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王都侵攻
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王都侵攻の前の晩、ジュリエッタは、ダニエルに首飾りを渡した。それにはロケットが付いており、中にはジュリエッタの肖像画が入っている。ジュリエッタは自分のも用意しており、すでに首にかけているそれにはダニエルの肖像画が入っていた。
「ダニエルさま、私たち、まだ二人一緒の肖像画がないの」
ダニエルは初めてそのことに気づいたようだった。ダニエルの生い立ちと思えば、肖像画など縁遠く、思いもつかなかったはずだ。
ジュリエッタのロケットの中の肖像画は、ダニエルが将軍になったばかりのころに、兵士らにその威信を広めるために描かせたもので、ジュリエッタは唯一手に入れられるそれを複製して小さいサイズに描き直してもらった。
「すべてが無事終わったら、二人の絵を描いてもらおうか」
「ええ。そうね、そうしたら、この中の絵姿は、二人一緒のに取り換えましょう」
「ああ、ジュリエッタのお気に召すままに」
ダニエルはそう言って頭を下げれば、ジュリエッタがダニエルの首にペンダントをかけてきた。
***
ブルフェンの王宮では国王フィリップが、側近らに当たり散らしていた。
「ダニエル・シルベスはまだ見つからんのか。もう半月になるんだぞ。死体でもいいから引っ張ってこい」
バルベリに向かわせた王国軍からの連絡は途絶えたままだ。バルベリ軍に迎撃されているのだろうが、それにしても連絡一つ届かないというのはおかしい。フィリップはバルベリに向けて遣いを送るも、それらが帰ってくることもない。
(おかしい、妙だぞ)
フィリップ自らバルベリに出向くことも思いつくも、これが罠ではないとも言い切れず、二の足を踏んだ。
実際のところ、ダニエルは早い段階で、バルベリと王都との要衝に兵を送って、情報を遮断していたのだが、フィリップにそれを知る由もない。
(こうしている間に、バルベリ軍、否、シルベス私軍である『賊軍』が、王都へなだれ込んでくるやもしれぬ)
そう思えばフィリップはいてもたってもいられなくなってくる。有力貴族に声をかけて、バルベリへの派兵を命じた。しかし、そうする以上、ダニエルの逃亡を隠し続けるわけにはいかなかった。
「余はシルベスの功に報いて、寛大にもあやつを放免してやったのだ。しかし、斥候によると、あやつは謀反を考えて、王都に攻め込もうとしている。先んじて派兵している王国軍に加勢するのだ」
命じられた貴族にとっては、ひどい迷惑でしかなかったが、仕方なく私軍を率いてバルベリに向かうことになった。
しかし、貴族の安堵することにバルベリへの途上で、こちらに向かってやってくる兵団にぶつかった。その兵団は、銀色の甲冑に赤い王国旗を掲げていた。
「おお、王国軍だ」
「友軍だぞ!」
「では、バルベリ軍は?」
王国軍の将軍が告げる。
「閣下、賊軍は我々が打ち破りました!」
「では、バルベリ候……、ではなかった、逆臣、ダニエル・シルベスは?」
「遺体はあの中です」
王国軍の将軍は荷馬車を指す。荷馬車からはひどい臭いがする。死体を積んでいるのだ。
貴族は戦わず済んだことに安堵し、王宮に報せを送った。
『ダニエル・シルベス、打ち取ったり!』
貴族軍は王国軍とともに帰京の途についた。
***
フィリップは貴族からの知らせを受けて、ほぅ、と胸を撫でおろした。
(あいつも死んだか。ジュリエッタも可哀そうなことになったものだ)
ダニエル逃亡の詳細までは私軍を率いた貴族に知らせていないために、ジュリエッタの安否の確認まではしなかったが、ダニエルの死体が戻れば、状況もわかるだろう。ジュリエッタの死体がなければ、ジュリエッタはどこかに落ち延びたということだ。
(深窓の令嬢が野山では生きられまい。生きていれば、そのうち姉上のもとに戻ってくるだろう。もう傷ものだろうがな)
