前世粗チンの俺が勇者の引き立て役で殺される巨根オークに転生した話

揚惇命

文字の大きさ
9 / 23
一章 町外れの教会編

シスタークレア

しおりを挟む
 タールマ帝国の外れの領地に、1人のシスターが居る教会がある。
 このシスターの名前をクレア。
 ここに住む人々から敬意を込めてシスタークレアと呼ばれている。
 しかし、シスタークレアには、誰にも言えない秘密があった。
 神父のゲヒタスに脅され、身体を弄ばれていたのだ。
 これが冒頭で俺が知らない少し前のシスタークレアだ。
 シスタークレアは、俺が襲ったことで勇者の寵愛を受け、ゲヒタス神父からも解放される。
 この世界で勇者と交わった女性に魔物だけでなくこの世界に住む男性も手を出すことはできないからだ。
 それが勇者の祝福と呼ばれるものである。
 俺は、粗末原猛としてやり込んだこのゲームの攻略本に書かれている裏設定ですら、この頭に暗記している。
 だから今回こそシスタークレアを俺のモノにする。
 そのためにすることは、居た。
 仮面蝙蝠《マスクバット》だ。
『汝のセックスでヒロインに祝福を』の世界は、エロゲーファンタジーRPGゲームだ。
 この仮面蝙蝠は、一定確率でその名前に入ってるある物をドロップする。
 俺がオークである以上、顔を隠さなければ、教会に出入りすることもできない。
 そのために必要なある物のため俺はこの仮面蝙蝠を探して、満月の夜を待った。
 満月の夜にしか姿を現さないレアな蝙蝠がこの仮面蝙蝠なのだ。
 俺は後ろからこっそりと忍び寄って、仮面蝙蝠に棍棒を叩きつける。

「キキィィィィィ」

 昔の俺ならきっと攻撃する前に声をあげて、その声で逃げられていた。

「父のお陰で、進歩したな俺も」

 だが10匹目だというのにドロップは無し。
 やはり、確率は嘘をつかない。
 しかし、今日を逃せば次の満月まで大体15日かかる。
 俺は気合を入れて、この後も仮面蝙蝠を狩りまくった。
 そして、ようやくこの瞬間が。
 倒れた仮面蝙蝠からカランコロンと音がして、俺は念願の『阻害の仮面』を手に入れた。
 これは、頭防具で、ゲーム内の説明は、敵から狙われにくくなる。
 この仮面であれば、オークの俺の認知を逸らすことができるのでは無いかと考えたのだ。
 そして、まだ必要な物がある。
 オークのこの身体を覆い隠すような身体防具。
 これを落とすのも勿論把握している。
 繊維羊《ファイバーシープ》だ。
 コイツの落とす『モコぐるみ』のゲーム内説明は、見た目をモコモコ動物の着ぐるみを着た姿に変えるである。
 これで、モコモコの着ぐるみを着たオークの完成である。
 しかし、これはレアドロップ枠であり、仮面蝙蝠の通常枠ですらそれなりの時間と数を狩った。
 その倍は覚悟していたのだが。

「まさかの1発目でドロップしてくれるとは」

 時にこの2体の魔物だが、狩るのは難しくない。
 どちらも魔物の方では大人しい部類に入るからだ。
 狩る者と狩られる者で言えば、常に狩られる者が仮面蝙蝠と繊維羊である。
 そして、次の奴が落とすのもそんな魔物だ。
 頭と防具ときたら靴も必要だ。
 流石に素足を露出したままだとオークだとバレる危険性がある。
 靴を落とす魔物の名は、二足笑《レッグロール》という。
 笑いながら歩いている二足の靴だ。
 そして、コイツの落とす『笑顔の靴』の説明は、靴が笑っているように見えるだけでただの靴である。
 そして、これは2分の1の確率でドロップするから最後に回したのだが。

