前世粗チンの俺が勇者の引き立て役で殺される巨根オークに転生した話

揚惇命

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一章 町外れの教会編

本来の目的を忘れて連れて帰ってきたのは

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 グリムバッシュが意気揚々と兄弟姉妹の待つ洞窟へと帰ってくる。

「おーい!今、戻ったぞ!」

 グリムバッシュの声を聞いて集まってきた兄弟姉妹。

「兄貴、その人間は何だ?他にオークは、見当たらないよな?」

 ズゴッグは怪訝そうに人間を見て、グリムバッシュの後ろを覗き見るが人手が居ないことに意気消沈する。

「流石グリムバッシュお兄様、早速人間を1人捕まえたのね。早速お料理しなくちゃ」

 ナユルは、早速復讐相手が1人やってきたと殺す気満々だ。

「いやぁ。これはちょっと違うんじゃないかな。グリム兄、もしかしてそっちだった?」

 唯一カログは冷静に状況を分析している。

「まぁまぁ、グリムバッシュ兄様が無事に戻られたことが1番です。人手は私の産んだ5人が居ます。グリムバッシュ兄様、遠征御苦労様でした」

 ウラクルは、産まれたばかりのゴブリンを5匹連れて、グリムバッシュを労った。

「皆様、人の言葉がお上手なんですね。流石、グリムバッシュさんの兄弟姉妹なのです!」

 クレアの言葉に4人が驚きの表情をする。

「はっ?何で俺がこの人間の女の言葉がわかるんだ?」

「これは、驚いた。まさか、こんなことがあるなんて。やっぱりグリム兄は、僕をいつも驚かせてくれるね」

「はっ?どういうこと?何で、人間の女が私たちの言葉を話せるのよ!」

「あの、貴方はグリムバッシュ兄様とどういう御関係なのですか?」

 ズゴッグとナユルは困惑し、カログは相変わらず冷静に状況を分析、お話しできるとあっては1番穏やかなウラクルがクレアに尋ねるなど皆一様に混乱している様子だった。
 だが、それよりも1番驚いていたのは。

「クレア、お前兄弟姉妹の言葉がわかるのか?」

「えぇ。皆さん、グリムバッシュさんと同じぐらい人間の言葉がお上手でびっくりしました」

 これは、どういうことだ。
 クレアは、兄弟姉妹たちが人間の言葉を話したというが俺の兄弟姉妹は人間の言葉など話せないし理解もできない。
 同じく、兄弟姉妹たちはクレアが自分たちの言葉を話したと言っている。
 何がどうなっている?

「グリム兄、ちょっと」

 カログに手招きされたのでグリムバッシュは向かう。

「グリム兄、あの人とやった?」

「な!?なぜ、そんなことを聞く!?」

「声が大きいよ。いや、グリム兄の困惑ぶりを見て、僕なりに冷静に状況を見極めたんだけど。あの人、グリム兄の赤ちゃんを妊娠してるんじゃないかなって」

「何故、それがお互いの言葉がわかることに繋がる?」

「これはあくまで推測でしかないけど。彼女のお腹に宿るグリム兄の子供がオークの言葉を人間の言葉に変換して届けてるって考えられないかな?そう考えれば、辻褄が合いそうなんだよ。で、それが本当なら凄いことだよ。グリム兄は同族以外で、種を増やせるんだから。グリム兄には、このまま遠征を続けてもらって、人間の女を確保するのもアリだと僕は思うよ」

「まさか」

 これは良い方の誤算だ。
 俺は仲間たちにクレアは苗床だと紹介するつもりだった。
 この世界では人間とオークの間に子ができるなんて考えはない。
 ゆえにあくまでそれを研究する対象として連れてきたと説明するつもりだった。
 ところがもうすでにクレアは俺の子を妊娠しているかもしれないとカログが言うのだ。
 オークの中でも桁違いに頭が良く感も鋭いカログに言われては、本当にそうもしれないと思ってしまった。
 だから、俺のこの行動も理解してもらえるだろう。

「クレア!ありがとう!」

「ぐ、グリムバッシュさん?突然何を?」

「俺の子を孕んでくれたのだろう?」

「そ、それはグリムバッシュさんの子供なら私いくらでも妊娠しますけども。流石に一回で孕んだりなんて。うっううっ」

「それは、お腹が急激に膨らむ前兆です!姉様、しっかり意識を保ってください!」

 ウラクルがクレアへと駆け寄り手を握り、言葉をかける。
 カログはこの時、クレアの下腹部に浮かぶ紋様を見逃さなかった。

(お腹にある怪しい紋様が光ってる?アレが僕たちの言葉を人間の言葉に変換し、人間の言葉を僕たちの言葉に変換してるのかな。いや、それともあの紋様自体が彼女がオーク産める身体になった?謎が多いけど人手が増えることは、素直に喜んだ方が良いね。それもグリム兄の子供だし)

 カログは頭をフル回転させて、今の状況を冷静に分析して、思考する。

「いやいや、どういうことだよ?人間の女が兄貴の子を妊娠してる?それって、喜んで良いのか?」

 ズゴッグは、目の前の出来事が信じられないと困惑しつつもどうしたら良いのかあたふたしていた。

「ズゴッグ、何言ってんのよ!お姉様のお腹にいるのはグリムバッシュお兄様の御子なんだから喜んで良いに決まってるでしょ!」

 ナユルは、ズゴッグのことを呼び捨てで呼んで、叱咤するが自身も困惑を隠せないでいた。
 だが1番困惑していたのは。

「うっ。お腹が張って辛い」

 ピシャッと音が鳴る。

「嘘!?破水!?純粋なオークの妊娠期間は4ヶ月。お腹が大きくなるのが1ヶ月だから、今ようやく1ヶ月なのは間違いないはず。これはいくら何でも早すぎる!ダメ、先輩の私がこんなんじゃ。クレアさん、聞こえてるかしら?」

「は、はい」

「今、破水したのがわかる?もうすぐ、赤ちゃんが産まれてくるの。呼吸法を教えるから私の後に続いて、やってくれる?」

「は、はい」

「素直で宜しい!ヒィヒィフゥのリズムよ。はい、やってみて」

「ヒィ、ヒィ、フゥ」

「そうよその調子。ヒィヒィフゥ」

「ヒィ、ヒィ、フゥ」

「良いわ。頭が見えてきた。もう少しよ。ヒィ、ヒィ、フゥ」

「ヒィ、ヒィ、フゥゥゥゥゥゥゥ」

 クレアが凄い力でイキむと1匹のオークが産まれ落ちた。

「おぎゃぁ」

 だがその鳴き声は、人間の赤子のそれに良く似ていた。

「次が来ない?オークは多産が普通」

「ウラクル姉、クレアお姉様は人間の女だよ!」

「そ、そうね。人間の女がオークを産めるなんてことが既に奇跡だものね。チンチンは付いてないわね。おめでとうクレアさん。オークの女の子よ」

 手渡された自身の娘を強く抱きしめるクレアであった。
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