私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない

文野多咲

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 リビングに出ると、由紀也は優月を眺めてきた。

「女子社員には、清楚な女性が好みそうなものを、と伝えていたんだけど」
「似合わないかしら」

(いつもより、化粧が派手になったわ。色味の強いものしかなかったんだもの)

 自信を失うも、由紀也の目には感嘆が浮かんでいた。

「清楚というより、あでやかだ。きれいだよ、優月」

 その目に優月は胸が高まってしようがなかった。

(胸が、またドキドキしてしまうわ。おかしいわ、由紀兄さんにドキドキするなんて)

 それから、食事に出るも、優月は男性とこんな楽しい時間を過ごしたことはないと感じた。
 優月はたいてい聞き役で過ごすタイプだが、由紀也はうまく優月から話を引き出して、しかも、それは楽しい話ばかりで、短大や友人たちのことを話し、気がつけば笑い声をあげている。
 そんな優月を由紀也は、可愛くてたまらないような目つきでじっと見てくる。
 優月は由紀也に安心を覚えるも、同時にくすぐったいような気持ちを抱いてしまい、それは、これまでどの男性にも覚えたことのないものだった。

(何だか変な気持ち。由紀兄さんのそばは安心するのに、なぜか落ち着かなくなってくるわ)
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