなもの知らねえぞ、オイ。
「まあ、チート状態になってクリアしたらまた周回しようとは思わないですよね。それまでさんざん周回してますから。それに公式も内部でごたごたがあって発表するのがものすごく遅すぎたのも原因ですし。なのにこの世界ではさすがヒロインだなぁと感心してたんです。もう既にシークレットキャラと出会ってたんですから」
ぶっ倒れたあの日、私はライリー殿下に抱えられ、王宮へと運ばれたみたいで。
その時初めてアナベルは隠しキャラに出会えたらしい。
元々存在するとは知ってたけど王宮のどこを探しても見つけられなかったと語った。
「ユナさんはエリン殿下のことは諦めるのですか?」
アナベルの推しはエリン王子。私もゲームではそうだったと伝えたら尻込みされた。
婚約者として成立している状況をひたすら謝られ、婚約破棄すべきかもと告げられる。
「いやいや、諦めるとか、それ以前の問題。あくまでまほスクのあの中で好きなキャラとしてハマっただけで」
ガチ勢のアナベルとは違い、現状ではとおの昔に見切りをつけていたしさ。
ゲームの中での攻略対象者たちの性格や行動は知識として周知してたけどほぼ接点すら持てなかったし。
イベントごとが全く起きなかったのはそれぞれのキャラクターが自立したからだろう。
学園で遠巻きに見ても既に見知った感覚ではなくなっていてヒロインだからと盲目になるわけでないって判った。
つまりはこの世界で生きている人としての人生を歩んでいる青年たちなんだよね。
だから本当の恋愛っていうのは見た目に惹かれたとしても実際に接して確信し合っていくものだと思う。
現に卒業後の世界ではどんなにイケメンでも接したらアレで心がときめくことなんて無かったし!
……逆に男性不信に陥るとこだったよ! マジで!
それを押しとどめた唯一の存在があったから心が救われてたんだからね!
「じゃ、そろそろ私は行くね!」
アナベルに別れを告げ、書庫へと急ぐ。私は新しい部署へと任命され、何と書庫番となったのだ!
ひと月の間に以前の部署が立ち回らなくなったのが判明し、先輩たちが馬車馬のように働かされたとか。
ふん、いい気味。おかげで身の潔白が証明されて何より。
とはいえ、暴走させてしまったせいで書庫はぐちゃぐちゃになり、修繕が終わったばかりらしい。
迷惑をかけたのは間違いない。そのお詫びといっちゃなんだがこれから再び書架整理からスタートだ……。
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