安心したフィリップは気が大きくなり、ジュリエッタがもう一度忠誠を誓うのならば許してやってもいいとさえ、思った。
(傷ものでも我が姪だ)
その報せの翌日、王国軍が王都へと戻ってきた。
フィリップは銀色に輝く甲冑に、ぞんざいに言った。
「我が兵士らよ、ご苦労だった。して、逆賊の遺体はどこに」
王の間に棺桶ほどの大きさの箱が運び込まれた。箱からは腐った血の匂いがする。
臭いがこの目で確認しなければならない。
フィリップは蓋を開けさせた。
中には黒髪のダニエル・シルベスが横たわっていた。顔には土汚れはあるが、肉体は立派で欠損もなく、皮肉なことにどこか健康そうにさえ見えた。
フィリップが度肝を抜かれることに、蓋を全部開けるにつれて、ジュリエッタの姿も明らかになった。ジュリエッタはダニエルに寄り添うように横たわっている。
「おおっ………、ジュリエッタ……」
さすがにフィリップは姪の遺体に声を上げた。
こちらは泥汚れ一つなく、きれいな薄物のドレスを着せられて、実物大の人形が眠っているようだった。
(ああ、可哀そうに。怪我のないところを見ると服毒自殺をしたのだな。しかし、これも余に歯向かった報いだ)
フィリップの顔には痛ましさが浮かんでいた。
そのとき、むくりと死体が起き上がった。フィリップは驚きに腰を抜かしかけた。そんなフィリップを起き上がったダニエルが抱え込む。そして、フィリップが声を上げる間もなく、その両手をまとめて掴んで、背中から拘束していた。
衛兵がフィリップを助けようと飛び出すも、おかしなことに衛兵を王国軍が遮ってきた。
「貴様ら、何をやっておるっ」
フィリップが王国軍に声を張り上げるも、彼らはフィリップの予想を外れた行動をとっている。王国軍兵士らは、衛兵にフィリップの側近らを手早く拘束し始め、彼らは、全員、一つにまとめられ隅へと追いやられた。
フィリップは、兵士らに玉座へに連れていかれたかと思うと、椅子に手足を拘束された。
ダニエルがフィリップの前に立った。その後ろからジュリエッタが顔を出す。
幽霊を見るような目つきで彼らを見ていたフィリップだったが、すぐに、死んだのは偽装だったことを理解した。
「貴様ら……、こんなことをしてただで済むと思うなよ」
フィリップは憤怒の形相で低い声を出した。ジュリエッタはにっこりと微笑んだ。
「陛下、とは呼びたくはないけど、叔父さま、と呼ぶのももっといやだから、陛下と呼ぶわね。陛下、国王の間は制圧されたわ。そして、制圧されているのはここだけではないの。今や、王宮中がバルベリ軍によって制圧されているわ。だから、陛下を助けにくる人はもういないの」
「なんだと?」
「もうおわかりだろうけど、王国軍はまだバルベリにいるの。バルベリ軍が銀色の甲冑に赤い旗を掲げてみただけよ。今頃、本物の王国軍は、バルベリ軍のいない空っぽのバルベリで、腸詰でも食べているところではないかしら。美味しく堪能してくれていると嬉しいわ」
王都侵攻が決まってから、バルベリの王国軍には嘘の情報を流した。国王の使者と見せかけたバルベリ騎士は、王国軍に『全軍、バルベリに待機』と告げた。
王国軍は訳が分からないながらも、今頃平和なバルベリでのんびりと過ごしているだろう。
そのときだった、けたたましい鐘の音が鳴ったのは。
見張り兵が王の間に入ってきた。
「敵襲です。海から外国の軍船がやってきました。その数、約二十!」
そこまで報告して、見張り兵は、口をつぐんだ。そして、室内を見回した。国王は玉座に拘束され、衛兵らも部屋の隅っこに転がされている。室内には王国軍兵士でいっぱいだが、どういうわけか、国王を助けもしない。
王国軍兵士が見張り兵の前にやってきて、どういうわけか威圧的に縄をかざしてみせた。
「……降参します」
見張り兵は、何故味方であるはずの王国軍兵士が国王を拘束しているのかもわからなかったが、とにかく、両手を黙ってあげて、おとなしく拘束されることを選んだ。
フィリップが声を張り上げた。
「外敵だぞ! お前たちで立ち向かえるのか」
「兄上が立ち向かうよりはましだと思いますが」