「何故だ!何故!100匹狩っても落とさんのだ!」

 嘆きたくもなる。
 レアドロップを1発で落としたからだろうかここで確率調整の波が押し寄せてきたのだ。
 落とすものは、レア枠の薬草ばかり。
 コイツに至っては、プレイヤーから狩る価値無しとまで言われる貧弱モンスターなのだが。
 そんな二足笑も俺なら有効活用してやれると思ったが、ここまで落とさないのでは、泣けてくる。
 しかし、今更別の魔物に変更する時間もない。
 何故なら、コイツが1番楽だからだ。
 そして、1000匹目に差し掛かって、ようやく。
 カランコロンとドロップした。
 それらを身に付けた俺は、怪しい人ではあるがオークには見えなかった。
 これで、教会に出入りすることが可能だろう。
 俺は満を持して、シスタークレアのいる教会へと足を踏み入れた。

「ごめんください。こんな怪しい見た目だが神様に祈っても良いだろうか?」

「は、はい勿論です。神様は、等しく皆に祝福を授けてくれますぅぅぅぅぅ」

 俺の目の前からシスタークレアが崩れ落ちた。
 成程、ゲヒタス神父の仕業か。
 奴は、シスタークレアの性器に大人のおもちゃを仕込み、俺と話をしている最中にその強弱を変えたのだ。
 俺は、冷静なフリをして対処する。

「あのぉ、大丈夫ですか?」

「旅の方、お気になさいませぬように。どうやら、シスタークレアは、体調が優れぬ様子。奥に連れて行きますゆえ、旅の方はどうぞ心ゆくまで神様にお祈りしていくが宜しい」

 下卑た笑みを浮かべて、白々しく奥からシスタークレアをこうした張本人であるゲヒタスが現れた。
 俺の推しをよくも!
 絶対に、俺が助け出して、オーク国の礎となってもらうからな覚悟しろゲヒタス!
 だが、今は我慢だ。
 シスタークレアの好感度を少しづつ高めて、俺への好意が高まったタイミングで、助けるんだ。
 今助けても叫ばれて、その声で勇者が現れたら一貫の終わりだ。
 俺が手を交差させて祈りを捧げる中、奥の部屋からはシスタークレアの艶めかしい声が響いていたのだった。
 どうせ、すぐに立ち去る旅の者だからと俺のことなど気にも留めないようだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない

みずがめ
恋愛
 宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。  葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。  なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。  その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。  そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。  幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。  ……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

私の推し(兄)が私のパンツを盗んでました!?

ミクリ21
恋愛
お兄ちゃん! それ私のパンツだから!?

疎遠だった叔父の遺産が500億円分のビットコインだった件。使い道がないので、隣の部屋の塩対応な美少女に赤スパ投げまくってる件

月下花音
恋愛
貧乏大学生の成瀬翔は、疎遠だった叔父から500億円相当のビットコインが入ったUSBメモリを相続する。使い道に困った彼が目をつけたのは、ボロアパートの薄い壁の向こうから聞こえる「声」だった。隣人は、大学で「氷の令嬢」と呼ばれる塩対応な美少女・如月玲奈。しかしその正体は、同接15人の極貧底辺VTuber「ルナ・ナイトメア」だったのだ! 『今月ももやし生活だよぉ……ひもじい……』 壁越しに聞こえる悲痛な叫び。翔は決意する。この500億で、彼女を最強の配信者に育て上げようと。謎の大富豪アカウント『Apollo(アポロ)』として、5万円の赤スパを投げ、高級機材を即配し、彼女の生活を神の視点で「最適化」していく。しかし彼はまだ知らなかった。「金で買えるのは生活水準だけで、孤独は埋められない」ということに。500億を持った「見えない神様」が、神の座を捨てて、地上の女の子の手を握るまでの救済ラブコメディ。

幼馴染みのメッセージに打ち間違い返信したらとんでもないことに

家紋武範
恋愛
 となりに住む、幼馴染みの夕夏のことが好きだが、その思いを伝えられずにいた。  ある日、夕夏のメッセージに返信しようとしたら、間違ってとんでもない言葉を送ってしまったのだった。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

処理中です...