魔族に転生したので魔族の頂点を目指したいと思います!

揚惇命

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最終章 第二幕

第29話 人魔戦争(枝垂桜海洋国家編)

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 タイガーメイリンは、上杉の言葉を聞き深く考えていた。
「そんな、本当にあの子なの?(昔の私は人間の国に憧れていた。そんな時に傷付き流れ着いた男の子、私は獣人族があまり訪れない廃屋に彼を運び看病した。彼から聞く話はとても楽しかった。いつからだっただろうか彼に恋をしていた。でも人と獣人族、決して許されない。そんな時、滅多に訪れない廃屋に獣人族が来た。それは奇しくも私がいない時だった。私が駆けつけた時、彼は獣人族の男たちに掴まれ、連れて行かれた。私はなんとか助けようと後を追った。でも私は無力だった。愛してる彼に刺さる爪、それを見て気を失った。次に気が付いた時、キャットジー様からあの人間の男は配下のものが粛清したと。私は2度と恋をしないと決めた。などと人間に憧れを抱かないと決めた。それが私の偽善で死んだ彼に対する私の償いだと。なのに彼は生きていて、今目の前にいて、私のことを妻にすると叫んでいる。本当は今すぐにでも彼の胸に飛び込みたい。でも、私は誇り高き獣人族、卑しい人間のものになることなどできない。できるはずがない。家族を裏切ることなど。でも私に彼を殺せる。それもできない。なら、どうすれば。もうこうするしか)ごめんねガルルルル」
 タイガーメイリンは自分の鋭い爪を喉に当て引き裂こうとする。間一髪気付いた上杉が止めに入り、鋭い爪が上杉の肩口に刺さる。
「ぐわぁぁぁぁぁぁ」
「良いぞ良いぞ卑しい人間を殺すのだタイガーメイリンよ」
「そんな、どうして私を?ガルルルル」
「決まっているではないか。初恋の女にもう一度逢えたのだ。その女が俺を殺さないと苦しみ自分が死ぬ道を選ぼうとした。それは、龍女。お前も俺のことを好いてくれているということであろう。なら命を張るのが男ってもんだろ」
「それで貴方が大怪我を負うなんて。馬鹿じゃない。ガルルルル」
「タイガーメイリン、何をしておるのにゃ。とっととその男にトドメを刺すのにゃ。そうすれば我らの士気も爆上がりにゃ」
「黙れ、私は決めた。タイガーメイリンという名を捨て龍女となる。私の敵は今より、貴様だキャットジー。ガルルルル」
「にゃんと!?裏切るというのかにゃ。貴様、殺してくれるにゃ。昔人間の男を匿っていたお前の罪を不問としてやった恩を仇で返しにゃがって」
「龍女。お前」
「謙様、今は私が御守り致します。ガルルルル」
「そうか、ではその語尾は治さねばな。人として俺と共に生きてくれるのであろう。我が妻よ」
「はい。謙様」
 キャットジーと上杉&龍女が戦い始めた時、織田武もラビットランを追い詰めていた。
「なんて強さピョン(この私を的確に捉えて、交わして致命傷を避けた一撃を的確に入れてくる)」
「すごく楽しませてもらった。でどうする降参する気になったか?」
「卑しい人間なんかに降伏なんてしないピョン」
「そうか、残念だ。ではトドメとさせてもらう」
「(私が死ぬ。負けた者の末路よね)」
 織田の一撃が腹に入ったラビットランは、気絶した。織田はラビットランを肩に抱えて、上杉が押さえてくれている戦場へと急ぐ。その頃上杉は、肩口の傷を平然と装ってはいたものの劣勢に立っていた。
「ぐっ」
「謙様、やっぱり私の食い込んだ爪が」
「かすり傷だ気にするな(強がってはいるが深いな。動かすのがやっとだ。殿、もう持ちませぬぞ)」
「猫流拳法師範のこの俺の連続猫パンチの前には無力なのにゃ」
「猫流拳法とやらも大したことないようだ(こいつジジイの見た目して軽やかに動きすぎだろ。桁が違うぜ)」
「危ない謙様、うっ」
「龍女、俺を庇うなんて何考えてんだ」
「もう謙様を失いたくないのです」
「それでお前が死ぬのか。俺もそんなの見たくないぞ。2人でなんとか切り抜けるぞ」
「はい(謙様の肩口の傷は思った以上に深い。私は自分の喉元を掻っ切るために力を入れたから。私がなんとかして謙様を守らないと)」
「おりゃおりゃおりゃにゃ」
 上杉は肩口の傷が相当深いのだろう片手でガードするのが精一杯だった。弾かれ当たりそうになるものは致命傷を避ける形で龍女が庇い受けていた。満身創痍の2人。
「ハァハァハァ」
「ハァハァハァ」
「そろそろ、トドメと行くのにゃ。タイガーメイリン、最後に聞いてやるにゃ。横の男を殺して、俺様の元に戻る気はあるかにゃ」
「無いわ。私が死ぬ時は謙様の隣よ」
「そうか。残念にゃ。お前のことは買っていたのにゃ。同じ猫族として。女としてもにゃ。だからその男に選ばせてやるにゃ。タイガーメイリンに死んでほしくなければどうすればいいかわかるにゃ」
「くっ。事ここに至ってはやむなしか」
 上杉は己の刀を首に押し当てる。
「謙様、おやめください」
 タイガーメイリンはキャットジーに捕まり、その光景を見ているしかできない。
「すまぬな。龍女」
「おいおい、俺を置いて勝手にしようってのか謙三?」
「殿、いえ一時の気の迷いです」
「そうか、おいジジ猫。その虎女離してくれや。うちの大切な部下の女らしいんでな」
「残念にゃ。さらばにゃ。タイガーメイリン」
「どうか謙様のことを頼みます」
 諦めた表情のタイガーメイリンにキャットジーの爪が刺さろうとしていた。
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