その声のほうを見れば、銀色の甲冑の騎士がヘルメットを上げた。顔を出したのは、アドルフだった。
どういうわけか、いつもフィリップに従順だったはずのアドルフが、憎々し気にフィリップをにらんでいた。
「ダニエルさま、私たち、まだ二人一緒の肖像画がないの」
ダニエルは初めてそのことに気づいたようだった。ダニエルの生い立ちと思えば、肖像画など縁遠く、思いもつかなかったはずだ。
ジュリエッタのロケットの中の肖像画は、ダニエルが将軍になったばかりのころに、兵士らにその威信を広めるために描かせたもので、ジュリエッタは唯一手に入れられるそれを複製して小さいサイズに描き直してもらった。
「すべてが無事終わったら、二人の絵を描いてもらおうか」
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「ああ、ジュリエッタのお気に召すままに」
ダニエルはそう言って頭を下げれば、ジュリエッタがダニエルの首にペンダントをかけてきた。
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ブルフェンの王宮では国王フィリップが、側近らに当たり散らしていた。
「ダニエル・シルベスはまだ見つからんのか。もう半月になるんだぞ。死体でもいいから引っ張ってこい」
バルベリに向かわせた王国軍からの連絡は途絶えたままだ。バルベリ軍に迎撃されているのだろうが、それにしても連絡一つ届かないというのはおかしい。フィリップはバルベリに向けて遣いを送るも、それらが帰ってくることもない。
(おかしい、妙だぞ)
フィリップ自らバルベリに出向くことも思いつくも、これが罠ではないとも言い切れず、二の足を踏んだ。
実際のところ、ダニエルは早い段階で、バルベリと王都との要衝に兵を送って、情報を遮断していたのだが、フィリップにそれを知る由もない。
(こうしている間に、バルベリ軍、否、シルベス私軍である『賊軍』が、王都へなだれ込んでくるやもしれぬ)
そう思えばフィリップはいてもたってもいられなくなってくる。有力貴族に声をかけて、バルベリへの派兵を命じた。しかし、そうする以上、ダニエルの逃亡を隠し続けるわけにはいかなかった。
「余はシルベスの功に報いて、寛大にもあやつを放免してやったのだ。しかし、斥候によると、あやつは謀反を考えて、王都に攻め込もうとしている。先んじて派兵している王国軍に加勢するのだ」
命じられた貴族にとっては、ひどい迷惑でしかなかったが、仕方なく私軍を率いてバルベリに向かうことになった。
しかし、貴族の安堵することにバルベリへの途上で、こちらに向かってやってくる兵団にぶつかった。その兵団は、銀色の甲冑に赤い王国旗を掲げていた。
「おお、王国軍だ」
「友軍だぞ!」
「では、バルベリ軍は?」
王国軍の将軍が告げる。
「閣下、賊軍は我々が打ち破りました!」
「では、バルベリ候……、ではなかった、逆臣、ダニエル・シルベスは?」
「遺体はあの中です」
王国軍の将軍は荷馬車を指す。荷馬車からはひどい臭いがする。死体を積んでいるのだ。
貴族は戦わず済んだことに安堵し、王宮に報せを送った。
『ダニエル・シルベス、打ち取ったり!』
貴族軍は王国軍とともに帰京の途についた。
***
フィリップは貴族からの知らせを受けて、ほぅ、と胸を撫でおろした。
(あいつも死んだか。ジュリエッタも可哀そうなことになったものだ)
ダニエル逃亡の詳細までは私軍を率いた貴族に知らせていないために、ジュリエッタの安否の確認まではしなかったが、ダニエルの死体が戻れば、状況もわかるだろう。ジュリエッタの死体がなければ、ジュリエッタはどこかに落ち延びたということだ。
(深窓の令嬢が野山では生きられまい。生きていれば、そのうち姉上のもとに戻ってくるだろう。もう傷ものだろうがな)
安心したフィリップは気が大きくなり、ジュリエッタがもう一度忠誠を誓うのならば許してやってもいいとさえ、思った。
(傷ものでも我が姪だ)
その報せの翌日、王国軍が王都へと戻ってきた。
フィリップは銀色に輝く甲冑に、ぞんざいに言った。
「我が兵士らよ、ご苦労だった。して、逆賊の遺体はどこに」
王の間に棺桶ほどの大きさの箱が運び込まれた。箱からは腐った血の匂いがする。
臭いがこの目で確認しなければならない。
フィリップは蓋を開けさせた。
中には黒髪のダニエル・シルベスが横たわっていた。顔には土汚れはあるが、肉体は立派で欠損もなく、皮肉なことにどこか健康そうにさえ見えた。
フィリップが度肝を抜かれることに、蓋を全部開けるにつれて、ジュリエッタの姿も明らかになった。ジュリエッタはダニエルに寄り添うように横たわっている。
「おおっ………、ジュリエッタ……」
さすがにフィリップは姪の遺体に声を上げた。
こちらは泥汚れ一つなく、きれいな薄物のドレスを着せられて、実物大の人形が眠っているようだった。
(ああ、可哀そうに。怪我のないところを見ると服毒自殺をしたのだな。しかし、これも余に歯向かった報いだ)
フィリップの顔には痛ましさが浮かんでいた。
そのとき、むくりと死体が起き上がった。フィリップは驚きに腰を抜かしかけた。そんなフィリップを起き上がったダニエルが抱え込む。そして、フィリップが声を上げる間もなく、その両手をまとめて掴んで、背中から拘束していた。
衛兵がフィリップを助けようと飛び出すも、おかしなことに衛兵を王国軍が遮ってきた。
「貴様ら、何をやっておるっ」
フィリップが王国軍に声を張り上げるも、彼らはフィリップの予想を外れた行動をとっている。王国軍兵士らは、衛兵にフィリップの側近らを手早く拘束し始め、彼らは、全員、一つにまとめられ隅へと追いやられた。
フィリップは、兵士らに玉座へに連れていかれたかと思うと、椅子に手足を拘束された。
ダニエルがフィリップの前に立った。その後ろからジュリエッタが顔を出す。
幽霊を見るような目つきで彼らを見ていたフィリップだったが、すぐに、死んだのは偽装だったことを理解した。
「貴様ら……、こんなことをしてただで済むと思うなよ」
フィリップは憤怒の形相で低い声を出した。ジュリエッタはにっこりと微笑んだ。
「陛下、とは呼びたくはないけど、叔父さま、と呼ぶのももっといやだから、陛下と呼ぶわね。陛下、国王の間は制圧されたわ。そして、制圧されているのはここだけではないの。今や、王宮中がバルベリ軍によって制圧されているわ。だから、陛下を助けにくる人はもういないの」
「なんだと?」
「もうおわかりだろうけど、王国軍はまだバルベリにいるの。バルベリ軍が銀色の甲冑に赤い旗を掲げてみただけよ。今頃、本物の王国軍は、バルベリ軍のいない空っぽのバルベリで、腸詰でも食べているところではないかしら。美味しく堪能してくれていると嬉しいわ」
王都侵攻が決まってから、バルベリの王国軍には嘘の情報を流した。国王の使者と見せかけたバルベリ騎士は、王国軍に『全軍、バルベリに待機』と告げた。
王国軍は訳が分からないながらも、今頃平和なバルベリでのんびりと過ごしているだろう。
そのときだった、けたたましい鐘の音が鳴ったのは。
見張り兵が王の間に入ってきた。
「敵襲です。海から外国の軍船がやってきました。その数、約二十!」
そこまで報告して、見張り兵は、口をつぐんだ。そして、室内を見回した。国王は玉座に拘束され、衛兵らも部屋の隅っこに転がされている。室内には王国軍兵士でいっぱいだが、どういうわけか、国王を助けもしない。
王国軍兵士が見張り兵の前にやってきて、どういうわけか威圧的に縄をかざしてみせた。
「……降参します」
見張り兵は、何故味方であるはずの王国軍兵士が国王を拘束しているのかもわからなかったが、とにかく、両手を黙ってあげて、おとなしく拘束されることを選んだ。
フィリップが声を張り上げた。
「外敵だぞ! お前たちで立ち向かえるのか」
「兄上が立ち向かうよりはましだと思いますが」
その声のほうを見れば、銀色の甲冑の騎士がヘルメットを上げた。顔を出したのは、アドルフだった。
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